「同棲5題」カテゴリーアーカイブ

05.一緒にお風呂

「トニーったら!もう行くわよ!」
ラボの入口で金切り声を出しているのはペッパー。綺麗にドレスアップした彼女は、イライラと壁の時計を見つめた。
今日はチャリティーイベントの一環でクラッシックのコンサートがあるのだが、朝からラボへ籠っているトニーはなかなか階上へ姿を見せず、しびれを切らしたペッパーはこうして催促しているのだが…。
コンサートの開始まで後30分。ちなみに家から会場までは急いでも40分はかかる。
先に一人で向かってもよかったのだが、会場の入り口で待ち構えるマスコミのことを考えると、とてもじゃないが一人で行こうとは思わない。だから『もう少し待ってくれ』というトニーの言葉に足止めされて、結局こんな時間になってしまったのだ。
どちらにしろ今から用意をしても間に合わない。
(この埋め合わせは絶対にしてもらうわよ)
頬を膨らませたペッパーは息を吸い込むと、とっておきの言葉をトニーに向かって叫んだ。
「もういいわ。間に合わないもの。だから、私はお風呂に入って寝るわ!一緒にどうかしらと思ったけど、あなたはアーマー作りが楽しそうだから、一人で入るわね!」
ペッパーの言葉にピタっと動きを止めたトニーは入口を振り返ったが、すでにペッパーの姿はなかった。
「入る!待ってくれ!」
ジャーヴィスにデータを保存するように命じたトニーは、慌ててペッパーの後を追いかけたのだった。

同棲5題。拍手お礼

1人がいいねと言っています。

04.上達しない料理

日曜日。先に目が覚めたトニーは、朝食を作ろうとキッチンへと向かった。だが、彼には問題が一つだけあった。それは、料理が全くと言っていい程できないと いうこと。

「何でも出来るのに、どうして料理だけは上達しないの?」
しばらくして起きてきたペッパーは、トニーが苦労して作った朝食をチラリと見るとコーヒーに手を伸ばした。
「私が作らなくても、君が上手いからいいんだ」
ペッパーですら滅多に着けない花柄のエプロンを着けたトニーはなぜかドヤ顔。
(そういうことじゃないと思うけど…)
ため息を付いたペッパーは、頭を抱え込んだ。
「それって、上手くなろうという気がないんでしょ?どうするのよ、子供が出来たら。その子はきっと言うわよ?『パパは何でも出来るから、何々作って!』っ て…」
一瞬考え込んだトニーだったが、ふんっと鼻を鳴らすとエプロンを外しカウンターの上へ放った。
「その時はその時だ。私に不可能はない。なぜなら私はトニー・スタークだからだ。それに、君は下手だというが、パンケーキは美味いだろ?」
目の前の皿には、こんがりきつね色のパンケーキ。熱々のパンケーキの上にはバターとはちみつがたっぷりと掛けてあり、食欲をそそる匂いが立ち込めている。
「えぇ、パンケーキだけはね」
カウンターの上にある大量の黒焦げの物体を見たペッパーは眉を釣り上げたが、気付かぬふりをするとにっこりとほほ笑んだのだった。

同棲5題。拍手お礼

最初にいいねと言ってみませんか?

03.あなたを待つ時間

『先に寝てろ』と言われたものの、状況が状況だけにペッパーは眠ることができず、リビングのソファーの上で膝を抱えていた。

このソファーの上でまどろんでいた数時間前。
『ハルクが見境なく暴れている』
その一報を聞いたトニーは友人の科学者を救うべく、飛び出して行った。
テレビでは、街を破壊するハルクと、そしてそれを止めようと必死なトニーにスティーブ、ソーとクリント、ナターシャといった面々が映し出されていた。理性を失っているのか、仲間の声に耳を傾けようとしないハルク。そればかりか、仲間に向かって攻撃をしていた。反撃をしようとする仲間だが、トニーは違っていた。彼が暴れるのには理由がある。そう考えたトニーは、今にもハルクに攻撃しようとしている仲間を押さえると、一人緑色の友人の元へと向かった。だが彼はトニーにすら攻撃をした。何度地面に叩きつけられても、跳ね飛ばされても、トニーは諦めることなく友であるブルース・バナーの元へ飛んで行った。
アーマーはボロボロになり、地面に倒れ起き上がれないトニーの上にハルクが馬乗りになった。マスクをはぎ取られ、何度も全身を殴られるトニー。テレビでは遠目にしか分からない。だがあの場では、最愛の男が傷つきそして必死に戦っている。
突然中継が途切れた。
これ以上、アイアンマンが傷付くのは映せないということだろうか…。
テレビを消したペッパーは、祈った。
(神様……。お願いです…。どうかトニーが無事に帰って来ますように…)

どれくらい経ったのだろうか。
地下のラボで物音がしたのに気付いたペッパーは、転がるようにラボへ向かった。

ラボのソファーにはトニーが横たわっていた。
あちこちから血を流し、腫れあがった顔にアイスパックを当てている。鼻には大きなガーゼが貼ってあり、見るからに痛々しい姿だが命に別状はないようだ。
「トニー…」
ソファーの横に跪いたペッパーは、目を閉じているトニーの頬を撫でた。
「起きてたのか?」
目を閉じたままボソッと呟いたトニーだったが、ペッパーが彼の髪の毛を梳くと気持ちよさそうに笑みを浮かべた。
「えぇ、心配で眠れなかったの」
泣き出しそうな恋人の声に目を開いたトニーは、顔を顰めながら起き上がった。
「心配かけたな。すまなかった。だが、もう大丈夫だ」
背中を伸ばしたトニーは、苦痛のあまり流れ落ちた汗を拭き取ると立ち上がった。
「ほら、もう寝よう。さすがに疲れた」

足元のふらつくトニーを支え寝室へ向かったペッパーは、彼を着替えさせるとベッドに寝かせた。
辛そうに顔を顰めるトニーの右腕にそっと寄り添ったペッパーは、ずっと気になっていたことを切り出した。
「ブルースは…」
チラリとペッパーを見たトニーは、彼女の肩を抱き寄せた。
「あぁ、大丈夫だ。妙な連中に一服盛られてあの様だ。本人は何も覚えていない。だが、今は正気を取り戻しているよ」
よかったわ、と息を吐き出したペッパーは、トニーの頬を撫でると、彼の目をじっと見つめた。
「あなたを待ってるこの時間って、私、嫌いよ…。あなたが二度と帰って来ないんじゃないかって…。そう思うと…」
目を潤ませたペッパーは、トニーの胸元に顔を押し付けた。
小さく震えるペッパーの背中をゆっくりと撫でたトニーは彼女を力強く抱きしめた。
「ペッパー、私は君の元に必ず帰って来る。何があっても、必ず…」
「約束よ…」
何度も約束の言葉を交わした二人は、お互いの温もりを確認し合うように、いつまでも硬く抱き合っていた。

同棲5題。拍手お礼

最初にいいねと言ってみませんか?

02.倦怠期?

とある昼下がり。NYの街角の洒落たカフェにはペッパー・ポッツとナターシャ・ロマノフの二人がいた。
出会った当初は何となくお互いを信頼することができなかった二人だが、ナタリーことナターシャの素性を知ったペッパーは、彼女を受け入れ、そしてナターシャもペッパーを数少ない親友の一人として受け入れたのだった。
今日も『女子会』と称してお互いの近況を報告し合っていたのだが…。

「最近ね、トニーを見るとイライラするの…」
デザートを突きながらペッパーは盛大にため息を付いた。
「イライラって?」
ケーキを口に頬張ったナターシャは、首を傾げた。
スタークの査定のために潜入していた時、世間一般と少々感覚のズレているトニーにペッパーはよくイラつき怒っていた。それは友人となり二人のプライベートにまでお邪魔するようになってからもよく見られる光景。だからナターシャからしてみれば、何を今さら…というところだろうか。
あまり興味なさそうなナターシャに気付いてはいたが、誰かに聞いてもらいたいペッパーは、咳払いをすると話し始めた。
「前は気にならなかったことが凄く気になって…。例えばね、下着をベッドの下に脱ぎ捨てたままにしておくとか、朝起きてバスルームに何も着ずに向かってそのまま出てくるとか、野菜を食べさせようとせっかくサラダを作ってもなかなか食べないこととか、家にいる時にやたらとベタベタくっついてくることとか、毎晩アレを求めてくるけど、正直面倒な時もあったりするし…。とにかくね、前はかわいいって思ってたことがね、妙に癇に障るというか…。結局私がイラつい て、彼に八つ当たりして…それで喧嘩になって……」
(ちょっと…。それって、ただの惚気なんじゃないの?)
そうは思ったものの、目の前の親友は本気で悩んでいるのだからそんなことを言えるはずもない。
仕事もプライベートも、四六時中共にいる二人だから、トニーはともかくペッパーには息抜きが必要なのだろう。
「倦怠期よ、きっと。距離を置いてみたら?」
と提案してみたものの、『距離を置く=別れる』と解釈したペッパーは、目に大粒の涙を浮かべた。
「私たち、別れた方がいいのね…」
ペッパーの目から零れ落ちた涙が膝の上に落ちるのを見たナターシャは、背中をぽんっと叩くとウインクした。
「違うわよ。あなたには息抜きが必要ってこと。たまには女だけで出かけましょ?私もね、あいつに少しだけ腹が立ってるの。だから私たちがいかにあいつらに必要か、思い知らせてやりましょ?」

3日後…。
ミーティングルームへ入るなり、S.H.I.E.L.D.長官であるニック・フューリーは室内のどんよりした空気に一瞬怖気付いてしまった。
よく見ると、部屋の中央にいるトニー・スタークからその淀んだ空気は漂ってきており、他のメンバーは誰も近寄れないのか、遠巻きにそれを見ているではない か。
「どうしたんだ、スタークは?」
近寄って来たバナーのそっと尋ねると、彼はひそひそと耳打ちした。
「ミス・ポッツが行方不明なんです」
「行方不明?!」
声が大きくなり慌てて口を押えたが、その言葉に過剰に反応したトニーは、身体をビクつかせた。
「見つからないのか?」
こそこそとバナーに尋ねると、彼は眉を潜めた。
「えぇ…。スタークでさえ見つけられないんです。もしかして…」
言葉を切ったブルースと、ゴクリと唾を飲み込んだスティーブ。
最悪の事態を一瞬想像したフューリーだが、こういう時こそ我らがエージェントの出番だと、あの二人を呼び出そうとした。
だが、肝心の二人の姿は見当たらない。
「おい、バートンとロマノフは?」
二人の名前を聞き、それまで控えていたコールソンが言いにくそうに話し始めた。
「実は…ロマノフも行方不明なんです。バートンは…その…ショックのあまり巣に籠ってます」
どいつもこいつも…と、頭を抱え込んだフューリーだが、コールソンを睨みつけると、まだ沈み込んでいるトニーに向かって声を荒げた。
「バートンを巣から引きずり出して来い!それから、スターク!ミス・ポッツは必ず見つける。それよりも仕事だ!シャキッとしろ!」
顔を上げたトニーはチラリとフューリーを見上げたが、またすぐに顔を伏せてしまった。
「ニック、放っておいてくれ。ペッパーが行方不明なんだ。今の私に仕事は無理だ。何もする気が起こらない…。他を当たってくれ…」
どうしたものか…と、再びフューリーが頭を抱え込んだ時だった。エージェントに引きずられるようにクリントが姿を現すと同時に、トニーの携帯が鳴り始め た。
ポケットから携帯を取り出したトニーは、画面を見ずに電話を出た。
「…スタークだ…」
すると…。
「ぺ、ぺ、ペッパーか?!おい!どこだ!今、どこにいるんだ!」
叫び声と同時に立ち上がったトニー。その衝撃で椅子がひっくり返った。
「帰ってきてくれたのか!……仕事?そんなはずはない!今すぐ帰る!待ってろ!…何?ロマノフも一緒だと?!」
ナターシャがペッパーと一緒と知ったクリントは、自分を押さえていたエージェントを突き飛ばすとトニーの元へ走った。
しばらく電話に耳を傾けていたトニーだったが…。
「分かった!すぐに帰る!」
目を輝かせたトニーは電話を切ると、縋り付いているクリントを見つめると頷いた。
「スターク!」
「任せろ!行くぞ、レゴラス!」
アーマーを呼び寄せたトニーは、クリントを小脇に抱えると、大空に向かって飛び出して行った。

「何だったんだ…」
後に残されたのは、さっぱり状況が分からない上に振り回された人々ばかり。
そして…。
「おい!仕事だと言っただろ?!いいから呼び戻せ!」
怒り狂ったフューリーだったが、あのトニー・スタークを呼び戻すことなど誰が出来よう。エージェントにバナーにスティーブ、そしてマリア・ヒルでさえも、そっと部屋を出て行ったのだった。

同棲5題。拍手お礼

2 人がいいねと言っています。

01.手を繋いで眠る

ソーがアスガルドへ戻り数日経った。が、相変わらず連絡はない。
(平気よ。この前は2年も連絡がなかったんだし…)
待ち続けたあの日々に比べれば、この数日など比べものにならない。だが、別れ際に交わした口付けを思い出したジェーンは、そっと唇に指を這わせた。
物思いに耽るジェーンにダーシーが声をかけようとしたその時だった。
晴れ渡った空に突然雷が鳴り響いた。窓の外を見ると、空から輝く光が降り注いでいる。
「ジェーン!あれって、も……」
ダーシーは最後まで言えなかった。なぜなら、ジェーンはとっくにその場から消え失せていたのだから…。

万感の思いと共に唇を奪ったソーは、心を捉えて止まない女性を腕の中にそっと閉じ込めた。触れれば壊れそうなくらい弱くか細い人間。だが、その瞳に見える内なる強さは、アスガルドの神を凌ぐほど。だからこそ、彼女は自分に必要なのだ…。

「王位は継がないと伝えた。自分の人生を歩みたいと父上に伝えた。父上は、王としてではなく、父親として賛成して下さった」
「それって……」
顔を上げたジェーンは、ソーの言葉に驚きつつも口元を緩めた。彼女の目をじっと見つめたソーは、アスガルドを旅立つ前から告げようと決めていた言葉を口にした。
「ジェーンよ、俺と共にいてくれ。俺はお前と共にいたい。こうやって、お前に触れていたいんだ…」
目を潤ませたジェーンの頭にもキスを落としたソーは、彼女の身体を愛おしそうに抱きしめた。

こうして、ソーとジェーンの暮らしが始まった……。

☆ ☆ ☆

「ソーはジェーンの部屋ね!」
アスガルドから転がりこんできたソーの歓迎会も終わり、酔い潰れソファーで眠りこけているセルヴィグに毛布を掛けながら、ダーシーは言い放った。
一緒の部屋と言うことは……と、一瞬考えこんでしまったジェーンだが…。
「だ、ダメよ!」
ジェーンは顔を真っ赤にすると飛び上がった。
「ほ、ほら!ゲストルームが…」
「ゲストルームなんか、この狭い家にあるわけないでしょ?」
肩をすくめたダーシーは大げさにため息を付いた。
「う、うん…」
軽くパニックになったジェーンは、状況が掴めずポカンとしているソーの服の裾を引っ張ると大声で叫んだ。
「そ、ソー!もう寝るわよ!」
「あ、あぁ…」
頭を掻いたソーは、ムジョルニアを呼ぼうと手を差し出した。玄関のコート掛けに掛けられたムジョルニアがガタっと音を立てたのに気づいたジェーン。これ以上家を破壊されては大変と、慌てて彼の腕にしがみ付いた。
「ムニョムニョはそのままでいいから!」
「ムニョムニョではない!ムジョルニアだ!」
何度言えば覚えてくれるのだろうか…。ムジョルニアを呼び寄せることを諦めたソーは、口を尖らせるとまだ何か言いたげなジェーンを抱え、彼女の部屋へと向かった。

ソーが自分の元へ来たということは、いずれはそうなると言うことだ。だが、ソーとはまだキスしかしたことのないジェーンは、あまりの急展開にどうしていいか分からなかった。
という訳で、パジャマに着替えたジェーンはベッドに潜り込むと
「お、おやすみなさい!」
と、目を閉じたまま叫んだ。
おやすみなさいと言われたものの、彼女の部屋のベッドはシングルベッドが一つだけ。小さなベッドはジェーンに占拠されているし、そうかと言って床で寝るのも気が引ける…。いや、正確には目の前に最愛の女性がいるのだ。一人寝なんかもってのほか。
服を脱いだソーは…一応下着はつけたままだが…、ジェーンの潜り込んでいるシーツをそっと捲るとベッドの端に横になった。

だが…。
(せ、狭い……)
ソーの大きな身体にはシングルベッドの端は狭すぎた。動けば落ちそうになるのだからたまったものではない。こうなったら彼女を無理やりでも抱きしめて…と思ったソーの脳裏に、アスガルドを出発する前シフに言われた言葉が蘇った。
『いいこと!ソー!これだけは覚えておいて。女性の扱いは慎重にね!』
彼女が自分に恋心があったのは知っている。そして自分も少なからず彼女に好意を抱いていた。それは父親であるオーディンだけではなく、周囲の人々が皆気づくほど。シフは戦友だ。大切な仲間だ。だがそれ以上に今隣にいるミッドガルドの女性の存在は自分の中で大きくなりすぎていたのだ。

(彼女に触れたい。この腕に閉じ込め、そして…)

我慢の限界だった。彼女に対する欲がこんなにも蓄積していたとは自分でも思わなかった。
「ジェーン…」
彼女の方を向き、細い肩にそっと触れると、彼女はビクっと身体を震わせた。

背後から逞しい腕に抱きしめられ、ジェーンは胸の高まりを抑えられなくなっていた。身体を抱き寄せられると耳元を彼の熱い息が擽り、ジェーンは胸の前に回された彼の腕にそっと触れた。
「お前が欲しい…。ジェーン・フォスター、お前の全てを俺にくれないか?」
(ソーったら、いつの間にそんなセリフが言えるようになったの?)
無骨な彼にこんなにも甘い囁きを与えられるとは思ってもいなかった。
怖いほどの幸せな瞬間。涙が零れ落ちるのもそのままに、ジェーンは最愛の男に向かい合うと彼の身体にしがみ付いた。

それからの時間は夢のよう。
結ばれた瞬間も、まるでフワフワと甘く明るい世界を漂っているような感覚に包まれたジェーンは思った。きっと今日のこの瞬間のことは、死ぬまで忘れないわ…と。

身体が離れた後、恥ずかしがりシーツに潜ってしまったジェーンをソーは優しい瞳でじっと見つめていた。

最愛の女性と結ばれることがこんなにも幸せで、そして心を満たしてくれるとは知らなかった。母親と、そしてあの義弟もだが…命を掛けて守ってくれた女性。 これからは自分が守り、そして幸せにしてみせる。それが亡き母と弟、そして自分の我儘を許してくれた父の思いに応えることになるだろうから…。

ソーの視線に気づいたジェーンは、シーツからもそもそと目元だけを覗かせると、上目遣いにソーを見つめた。
「手、繋いでいい?」
くしゃっと笑顔を浮かべたソーは、シーツごとジェーンを抱きしめると、差し出された手を取った。
自分の手の半分ほどしかない小さな手。だが、その温もりは今まで触れたどんな物よりも柔らかくそして温かかった。
「お前の手は温かいな」
指を絡めそっと握りしめると、彼女はソーが見たことがないくらい幸せそうに微笑んだのだった。

同棲5題。Thor TDWのED後のシーン妄想です。

2 人がいいねと言っています。