「Pepperony 100」カテゴリーアーカイブ

25. Hot

「暑~い」
パタパタと手団扇で仰いでみるも、窓全開にしているにも関わらず、室内には熱気が漂っている。
いつも快適な温度に保たれているスターク邸だが、今日は違った。というのも、2時間前に空調が壊れてしまい、トニーとジャーヴィスが必死で修理したが手に負えなかったのだ。
修理が来るのにまだ1時間もある。ノースリーブにショートパンツという出で立ちのペッパーは、オムツだけを履かせた小さな息子が熱中症にならないように水分を飲ませたりアイスパックを当てたりしていた。
「エストはいいわね…。幼稚園はクーラーも効いてるでしょうから…」
幼稚園に行っている娘はこの騒動を知らない。今頃呑気にお昼を食べてるかしら…と考えていたペッパーの思考は、同意するように声を上げた息子の唸り声で現実へと引き戻された。
「そうよ!修理はトニーに任せて、どこかに避難すればいいのよ!」
どうしてこんな簡単なことをすぐに思いつかなかったのかしら…と思ったペッパーが、愚図り始めた息子を抱き上げた時だった。
「ラボよりここの方が涼しいじゃないか!」
嬉しそうなトニーの声に顔を上げたペッパーは絶句してしまった。サウナのようなラボで作業していたのは分かる。だが、トニーは黒のトランクスしか履いてい ないのだ。しかも汗をかいているのだ。パンツは濡れ、彼のアレはくっきりと…。
「と、トニー!!」
真っ赤になり叫ぶペッパーは、父親の方へ腕を伸ばした息子の視線を遮るように抱きしめた。
「別にいいだろ?見慣れているじゃないか。いや、見慣れているどころか毎晩…」
夜のペッパーを思い浮かべたトニーは何か言いかけたが、ジロリと彼女に睨まれると口を閉じた。
「そうだ、1時間以内に修理に来るそうだ」
妻の機嫌を直そうと話題を変えたトニーは、ペッパーから息子を受け取り寝かせるとタオルで汗を拭いた。
「よかった。暑くて死にそうよ」
もう少しでこの騒動も終わるのねと息子の頬をくすぐったペッパーだが、暑さでやられたのか、はたまた通常運転というべきか、ニヤリと笑ったトニーはペッ パーに飛びかかった。
「暑いのなら、君も脱げばいい」
悲鳴を上げる暇もなく、洋服を脱がされ下着姿になったペッパーは、あっという間にトニーに組み敷かれた。
お互いの汗ばんだ身体は燃えるように熱いのだが、トニーの目が血走っているのは暑さのためだけではないだろう。
「いい眺めだな。そうだ、ハニー。汗をかいたんだ。後でシャワー浴びるだろ?その前に…な?」
怖いほどの笑みを浮かべたトニーに、ペッパーは頷くことしかできなかった。

30分後…。
『トニー様、修理の方が来られました。お通しします』
あのジャーヴィスでさえ暑さにやられたのか、この家の主人の了承を得ぬまま通られた業者だが…。何も着ていない状態でリビングで抱き合う二人に驚いた彼らは、慌てて帰って行ったとか…。

拍手お礼再掲。The Pepperony 100 Challengeより

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24. Kiss

「スタークにキスされると、それだけで感じちゃうってホント?」
突然予期せぬことを聞かれるのはいつものことなのだが、いつまで経ってもどうも慣れない。優秀なスパイである友人の言葉に飛び上がりそうになったペッパー は、ゴクリと唾を飲み込むと冷静さを装ったまま引きつった笑みを浮かべた。
「ど、どうかしら…」
そう言うと目の前のジュースを飲み干したペッパーは、コップに刺さったストローをクルクル回し始めた。
「…ペッパー、空っぽよ」
動揺を隠しきれていない自分が恥ずかしくなったペッパーは顔を真っ赤にすると口を尖らせた。
何年経っても可愛らしい反応を見せる友人をからかうのは楽しく、ナターシャは意地悪な笑みを浮かべた。
「やっぱりそうなのね。私もスタークとキスしてみたいわ。ねぇ?うちのと交換…」
「だ、ダメ!!!!」
ナターシャの言葉を遮るようにペッパーは叫んだ。店内に響き渡った大声に、周囲の客は一斉に振り返った。
謝罪するように小さく頭を下げたペッパーは、からかうのもいい加減にしてよとナターシャを軽く睨みつけた。
「嘘に決まってるでしょ?今はあなたがいるんだから、スタークに断られるわよ」
苦笑するナターシャだが、ペッパーは少々複雑だった。
もし、彼が独り身だったら、彼は彼女とキスしたかしら…と。

帰宅するや否やペッパーはトニーのいるラボへと向かった。
トニーは娘と息子とホログラムで遊んでいた。
「おかえり、ハニー」
「ママ!おかえり」
駆け寄って来た娘を抱きしめたペッパーは、寝返りが出来るようになった息子の頭にキスをするとトニーの隣に座った。
「息抜きできたか?」
「えぇ。食事したお店ね、子供用の料理もたくさんあったの。今度みんなで行ってみましょ?」
「そうだな」
ペッパーの腰を引き寄せたトニーは、唇にキスをおとした。
軽く触れるようなキスを繰り返していた二人だが、ペッパーの脳裏には先ほどナターシャに言われた言葉が過ぎった。
『キスだけで感じちゃうってホント?』
確かにトニーのキスは最高だ。彼にキスされると体中ドロドロに溶けてしまいそうになる。彼のキスはまるで彼自身の気持ちを表しているかのように、様々な面を持っている。彼とキスするまで、キスにも感情があることを、そしてキスがこんなにも素敵なものだとは知らなかった。
(彼のキスを知っているのは私だけなのよ…)
あの時感じた小さな嫉妬心を消すように、ペッパーはトニーの頬を掴むと二人きりの時にしかしないような濃厚なキスをし始めた。珍しく積極的に舌を絡ませて くるペッパーに驚いたトニーだが、彼女の身体を抱き寄せると、お返しだというようにペッパーが逃げられないよう舌を捕えた。
いつも以上に長い両親のキスを嬉しそうに見つめていたエストだが、段々と母親の様子がおかしくなっていくことに気付き首を傾げた。
「パパ?ママのおかお、まっかよ」
娘に指摘されたペッパーは、立ち上がろうとしたが腰が抜けて動けない。耳元に掛かる甘い吐息に心臓が飛び上がったトニーだが、何度か咳払いをした彼は娘に 向かってウインクをした。
「ママはパパのキスが大好きなんだ」
「ふーん。そうなんだ。ママ、よかったね」
無邪気に言う娘だが、一刻も早く夫婦の時間にしたいトニーは、ペッパーをソファーに横たわらせると、子供たちを寝かせるべく二人を連れてラボを後にした。

拍手お礼再掲。The Pepperony 100 Challengeより

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23. Touch

彼に触れられると、身も心も溶けてしまう。こんな感情は初めて…。だから、彼に触れられるたびに思う。もっと触れて欲しいと…。もっと愛して欲しいと…。

「私って欲張りよね…」
身体が離れた後、トニーの胸元に顔を摺り寄せたペッパーがポツリと呟いた。
「何がだ?」
長く美しい髪を梳きながら、トニーは最愛の女性の頭にキスをおとした。その感触にくすぐったそうに笑ったペッパーは、トニーの身体の上に跨ると彼の頬にキスをしながらスッと撫でた。
「あなたに触れる度に思うの。もっと触れて欲しい…もっとあなたのことを知りたいって…。こんな気持ち、生まれて初めてなの。あなたと結ばれただけでも夢 のようなのに、これ以上一度に求めたら、欲張りよね」
括れた腰に手を置いたトニーは柔らかな肌に指を滑らせると、彼女の身体を抱き寄せた。
「ハニー、私も同じだ。君のことはもっと知りたい。君に一日中触れていたい…。出来るなら一生こうしていたい。君が欲張りなら、私はもっと欲張りだ」
そう言いながらも体中に触れるトニーの指遣いに、ペッパーは彼の首筋に唇を押し付けた。耳元に掛かる甘い吐息はまるで媚薬の様。欲望を抑えきれなくなった トニーは、身体を反転させるとペッパーの華奢な身体を組み敷いたのだった。

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22. Glance

「ダメか?」
ちらりと見上げたトニーにペッパーはため息をついた。
「トニー…お願いだからそんな目で見ないで」
首を振ったペッパーだが、トニーは恨めしそうな視線を彼女に送るばかり。
(そんな目で見つめられたら私が断れないって知ってるでしょ?)
分かっているはずなのにやめないのは、ペッパーが首を縦に振るのを待っているのだろう。こうなったら根気比べ。だが、彼は知っているのだ。彼女がすぐに音 を上げるということを…。
「で、今日はどれ?」
大げさにため息をついたペッパーだが、トニーは目を輝かせると飛び上がった。
「今日はこれだ!」
差し出したのは、猫耳と尻尾。
「分かったわ。着替えてくるわね」
嫌だと言いつつも、毎晩のように行われる二人のきりのパーティーが楽しみなペッパーは、嬉しそうなトニーにキスをするとバスルームへ向かった。

こうして、二人の長い夜が今夜も始まった…。

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21. Hands

5.Blueの続きです

『おにいちゃんのおよめちゃんになってあげゆ』
遠い昔、私が凄く小さかった時出会った男の子。偶然出会ったその男の子は泣いていた。誰か助けてと泣いていた。
なぜだか分からないが、放っておけなかった。手を繋ぎそばにいなければならない気がした…。そしてその手を永遠に繋いでおきたいと思った…。

「『トニー』って名前なのは覚えてるんだけど…」
校内のカフェテリアでジニーことヴァージニア・ポッツはジュースを啜った。
「『トニー』ねぇ…。で、年上なんでしょ?」
彼女が2歳か3歳の時、NYで偶然出会った男の子の話は、昔から繰り返し聞かされた話。そのため、彼女の友達はみんなこのおとぎ話を知っているのだった。 今日もみんなで理想の彼氏像について語っていたはずなのに、ジニーはやはり遠い昔出会った彼の話を始めたのだった。
「うん、私よりも随分年上よ。お兄ちゃんって感じ。4つ以上は離れてるはずよ」
「ということは、今は20歳より上ってことね…」
「でも、10年以上前にNYにいた20歳以上の『トニー』という手がかりだけじゃねぇ…。山ほどいるわよ」
結局何度話が出ても今日のように『見つけるのは不可能』という結論に達して終わるのだ。
ジニー自身も見つけるのは不可能だと分かっている。ほんの数分の出来事だった。例え見つかったとしても、向こうが覚えているとは限らない。それでもいつか 会いたいとずっと思っていた。あの男の子は何度も夢に出てくるので、彼は自分を待っている気がしたのだ。

だが、今日はこの話に続きがあった。
帰り道、参考書を買いに本屋に立ち寄ったジニーは、ふとゴシップ誌のコーナーに向かった。沢山の雑誌の表紙を飾るのは、あのスターク・インダストリーズの CEOであるトニー・スターク。
友達はみんな彼のことをカッコいいというが、女遊びの激しいことで有名なトニー・スタークがジニーは正直苦手だったため、今まで彼のことを知ろうとしてい なかった。
「そういえば、彼も『トニー』よね?」
何気なく雑誌を手に取ったジニーは、特集記事を立ち読みし始めた。
【トニー・スターク。現在、22歳。両親の事故死により若くしてCEOに就任した彼は、幼少期をNYで過ごし…】
「え…NY?」
自分も幼い頃NYにいた。そう、あの夢の中に出てくる男の子と出会ったのもNY。トニーという名前、そしてNY…。偶然かもしれないが、あの15年前の出来事の時、彼は7歳で年齢もあの少年と同じくらいだ。
思わずじっと表紙を見つめたジニーを、大きなこげ茶色の瞳が見つめ返してきた。
(そういえば、あの男の子も同じ瞳をしていた…)
「まさかね…」
小さく声に出したジニーは雑誌を棚に戻そうとした。だが、トニー・スタークのことが気になり始めたジニーはしばらく悩んでいたが、その雑誌を手にレジへと 向かったのだった。

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