「2013年年末年始ネタ」カテゴリーアーカイブ

New Year’s Eve(フューリーの場合)

S.H.I.L.D.長官であるニック・フューリーは悩んでいた。モニターの前に立ち、かれこれ1時間は頭を捻っているボスの背後で、マリア・ヒルは大あくび。
「長官、そんなに悩まれると…」
思わず口を挟んだヒルだが、
「ハゲるぞ?か?」
と自虐ネタを口にしたフューリーは振り返った。
それ以上ハゲようがないだろうと思いつつも、長官の戯言を無視したヒルはいつものように冷静に言葉を発した。
「何を悩まれているんです?」
部下の言葉にフューリーは目を光らせた。
「次の任務のことだ。誰を行かせるのが最適かと考えているんだ。バートンとロマノフは…。クリスマスを台無しされたから休ませろと、ロマノフがえらい剣幕でな…」
S.H.I.L.D.直属のエージェントなのだから、命令されれば休暇も何もあったものではなさそうだが、優秀なエージェントだけにここでごねると後が面 倒ということらしい。となると、他に頼るところはあの面子しかいない。
ヒルの脳裏にまず最初に浮かんだのは、温和な二人。
「ロジャースとバナーはどうです?」
実直な超人と科学者ならば、長官の頼みを断らないだろう…という考えは、フューリーの言葉で崩れ去った。
「あいつらはバイクの旅に出掛けたんだ」
「バイクの旅…ですか?」
なぜあの二人が…と、目をパチクリさせていると、フューリーは何か思い出したのか遠くを見つめた。
「あぁ。何でも、某俳優がバイクで大陸を横断したドキュメンタリーを見たそうだ。それに感化されたらしい。キャプテンは号泣していたそうだ。後は簡単だ。思い立ったら即行動だ。この寒いのに、アラスカ方面へ行くらしい。というわけで、年末年始は男二人で旅をするそうだ」
なぜ真冬のアラスカへ…しかもバイク…。キャプテンは立派なバイクを持っているが、バナーは果たして持っているのだろうか…。ふと思い出したのは、あのNYでの決戦。
「バイクって…もしかしてバナーは…」
「あぁ、あのボロい原付でだ」
フューリーが顔をしかめたのも無理はない。あの二人はNYからアラスカまで何キロあると思っているのだろう。今頃どこか彷徨っていそうだが、そうかと言って探す気にもならない。となると、残るメンバーはあの二人。
「ソーはアスガルドですし…。スタークはどうです?」
『スターク』と聞いたフューリーは肩をすくめた。
「スタークか?無理だろ。だが、念のため連絡してみるか…」

数回の呼び出しの後、スピーカーからは機械的な声が聞こえてきた。
『ニック・フューリー様でございますね』
名乗る前に名前を言われたがフューリーは顔色一つ変えなかった。
「そうだ、フューリーだ。至急スタークに繋いでくれ」
『申し訳ありません。トニー様はお取り込み中でして…』
おそらくそう対応しろと言われているのだろう。何となく展開が読めたフューリーだが、咳払いをすると努めて冷静に言った。
「急ぎなんだ」
『かしこまりました。お待ちください』
やけに軽快な保留音が司令室に響き渡る。待てど待てども切れない保留音に、ヒルは痺れを切らした。
「長官…嫌な予感がします」
「そうだな。だが、今さら遅い」
「ですが…」
ヒルが何か言いかけたときだった。突然保留音が切れ、聞き慣れた声が響き渡った。
「ニック!今忙しいんだ。後にしてくれ」
お目当ての人物、トニー・スターク。彼が電話口に出たということは、少なくとも聞く耳は持とうとしたということだろう。切られては大変と、フューリーは早速要件を言うことにした。
「スターク、君に頼みたい仕事が…」
だが、彼の言葉はトニー・スタークのため息と共に消し去られた。
「おいおい。今日は大晦日、明日は新年だぞ?こんな大事な時に仕事か?悪いが他を当たってくれ。私には大事な仕事があるんだ」
予想通りの言葉だが、カチンときたヒルは怒りを押し殺して叫んだ。
「スターク!こっちも大事な仕事なの!」

すると…。
「…トニー…どうしたの?」
電話の向こうから女性の声が微かに聞こえてきた。
「ハニー、すまない。あのハゲ親父からだ」
「スターク…聞こえてるぞ…」
どうやら自分がネタにするにはいいが、他人…特にトニー・スタークに言われると気に入らないらしい。フューリーの握りしめていたペンがバキッと真っ二つになったのを見て、ヒル以下エージェントはゴクリと唾を飲み込んだ。
「お仕事?それなら…」
トニー・スタークは電話口を押さえることを知らないのか、二人の会話は丸聞こえだ。ちなみに、やけに艶っぽい声だが、スタークと一緒にいるのは彼の恋人であるペッパー・ポッツだろう。
「いや、大丈夫だ。私が君との休暇を蹴ってまで行く用事ではない。それに、年越しで君のこと愛すると約束しただろ?ほら、続きだ。もっと脚を開け。私を全て受け止めろ!」
「ん……あぁ!」

ガチャ!!

これ以上は危険と判断したフューリーは、通信を切断した。振り返ったフューリーにヒルは肩をすくめた。
「…無理だったな…」
「えぇ…」
あの二人はいつものことなのだが、どうも慣れない。顔を赤らめている室内のエージェントを見渡したフューリーは、ガラス張りの向こうの青空を見つめながら呟いた。
「やはりあの二人に頼むか…」

と、結局のところ、クリントとナターシャに任務が回ってきたのは、別のお話。

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New Year’s Eve(クリントとナターシャの場合)

「どうして俺たちばかり…」
「仕方ないわ。それが仕事よ」
口を尖らせたクリントだが、にっこりと笑みを浮かべたナターシャを見ると肩をすくめた。
「何だよ。今回はやけに素直だな」
「あら?こういう仕事は楽しいわ」
タキシードとドレスで着飾った二人は、某政治家のカウントダウンパーティーに潜入していた。某政治家に辞職しなければ抹殺すると脅迫メールが届いたのは2日前。本来なら警察が動くのだろうが、その政治家家族がアベンジャーズの大ファンだということで、S.H.I.L.D.に話が回ってきたらしい。
ターゲットを狙って暗殺者が現れた瞬間、パーティーの客に紛れ込んでいるエージェントが確保することになっているのだが…。
パーティーが始まりすでに1時間。暗殺者は動く気配がない。そうこうしているうちに、ホールにはクラッシックな音楽が流れ始めた。
「せっかくだから踊らない?」
差し出された腕を取ると、クリントは音楽に合わせステップを踏み始めた。
「俺は君と二人きりで過ごしたかった」
しかめ面をしながら辺りを警戒するクリントの目はちっとも笑っていない。仕事とは言えパーティーなのだ。あまり不機嫌だと返って不審に思われるだろう。
「私もよ。でも、こんな豪華なパーティー、スタークじゃないんだから、なかなか参加できないでしょ?」
ニコニコと笑みを浮かべたナターシャに、クリントは小さく唸った。
「俺はどうも居心地が悪い」
どうやら不機嫌なのは、この場の雰囲気に緊張しているかららしい。クスッと笑ったナターシャは、クリントの胸元に顔を押し付けるように抱きついた。いつもより早い心音にナターシャがそっと目を閉じた時だった。背後を行き交う感触にナターシャは顔を上げた。背中から腰を撫で回していたクリントの手は、いつの間にかナターシャの尻を撫で回している。
「そんなところ触らないの」
軽く…いや、ジロリと睨んだナターシャだが、クリントはニンマリと笑った。
「いいだろ」
尻をキュッと掴んだクリントは、そのまま大きく開いた背中へと指を滑らせた。そのもどかしい感触に全身を朱色に染めたナターシャは、潤んだ瞳でクリントを見つめた。
「ねぇ、クリント。仕事が終わったら…。でも…これくらいはいいわよね?」
クリントの頬を掴んだナターシャは唇を押し付けた。唇の隙間から舌を入れ、お互いの口腔内を堪能する…。まるで二人の周りだけ時間が止まったように、その瞬間は永遠に続くと思われるほどだった。
そして、クリントの手はナターシャのドレスの裾から侵入し、太腿を撫で回していたが……。

バーン!!

一発の銃声が耳元でし、ナターシャは唇を離した。
得意げな顔の目の前の男は、ナターシャの腰を引き寄せると頬に軽くキス。
「任務完了だ」
「お見事。でも、乱暴な人ね」
クリントから銃を受け取ったナターシャは、太腿のホルスターに戻しながらチラリと背後を振り返った。そんなナターシャの誘うように光る唇を奪ったクリントは、首元のタイを緩めた。
「だが、早く済んだ。あと30分で年が変わる。さっさと家に帰ろう」

手を押さえている暗殺者をエージェントが取り囲むのを見届けたクリントは、ナターシャの手を引っ張ると走りだした。

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New Year’s Eve(トニーとペッパーの場合)

クリスマス前からヨーロッパ一周旅行へ出掛けていた二人。クリスマスはドイツの古城を貸し切り、あちこちの都市を経由して、ニューイヤーイブの今日、フランスへと降り立ったのだった。

エッフェル塔の見えるホテルのスイートルームで二人は早速抱き合った。途中邪魔が入ったが、散々愛し合った二人はシーツだけを身に纏い、ベッドの上でワインを飲んでいた。
外はすっかり暗くなり、ニューイヤーイブを楽しもうとたくさんの人が街には出ていた。

「カウントダウンで花火があがるそうよ」
トニーのグラスにワインを注いだペッパーは、チーズを口に放り込んだ。
「花火か…」
外のイルミネーションの光はカーテンを開けたベッドルームにまで注ぎ込み、煌びやかな光に照らされたペッパーの横顔はいつにも増して美しく、トニーは眩しそうに目を細めた。

(今年も1年無事に終わった。もうすぐ新しい年が始まる。来年の大晦日も君とこうやって過ごせるだろうか…)

彼の視線に気がついたペッパーは、顔を上げると小首を傾げた。
「どうしたの?」
その声に我に返ったトニーはグラスの中身を煽ると、グラスや皿をベッドサイドのテーブルに移動させた。
「なぁ、ハニー。こうやってずっと一緒に年越ししよう」
それって、もしかして…と顔を赤らめたペッパーは、腕を引っ張られトニーの胸元に倒れこんだ。ペッパーの頭にキスをおとしていたトニーだったが、恥ずかしそうに顔を伏せているペッパーに向かってわざと不機嫌そうに唸った。
「おい、返事は?まさか来年に持ち越しだなんて言うなよ?」
慌てて顔を上げたペッパーの目は潤んでおり、零れ落ちそうな涙を拭ったペッパーは輝くような笑みを浮かべた。
「ちゃんと今年中に答えるわよ。もちろん”YES”よ。それにね…」
そう言うと、シーツを取りトニーに抱きつくと、ペッパーは貪るようにキスをし始めた。ペッパーの行動に驚いたトニーは目を白黒させている。愛おしそうに頬を撫でたペッパーは、とびっきり甘いキスをすると耳元で囁いた。
「これからもずっとこうやって年越ししましょ?」

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New Year’s Eve(スティーブとブルースの場合)

どうしてこの二人が…と思うかもしれない。だが、何となくノリでバイクの旅をしようということになったスティーブとブルース。
出発当日、集合場所にやって来たブルース・バナーは見覚えのあるバイクに跨ってやって来た。
バイクの出処を恐る恐る尋ねたスティーブにバナーは照れ臭そうに答えたのだった。
「ほら、あの時乗っていたバイクだよ。どうも愛着が湧いてね。あ、もしかして、オンボロだから無理だって思ってるだろ?大丈夫。性能は保証する。見た目ほど酷くないんだ」
と、停車しているだけでもガタガタと言っているバイクを誇らしげに指さすブルースと不安げに見つめるスティーブ。
こうして始まった男二人のバイクの旅だが…。
ブルースの言うとおり、彼のオンボロバイクは何の心配もなかった。むしろ自分の最新鋭のバイクよりもはるかにスピードの出るバイクを、スティーブは追いかけるのに必死だった。
「トニーに改良してもらったんだ。ボロいけど、スピードは凄いだろ?」
控えめな涼しい顔をするブルースに、やっと追いついたスティーブは苦笑い。おそらく今回の旅のことをブルースはトニーに話したのだろう。
『おい、ブルース!じいさんを驚かせてやろう!』と、目を輝かせているトニーを想像したスティーブは、思わず噴き出したのだった。

目指すはアラスカなのだが、別にアラスカに辿り着かなくてもよかった。とにかく二人でバイクの旅を楽しみたかったのだ。
結局、北へ向かうはずが何となく西へと向かい、二人がグランドキャニオンの近くへと辿り着いたのは、大晦日の夜だった。
夕食後、仮眠を取った二人。夜明け前に起き出すと、防寒装備で山頂へと向かった。

「初日の出を拝むとその年は良い年になるそうだ」
山頂にほど近い岩山に座った二人は薄っすらと明るみ始めた東の空を見つめた。目を細め空を見つめるブルースは、スティーブに日本に伝わる『初日の出』について語った。
「へー、さすがバナー。物知りだな」
寒さで赤くなった鼻を擦ったスティーブはおもむろに立ちあがった。
「知ってるぞ!こういう時はこう叫ぶんだ!」
思いっきり息を吸い込んだスティーブは、叫んだ。

「ヤッホー!!」

(確かにそうだけど…。このタイミングでそれはないだろ…)
ガックリと頭を垂れたブルースだが、笑みを浮かべた。
「心の中で祈るんだ。今年最初の太陽だ。静かに見守ろう…」
頭を掻いたスティーブは腰を下ろすと、熱々のコーヒーをカップに注ぐとブルースに手渡した。
「バナー、今年もよろしく」
「あぁ、こちらこそ」
カチンというカップの合わさる音を合図に、二人は太陽が昇りきるまで静かに見守り続けたのだった。

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New Year’s Eve(ソーとジェーンの場合)

星空を見に行こうと差し出された手に捕まったのはいいのだが…。
降り立った先はアスガルド。
目をぱちくりさせるジェーンを軽々と抱きかかえたソーは、何も言わずズカズカと歩いている。
「ちょっと、ソーったら!星を見に行くんでしょ?!」
じたばたと暴れてみるが、気が付けば馬上の人になっていたジェーンは、逆に振り落とされまいとソーにしがみ付いた。
「そうだ。星を見に来たんだ。ミッドガルドでは見ることのできない星空をお前に見せようと連れてきた」
確かにここは神々の国。広大な宇宙に浮かぶ国の頭上には、地球では見ることのできないような壮大な星空が広がっている。
嬉しいことに違いはない。だが、ジェーンはソーに気付かれないようにため息を付いた。
というのも、てっきり近くに…いや、地球上のどこかで星を見るのだとばかり思っていたので、今日の彼女の服装は、セーターにジーンズにダウンという普通の恰好。それなのに、ソーはアスガルドに自分を連れて来た。アスガルドはソーの生まれ故郷であり、しかも今日は大晦日。神々の世界に大晦日や新年という概念があるかは分からないが、とにかく彼の実家である以上、彼の両親や話には聞いていないがおそらく親戚もいるということだ。(ちなみに噂の弟もいるだろうが、あまりお会いしたくはない…)
(初めてお会いするのに…どうして私はこんな恰好なのよ!来るならちゃんと言いなさいよ!私だってそれなりに準備が…)
ぷーっと頬を膨らませたジェーンだが、ソーは全く気付く気配すらない。そればかりかアスガルドはあれが美味いこれが美味いと食べ物の話ばかりしている。目的地に到着し馬から降りた頃には、すっかり腹を立てていたジェーンは、
「ソーのバカ!」
と叫ぶと頬をペチンと叩いた。
「お、俺?!」
なぜ平手打ちされるのか全く検討も付かないソーは、目を白黒させている。
(こんな時、スタークさんなら『泣くな、ハニー。君のために贈り物があるんだ』と言って、ドレスの1枚や2枚や3枚用意してくれるんだろうなぁ…)
彼にそこまで求めているわけではない。何と言っても相手は『神様』なのだから…。
(もっと女心を理解してよ…)
今だ首を傾げているソーをチラリと見たジェーンは、ため息をつくと手を腰に当てた。
「そうよ!あなたのせい!ちゃんと言ってくれないとね、私にも用意があるの!」
そう言われたものの、女心などイマイチ理解できない。口をポカンと開けていたソーだったが、しばらくすると笑い始めた。
腹を抱えて笑うソーにますます腹を立てたジェーンは、ポカポカとソーを叩き始めた。
「お前、もしかして、その服装を気にしてるのか?」
笑い過ぎて涙を流しているソーをジェーンは涙ぐんだ目で睨みつけた。
「当たり前でしょ?!あなたの家に来るのに、普段着なんだから…」
シクシクと泣き始めたジェーンは、顔を覆うと俯いてしまった。困ったように頭を掻いたソーだが、『もっとミッドガルドの女性の気持ちを勉強しなさい!』と言うシフの言葉を思い出した。口元を緩めたソーは自分よりもか細くそして柔らかな身体を抱き寄せると、壊さないようにギュッと抱きしめた。
「ジェーンよ、笑ってすまなかった。女心は複雑だな。もっと勉強しなければならない。だが安心しろ。お前はお前だ」
答えになっているようないないような…と思ったジェーンだが、彼なりのその愛に満ちた言葉に涙を拭うと笑みを浮かべた。
頬に伝った涙を唇で拭ったソーは、ジェーンの手を取ると歩き始めた。
「母上が会うのを楽しみにされている。お前に贈り物もあるそうだ。仕立屋を呼んで何やら作らせていたから…」
(つまり、お母様が用意されてるってこと?!)
まさかそういうことになっているとは…と、目をぱちくりさせていたジェーンだが、ニカっと笑ったソーにつられて満面の笑みを浮かべた。
「よし、ジェーン。みんな美味い物をたくさん用意して待っているぞ!」
「ソーったら、また食べ物の話?」
クスクスと笑うジェーンを眩しそうに見つめたソーは、待ちきれないとばかりにジェーンを抱きかかえると走り出した。

(Thor:TDWは未見時です)

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