「高校生」カテゴリーアーカイブ

⑥014.エッチなカラダ

新学期が始まった初日。帰り支度をしていると、事情聴取よ…と、ナターシャに捕まったペッパーは、もう一人の親友であるジェーンと共にカフェテリアにいた。早速あれこれ聴き始めたナターシャの誘導尋問に見事引っかかったペッパーは、ものの数分後に、トニーと付き合い始めたことを暴露してしまった。
「嘘でしょ!!!」
大声を出し立ち上がったナターシャを、カフェテリア中の生徒が何事かと注視した。
「ご、ごめんなさい。何でもないです…」
手を振りながら腰を下ろしたナターシャは、声を潜めた。
「まさかあんたがスターク先輩と…」
信じられないとブツブツ言うナターシャに、ペッパーは口を尖らせた。
「そんなこと言わないでよ…。私だって信じられないんだから…」
「きっとペッパーの内面に惹かれたんじゃない?」
苦笑しながらも助け舟を出してくれたジェーンをチラリと見たナターシャは、大きく頷いた。
「そうよね…。だって、この子、スタイルはいいけど…胸はないし…。相手はあのトニー・スタークーなのよ?もっと胸の大きい絶世の美女と付き合うと思ってたのに…」
よく考えれば失礼なことを言われてるが、本当のことなので何も言えずペッパーは黙ってしまった。言い過ぎたと思ったのだろう。ニヤリと笑みを浮かべると、話題を変えた。
「で、どこまで進んだの?エッチはしたの?」
ナターシャどころかジェーンまで目を輝かせているのに気付き、ペッパーはため息を付くと小さく頷いた。パッと顔を輝かせた二人は身を乗り出した。
「ね、ねえ!先輩って…その…エッチが上手いって本当?」
「上手いって……私…キスもだけど、全部彼としか…」
真っ赤な顔をしてもじもじし始めたペッパーに、ナターシャは意地悪な笑みを浮かべた。
「でも、あんたのお子様な体型に、スターク先輩は満足してるの?それに、初心者すぎて物足りないんじゃない?」
何と返せばいいのか分からないペッパーは、口をぽかんと開けて固まってしまった。
確かにナターシャは、豊満な胸にくびれた腰と抜群のスタイルをしている。
それに引き換え、私は…。
透き通るような滑らかな肌をトニーは褒めてくれた。そしてすらっと伸びる足も…。だけど、小ぶりで谷間もあまりない胸には、きっとガッカリしてるはず。両手にすっぽりと収まる胸を見た彼は、「すごくカワイイ。最高だ」と言ってくれたけど…。それに、何も知らない私だから、きっと物足りないはず…。
どうしよう…と、泣き出しそうになったペッパーに慌てたのはナターシャ。奥手のペッパーに恋人ができたのが嬉しくて少しからかってみたくなったのだが、こんなに落ち込むとは思ってもいなかった。
ポロリと涙を零したペッパーに、何とかしなさいよと、ジェーンはナターシャを突ついた。どうしようかとキョロキョロし始めたナターシャだが、カフェテリアの入り口に彼女の恋人であるクリントと、その隣に噂のトニー・スタークが立っているのを見つけ手招きした。ナターシャに気づいたクリントは、トニーを引っ張ると三人のいるテーブルに駆け寄った。
「ナターシャ!会いたかったぞ!」
今にもキスをしそうなクリントをあしらったナターシャは、ペッパーが泣いていることに気付き顔をしかめているトニーを彼女の隣に座らせた。
「ペッパー、どうしたんだ?」
突然トニーが現れ、ペッパーは飛び上がった。
「せ、先輩?!」
ペッパーの大きな声にカフェテリア中の生徒が振り返った。そして、声の持ち主の隣にあのトニー・スタークが座っているのが分かるとざわつき始めた。
辺りに不穏な空気が流れ始めたのに気づいたトニーは、これはいい機会だとニンマリした。
「おい、クリント。お前の彼女は俺のオンナを泣かせたようだぞ?責任取ってくれ」
ペッパーの肩を抱き寄せたトニーは、周囲に聞こえるようにわざと声を張り上げた。
『俺のオンナ』というトニーの言葉に、小さな悲鳴が辺り一面から上がり、カフェテリア中の女子生徒がテーブルに倒れこんだ。
つまり、年末に学校中を駆け巡ったあの噂は本当だったわけで、トニー・スタークの新しい恋人は、あまり目立ちもしない一年生のヴァージニア・ポッツ。この大スクープを見逃すはずはなく、みんな一斉に携帯をつつき始めた。
そんな周囲の大騒動をよそに、トニーは真っ赤になっているペッパーの頬にキスをすると、ナターシャに向かってニヤリと笑った。
「で、女性三人で何を話してたんだ?」
トニーの友達の恋人として何度か顔を合わせたことのあるナターシャは、隣のジェーンを紹介しつつも苦笑い。
「先輩の話ですよ。まさかペッパーの彼が先輩だったなんて…。なんで教えてくれなかったんですか?」
「別に話す機会がなかっただけだ。まぁ、今日はいい機会だったみたいだけど」
聞き耳を立てているギャラリーをチラリと見たトニーは、ペッパーに向かって笑いかけた。
「ハニー、まだ時間も早いし、デートしよう。夕方まで可愛がってやるよ」
「と、トニー!!」
頭から湯気を出しそうなくらい真っ赤になっているペッパーは、ポカポカとトニーの肩を叩き出した。楽しそうに笑ったトニーは、ペッパーを抱きしめると立ち上がった。
「じゃあ、俺たちはこの辺で…」
二人の様子をニヤニヤと見つめていたナターシャだったが、先ほどまでの会話を思い出し、小声でトニーに尋ねた。
「先輩、この子、ウブなんです。お手柔らかにお願いしますね。でも、先輩は百戦錬磨なのに…物足りなくないんですか?」
ナターシャの言葉に一瞬目を丸くしたトニーだったが、ふんっと鼻を鳴らした。
「ペッパーは完璧だぞ?俺の理想のオンナだ。だから不満なんてない。それに…」
口の端を上げたトニーは、ナターシャの耳元で何事か囁くと、ペッパーを連れてカフェテリアを後にした。

「トニーの奴、彼女に夢中だな」
ジュースを啜ったクリントは、ジェーンの目の前のポテトを1本奪うと口の中に放り込んだ。その手をペチっと叩いたジェーンは、顔を赤くしているナターシャに尋ねた。
「ねぇ、先輩何だって?」
クリントからジュースを強奪したナターシャは、一気に飲み干すと大きく息を吐いた。
「『教え甲斐がある』ですって!それに…そのうちみんなが振り向くようなエッチな身体にさせるから見とけよ…だって…」
実にトニーらしい言葉に、三人は顔を見合わせるとため息を付いた。

⑦103.スキャンダラス

高校生パロ。ナターシャとジェーンは同じ年の幼馴染設定

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⑤025.所有印

翌朝、狭いベッドの中で二人は身を寄せ合って目を覚ました。初めて二人で迎える朝。
「おはよう、ペッパー…」
普段は聞くことのできない甘い声で囁かれ、昨晩のことを思い出したペッパーは、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にするとシーツの中に潜ってしまった。
「どうしたんだ?」
シーツごとペッパーを抱き寄せたトニーは身体を押し付けた。
「せ、先輩?!あ、あ、あれが…」
尻の辺りに当たっている熱く硬い物が何か気づいたペッパーは、シーツから顔を出すと真っ赤な顔をして叫んだ。顔を覗かせたペッパーをそのままベッドに貼り付けると、トニーはニヤニヤと笑みを浮かべた。
「いわゆる朝勃ちだ。生理現象だから気にしないでくれ」
口をパクパクと開けているペッパーの首筋に何度かキスをすると、トニーはベッドから起き上がった。
「シャワー借りるぞ?それから、せっかくだから何処か行かないか?」

朝食を食べた後、着替えてくると家に戻ったトニーは、ド派手な高級車に乗って戻って来た。
「す、凄い車ね…。先輩の?」
乗ったことがない高級車にドキドキしながら乗り込んだペッパーだが、トニーはさみしそうに笑った。
「あぁ…。親父が使えって置いていったんだ…」
どうして彼がそんな顔をするのかその時は理解できなかったペッパーだが、トニーにディズ○ーランドに行こうと言われると、喜びのあまり、すっかり忘れてしまった。

一日中遊んだ二人は、トニーの家へ戻って来た。
あの日以来、足を運んだことのないトニーの家はLAの中でも一、二を争うほどの豪邸だった。だが、大きな家はしーんと静まり返っており、トニーが戻っても誰も出てくる気配がない。
「先輩のご両親は?」
トニーの後ろを付いて行きながら、ペッパーは辺りを伺うように尋ねた。リビングのドアを開けながら、トニーはペッパーの方へ顔を向けた。
「親父とお袋はNYだ。この家には俺一人。もう5年くらいこの状態だ。今、本社をLAに移している最中だけど、まだ基盤はNYだから…。二人ともたまに帰ってくるけど、クリスマスも俺が向こうに行ったから、こっちには2年くらい戻ってきてないんじゃないか?」
わずかに口の端を上げたトニーだったが、その瞳は悲しみとそして寂しさで溢れていた。
「だから自由にさせてもらってるんだけどな」
泣き出しそうな顔をしたペッパーに気付いたトニーは慌てて付け加えた。

リビングに入ると、部屋の中央には初老の男性が立っていた。誰もいないはずなのに、誰?!と目を白黒させるペッパーだが、背を向けているトニーは気づいていない。
「おかえりなさいませ、トニー様」
その男性の声に飛び上がったトニーの顔には、みるみるうちに笑顔が浮かんだ。
「ジャーヴィス!いつ戻ったんだ?」
駆け寄ってきたトニーに一礼したジャーヴィスと呼ばれた男性は温かな笑みを浮かべた。
「はい。先ほど戻って参りました。旦那様と奥様から坊っちゃまにと、預かって来た物がございます。明日にでもお部屋に運ばせて頂きます。…おや?そちらの 可愛らしい方は?」
ペッパーに気付いたジャーヴィスは、とニーとペッパーを交互に見つめた。
「彼女は俺の恋人だ。ペッパー、ジャーヴィスだ。スターク家の執事で、この家のこと一切を仕切ってくれている」
「は、初めまして。ヴァージニア・ポッツです。ジャーヴィスさん、ペッパーと呼んで下さい」
頭をぺこりと下げたペッパーは可愛らしく、孤独だった主人にもこのような女性が現れたのだと思うと、自然に浮かんだ涙をジャーヴィスは気づかれないようにそっと拭った。

その後、トニーの部屋の大きなベッドの上で、思う存分愛を囁きあった二人だが、ペッパーの両親が戻ってくるということもあり、夜明け前に彼女を送り届けたトニーが戻って来たのは、辺りが明るくなり始めた頃だった。
一眠りしようと、大あくびをしながら自室へ引き上げるトニーに、ジャーヴィスが声をかけた。
「トニー様、ペッパー様は可愛らしい方ですね。ですが…お気をつけ下さい。ペッパー様の首筋のかなり目立つ場所に、トニー様の印がたくさん刻まれていました」
「なっ!?」
ジャーヴィスの言葉に顔を真っ赤にしたトニーは、おそらく気が付いていないであろうペッパーに知らせようと、慌てて電話をかけ始めたのだった。

⑥014.エッチなカラダ

高校生パロ第二話。1月のお話。老執事ジャーヴィスは親代わり

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③059.ヒミツの体験

付き合い始めて二週間。
あのトニー・スタークの恋人となったペッパーだったが、彼に憧れあわよくば付き合いたいと思っている生徒は数知れず。結局誰にも言えないまま、二人の関係は秘密となっていたのだった。
幸いと言うべきか、学年も違い授業の終わる時間も違うため、二人が校内で顔を合わせるのは部室でということが多く…と言いたいところだが、相変わらずトニーはほとんど顔を覗かせない。加えて、恋人になった翌日からテスト期間に突入したため、二人はあの日以来メールか電話でしかやり取りしていなかった。
そんな中でも、二人の関係は一歩ずつ前進していた。
トニーはペッパーのことを『ペッパー』と名前で呼ぶようになっていたし、ペッパーの方も今まで通り『先輩』と呼ぶことの方が多かったが、時折恥ずかしそうに『トニー』と呼ぶことも増えていたのだった。

ある日の放課後、帰宅しようとしていたペッパーは携帯が鳴っていることに気付いた。見るとこの時間にしては珍しく、トニーからのメールが届いたようだ。
『図書館で待ってる。3階の一番奥の書棚にいる』
ちょうど分からないところがあるのよね…と、教科書をカバンに詰め込んだペッパーは、友達に別れを告げると跳ねるように図書館へ向かった。

試験前ということもあり、図書館は必死な形相の生徒で溢れかえっていた。静まり返った図書館内に響き渡るペンの音。その間を縫うように指定された場所へ向かったペッパーは、一番奥の死角となった場所で壁に寄りかかって座り込み小難しい本を読んでいるトニーを見つけた。
「先輩?」
小声で呼ぶと、トニーは嬉しそうに顔を上げた。
「ペッパー。待ってたよ」
場所柄、囁くような声しか出せないが、それが返ってイケナイことをしているように思え、トニーの膝の上に座ったペッパーは恥ずかしそうに抱きついた。
「こんな場所があったのね」
本が好きなペッパーはよく図書館に来ていたが、人目につかないこんな場所があるとは知らなかった。
「そりゃそうだろ。高校の図書館で、軍備設備や兵器の本を借りに来る奴なんて、俺くらいしかいないさ」
澄まして言うトニーの言葉に辺りを見回したペッパー。トニーの言うとおり、英語ではない言語のタイトルがずらりと並んだそのコーナーは埃をかぶっている。先ほどトニーが読んでいた本もロシア語らしき言語で書かれており、トニーは一体何を勉強しているのかしら…と、ペッパーは目を白黒させた。そんな彼女の様子に気付いたトニーは苦笑い。
「うちは軍の武器を製造している会社だからな。…もっとも、これからは違う分野にも進出しなければならないだろうけど…」
「先輩…ちゃんと将来のことを考えてるのね…」
感心したように声を上げたペッパーだが、照れたように頭を掻いたトニーは慌てて話題を変えた。
「ところで、秘密の逢瀬にはもってこいの場所だろ?」
『逢瀬』と聞いたペッパーは、数々のトニーの噂を思い出し、眉をひそめた。
「それって…」
疑うような視線を向けたペッパーに、苦笑したトニーは彼女の頬にキスをした。
「違うさ。別にオンナを連れ込んでたわけじゃない。一人になりたい時にここでサボってたんだ。いい機会だから言っておくが…俺は噂されているみたいに遊んでないからな。付き合ったのは君が初めてだし、君と寝てからは他のオンナに触れてもいない。もちろん、学校内の生徒とは誰とも寝てない」
「学校内は…でしょ?ということは、他の学校の生徒とは…」
顔を曇らせる恋人。俺はどれだけ遊び人と思われているんだろう…と内心ガッカリしたトニーだが、彼女には真実を伝えようと必死だった。
「パーティーで知り合った一夜限りの年上のオンナばかりだ。それも向こうも似たようなものだから、俺の友達ともヤったようなオンナばかりで…」
どちらにせよ、過去にオンナがたくさんいたのは真実だ。もごもごと口ごもったトニーは、気まずそうに顔を背けた。
例え遊んでいたとしても、それは昔のこと。私と関係を持ってからは、一度も遊んでいないというトニーの言葉は事実だろう…。そう思ったペッパーは、トニー の唇にそっとキスをした。
「分かってるわ。先輩が私のことを大切に思ってくれてるのは。だから先輩の言葉を信じるわ。でもね…ここでは…イヤ…」
途中で、背中を這い回る手に気づいたペッパーは、顔を赤らめた。
「あぁ、そうだな。でも、二人きりになるにはもってこいの場所だろ?今日はキスだけ。試験が終わったら、あの日の続きをしよう」
「うん…」
思いがすれ違ったまま関係を持ってから、二人はキスしかしていなかった。恋人になった今、改めて関係を築きたいと思っているのはトニーだけではなくペッパーも同じだった。
顔を見合わせ笑った二人は、どちらともなく唇を合わせた。次第に深くなるキス。子供のようなキスしか知らないペッパーは、トニーに先導されるようにただ身を任せていた。
「んぅ…」
ぴちゃっと音をたてて唇を舐めたトニーは、薄っすらと開いた唇の隙間から舌を侵入させた。トニーの舌を迎え入れたペッパーの舌は彼のものに絡められ、飲み込みきれなかった唾液が口の端から流れ落ちた。
初めてのキスに頭がくらくらし始めたペッパーは、トニーのシャツをキュっと握り締めた。
息も出来ぬほどの激しいキスにペッパーの身も心もトロトロに溶け始め、お腹の奥が熱くなり始めたペッパーは、モジモジと太腿を擦り合わせた。
「と、とにー…」
舌足らずなその声に理性を必死で保とうとするトニーだが、少しだけなら…と、Tシャツの下に手を入れると素肌を撫でた。
「ひゃっ!!」
思わず大きな声を出したペッパーの口を慌てて塞いだトニーは
「しー…バレるぞ?我慢しろよ」
と、ニヤニヤと笑った。
「だ、だって…」
これ以上ないほど顔を真っ赤にしたペッパーは、潤んだ瞳でトニーを見つめた。
(さすがにこれ以上はマズイな…)
今日はこのくらいに…と、トニーが言おうとしたその時、賑やかな声が近づいてきた。
「誰か来たわよ?!」
「誰だよ…まったく…」
泣き出しそうなペッパーを立ち上がらせたトニーは、身なりを整えると転がっているカバンを持たせた。
「俺は大丈夫だから、向こうの棚から回って外に出ろ」
名残惜しそうにキスをしたペッパーが反対側の棚に身を隠すと、男子生徒が数名トニーの元へ近づいていくのが見えた。
「いたいた!トニー!頼む!先生にレポート出されたんだ。教えてくれよ~」
「なんだよ、クリントとスティーブか。せっかく一人で静かだったのに。仕方ないな。テーマは?」
楽しそうに話すトニーの声を聞きながら、ペッパーはそっと階下へと降りて行った。

④065.あの日の続き

高校生パロ。1月のお話。

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②142.躰から始まる恋もある

二人が顔を合わせたのは、年が明け行なわれた部の新年会だった。
トニーに協力してもらったペッパーの研究は、最優秀賞は逃したものの、その着目点は大いに評価され、審査員特別賞を受賞したのだった。一年生がこの栄誉に輝いたのは学校創設以来のことだったため、顧問は大喜び。近くのビーチでバーベキューパーティーを開いてくれることになり、主役であるペッパーはもちろんのこと、あれ以来彼女と話そうにも話せなかったトニーも参加したのだった。だが、こんな席にトニーが参加すること自体が珍しいため、彼はあっという間に他の女子部員に囲まれてしまい、トニーのことが気になりつつも、ペッパーはどうすることもできず目を合わせないようにしていた。

女の先輩たちと話していたペッパーだが、以前よりペッパーのことが気になっていた男子生徒がペッパーに近づいて来た。
「ポッツさん、おめでとう」
「ありがとうございます」
可愛らしく笑ったペッパーは、その男子生徒に誘われるように会話をし始めた。
二人仲良く話している姿をじっと見つめていたトニーだったが、他の男が彼女と二人でいるのを見せつけられ、気が狂いそうになり、気が付くとペッパーの目の前に立っていた。
「先輩、どうしたんですか?」
突然目の前にトニーが現れ驚いたペッパーは、目を丸くしている。
「ポッツくん、話があるんだ。いいか?」
ペッパーの腕を引っ張り強引に立たせたトニーは、少し歩こう…と波打ち際を歩き始めた。

しばらく黙ったまま歩いていたトニーだったが、重い口を開いた。
「この間はすまなかった」
「いえ…私こそすみませんでした。先輩にはお世話になったのに…」
俯いたままのペッパーは、足を止めると頭を下げた。
そばにあった流木に腰を下ろしたトニーに手招きされたペッパーは、彼の隣にちょこんと座った。
海を眺めながら、トニーは静かに話し始めた。
「あれからいろいろ考えたんだ。無理やりあんなことをしてしまって本当にすまない。だが、ポッツくん…その…」
足元に落ちていた貝殻を海に向かって投げ捨てたトニーは、ペッパーをじっと見つめた。
「俺と付き合わないか?」
(付き合うとは、恋人になるってことよね…。彼はあの日のことに責任を感じてそう言ってるのよ…)
そう考えたペッパーは口を尖らせた。
「先輩、それって…躰から始まる恋をしようってことでしょ?そんなの続くわけないわ…」
潤んだ瞳を擦ったペッパーだが、トニーは首を振った。
「いや、違う。確かにあの時俺は君のことを欲望のまま抱いた。だが、俺は…君に初めて出会った時から君のことが気になっていたんだ」
「初めてって…」
彼の言う『初めて会った日』は、手伝うと言ってたくれた日のことだろう。でも、どうして…とペッパーは戸惑った。戸惑うペッパーの手をそっと取ったトニー は、キュッと握りしめた。
「君たちが入部した時に歓迎会があっただろ?あの時、他のオンナは俺に纏まりついてきたけど、君は違った。話す機会はなかったが、君は不純な動機で入部したんじゃないって気付いていた。それからしばらくして、俺は先生に呼ばれた。『ポッツくんという生徒は優秀なんだが、もう一皮脱げて欲しい。君からアドバイスをしてくれないか?』と。今までも頼まれたことはあった。だが、人と関わるのは面倒だと断ってきたんだ。でも君のことは放っておけなかった」
「だからあの日…」
あの日、彼が来たのは、先生に呼ばれたからでも偶然でもなかったのだ。彼が自ら…それも自分のために来てくれたということだけでも、ペッパーは込み上げる涙を抑えることができなくなっていた。
「あぁ。君と話しているうちに、俺は君のことがますます気になり始めた。だが、俺のことを兄のように慕ってくれる君に、自分の気持ちは伝えられなかった。 君に嫌われたくなかったんだ…。でも、俺が恐れずにもっと早く話していれば、こんなことにはならなかったな…」
鼻の頭を掻いたトニーは、真剣な目でペッパーを見つめた。
「ポッツくん、俺は君のことが好きだ。君を愛している。正直なところ、こんな気持ちは初めてなんだ。俺は生まれて初めて恋をした…」
「先輩…」
あの時、彼は自分の欲のためだけに私を抱いたんじゃない…。私だから抱いたんだ…。
ポロっと涙を零したペッパーは、腕を伸ばすとトニーに抱きついた。
「先輩…私も先輩が好きです。大好きな先輩だから、あの日…」
震えるペッパーの背中を抱きしめたトニーは、首元に何度もキスをおとすと、耳元で囁いた。
「分かってる…分かってたんだ。君は自分を安売りするようなオンナじゃない。俺だからだって分かってた。それなのに、俺はあの時何も言わなかった。すまなかった…。これからは君のこと大切にする…。そばにいてくれ…」
「うん・・・」
トニーの肩に顔を押し付けたペッパーは、力強い腕に抱かれ…そして思いが通じ合い幸せだった。

③059.ヒミツの体験

高校生パロ。1月のお話。

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