「2014年クリスマス」カテゴリーアーカイブ

キャップとブルース

『クリスマスパーティーをする!Assemble!!』
そうメールを送ったのに、やって来たのはブルース・バナーただ一人。
「どうして誰も来ないんだ!」
テーブルの上に所狭しと並べられた料理を前に、スティーブは憤慨している。
まぁまぁ…とスティーブを宥めたブルースは、この場にいない仲間の状況を説明し始めた。
「ナターシャとクリントは連絡があった。急な仕事で農場に行くから無理だって」
「農場で任務なのか?」
農場にあの2人が赴くような任務があるのだろうか。首を傾げるスティーブだが、連絡を受けたブルースですら任務内容は知らないのだ。
「詳しくは知らないよ。あの2人は仕事のことは基本的に話さないからね」
あの2人は仕事で来られないと納得したスティーブだが、あの男はどうしていないのかと眉間に皺を寄せた。
「だが、スタークたちは?来られないなら連絡がありそうなものだ。ミス・ポッツがいるのだから」
彼らがここにいない理由、それは2人…特にトニー・スタークを少しでも知っている人間なら分かりそうなものだ。そのため、「あぁ…」と声を出したブルースは言葉を濁した。
「おそらくあの2人は…ほら。言わなくても分かるだろ?」
だが、相手はスティーブ・ロジャースなのだ。そのことをブルースもすっかり忘れていたのだが、案の定スティーブは訳が分からないというような顔をしている。
「分からないから聞いているんだ。教えてくれ。君は理由を知っているんだろ?」
思わず頭を抱えたブルースは、困ったように顔を顰めた。ストレートには言いたくない。だが、オブラートに包んで言えばおそらく通じないだろうと。考えに考えたブルースは、スティーブにも分かるように説明し始めた。
「スティーブ、僕だって言えないこともある。口に出すのが憚られることがね。でも分からないなら教えよう。あの2人は君の言う『フォンデュ』の真っ最中だってことだ」
「フ、フォンデュ?!」
『フォンデュ』と聞いたスティーブは、耳まで真っ赤にすると椅子の上で飛び上がった。
「あぁそうだ。今夜は聖なる夜だ。おそらく一晩中……あれ?スティーブ?大丈夫かい?」
見ると、スティーブは鼻血を出して気絶してるではないか。
「だから言っただろ。言えないこともあるって…」
目の前の料理はいくら男2人と言っても食べられる量ではない。
ため息をついたブルースは、遅れているもう1人の仲間であるソーが早く来ることを祈ったのだった。

※CAP2も公開して、CAP3の話まであるからいい加減『フォンデュ』ネタはやめようと思いつつ、便利すぎてやめられません(;´∀`)

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クリナタ

クリスマス前日。
クリントとナターシャがいたのは、暖かな家の中でも、賑やかなパーティー会場でもなく、闇と静寂の支配する森の中だった。
「だからどうして私たちは平穏なクリスマスが過ごせないの?」
双眼鏡を覗きながら、ナターシャはため息をついた。
クリスマスなのに、2人は任務中だった。いや、今年だけではない。去年も、2年前も3年前も…実はここ数年、静かにクリスマスを過ごしたことがない。
「仕事があるのはいいことだ。働かざるもの、食うべからずだ」
どんな小さな物音でも聞き逃したくないクリントは適当にあしらったつもりだったが、逆効果だった。
「何よそれ。全然説得力ないわ。あんたは私と二人きりでクリスマスを過ごしたいって思わないの?!」
頬を膨らませたナターシャに、イラついたクリントも声を荒げた。
「それとこれとは話が別だ!俺だってちゃんと考えてる!お前のために農…」
何か言いかけたクリントは慌てて口を閉じた。
「何?」
「…何でもない。それより、ターゲットが現れた。さっさと片付けよう」
眉を吊り上げたナターシャにキスをすると、クリントは武器を手に取った。

『君のために買った農場だ。のんびりと過ごせる二人だけの場所だ』
任務が終わったらその足で向かうんだ。クリスマスのイルミネーションで飾られた二人きりの農場へ…。
ナットの驚く顔を見るためだ。農場に到着するまで絶対に口を割らないからな…。

準備を整えた2人は、足早にその場を後にすると闇に紛れた。

※ホークアイの農場ネタは、AoUの予告編より

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トニペパ(エスト5歳、エリ1歳)

クリスマスのショッピングにやって来たスターク一家は、ショッピングモールの広場に人だかりができていることに気付いた。
「あ!サンタさんだ!」
人だかりの正体にいち早く気付いたエストは、母親の手を離すと輪の方へ駆け出した。
「しゃんたちゃん?」
トニーに抱かれたエリオットは、姉の言葉に目を丸くした。
「一緒に写真が撮れるみたいよ。せっかくだから撮ってもらいましょ?」
「そうだな」
見ると娘はちゃっかりと撮影の待機列に並んでいるではないか。娘の元へ歩み寄った二人は、待ちきれないと興奮気味の子供たちと列に並んだ。

トニーたちの番がやって来た。
エストはともかく、去年はまだ1歳にも満たなかったエリオットにとっては、初めて見るサンタクロース。絵本やテレビでしか見たことのないサンタクロースに、彼は興味津々だ。
だがトニーもペッパーも少々心配だった。というのも、初めてサンタを見た時、エストは大泣きしたからだ。だが…。
「しゃんたちゃん!」
エリオットは臆することなくサンタに手を伸ばした。
サンタの腕に抱かれ大興奮のエリオットと、年長者らしくしようとしているのだろうか、サンタの横ですましてポーズを取るエストを、ペッパーは必死でカメラにおさめている。その様子は日頃自分たちを追いかけまわしているパパラッチも真っ青なくらい熱心だ。おそらく100枚以上は撮ってるだろう。またサーバーを強化しなければならないな…と思ったトニーだが、可愛い子供たちの姿が残るのだからお安い御用だ。

「そろそろ次の方に…」
係員に促され、息子を受け取ったトニーは、サンタからトナカイのぬいぐるみを貰いご満悦なエストとエリオットの頭を撫でた。
「二人とも、ちゃんとお礼を言うんだぞ?」
頷いたエストとエリオットは、とびっきりの笑顔を向けた。
「サンタさん、ありがと!」
「あーがと」
すると、それまで座っていたサンタが突然立ち上がった。
「ところで…トニー・スタークさんですか?」
「あぁ、そうだが…」
顔を輝やかせたサンタは、トニーににじり寄った。
「大ファンなんです!一緒に写真撮ってもらってもいですか!」
「あ、あぁ…」
サンタ…いや、サンタに扮装したその男性は、ポケットからカメラを取り出すとペッパーに渡した。そして若干引き気味のトニーと肩を組むと、満足げにピースをした。

「パパってすごいね!サンタさんとおともだちなんだね!!」
「しゅごいね!」
子供たちから羨望の目で見られ得意げなトニーだったが、その後数年にわたり『クリスマスパーティーにパパのお友達のサンタさんを連れて来て』と子供たちから言われ続け、少々困ったとか…。

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トニペパ(恋人)

昔はクリスマスが嫌いだった。
だが、彼女と出会いクリスマスの楽しみを知った。
そして恋人になってからは、クリスマスは誕生日や記念日と並ぶ一大イベントになった。

もうすぐクリスマスというある夜。ベッドの中でペッパーを抱き締めたトニーは、彼女の背中に指を這わせながら囁いた。
「君と過ごすようになってから、クリスマスが好きになった」
「あら?嫌いだったんでしょ?」
クスクスと笑ったペッパーは、自分の足をトニーに絡ませると、彼の胸元に顔を摺り寄せた。
「嫌いだったさ。だが、私が知っていたクリスマスはうわべだけのものだった。君が教えてくれたんだ、本当のクリスマスを…。だから気付いたんだ。私はクリスマスが好きだということに」
「それはよかったわ」
首を伸ばしたペッパーは、トニーの唇にキスをした。

「今年はどんなクリスマスになるんだろうな…」
キスの合間に囁くと、ペッパーは嬉しそうに声を上げた。

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トニペパ(初期)

『クリスマスなんて嫌いだ』
ペッパーがトニーの秘書になり初めて迎えるクリスマス。せっかくだから楽しもうとわくわくしていたペッパーなのに、彼女のボスはそう一言告げただけで知らぬ顔だ。
どうして嫌いなのか尋ねると、トニーは
「家族と過ごすんだろ?そんなことは物心ついてからしたことがない。親父もお袋もパーティーに出かけ、私はいつも留守番だった。大学に入ってからは、毎年パーティー三昧だから、寂しいと思ったことはないが…。別にいつものパーティーと変わりない。クリスマスだから特別ということもないんだ」
と、寂しい答えが返ってきた。
途端にペッパーの胸に、何ともいえない感情が沸き起こってきた。それは、可愛そうというものよりも、彼にも大切な人と過ごすクリスマスの楽しさを教えてあげたいという感情だった。
という訳で、翌日になるとペッパーは、ジャーヴィス、ダミー、そしてユーに手伝ってもらいながら、トニーの家をクリスマス仕様に仕立てていった。

夜になり帰宅したトニーは、様変わりした家に面喰った。
外壁は派手なイルミネーションに彩られ、玄関先には大きな雪だるまのオブジェ。
恐る恐る家に入ると、リビングにはクリスマスツリー、暖炉には靴下がかかり、クリスマスソングが流れているではないか。
「ジャーヴィス!誰の仕業だ!」
よりによって大嫌いなクリスマス一色。勝手に誰がしたのだと、トニーは電脳執事を怒鳴りつけた。
『ポッツ様です。トニー様にクリスマスを楽しんで頂きたいと、朝から一生懸命に飾り付けをされていました』
「ペッパーが?」
彼女が秘書になり半年。何事も一生懸命な彼女は、今やトニーにとって大切な女性になっていた。最も彼自身も自分の気持ちに気付いていないので、そんなことは微塵も態度に出していないが…。そのペッパーが自分のために動いてくれた、そのことだけでもトニーの気持ちは温かいもので満ち溢れ始めた。
「そうか。ペッパーの仕業か。それならこのままでいい」
頷いたトニーは、ペッパーのいるキッチンへと向かった。

「トニー、おかえりなさい」
エプロンを付けたペッパーは可愛らしく、そのまま抱き締めキスをしたい衝動に駆られたトニーはその気持ちを誤魔化すように、冷蔵庫へ向かうとミネラルウォーターを取り出した。
「家中クリスマスだらけで、正直戸惑った」
素直に感謝の念を言えないトニーは、わざとらしく肩をすくめた。
「勝手にしてごめんなさい。あなたを驚かせたかったんです」
しょんぼりと俯いたペッパーに、トニーの胸はチクリと痛んだ。
本当は『私のためにありがとう』と伝えたい。だが、どう伝えればいいのか分からない。
鼻の頭を擦ったトニーは、ポンと手を叩いた。
「ペッパー、クリスマスの予定は全てキャンセルしてくれ。今年は家で過ごす。もちろん君も一緒に…だ。それからハッピーとローディも呼ぼう。どうせ恋人もいないんだ。暇に決まってる。4人で楽しくクリスマスを過ごそう」
顔を上げたペッパーはトニーの耳が真っ赤になっているのに気付くと、笑顔で料理を温め始めた。

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