⑤025.所有印

翌朝、狭いベッドの中で二人は身を寄せ合って目を覚ました。初めて二人で迎える朝。
「おはよう、ペッパー…」
普段は聞くことのできない甘い声で囁かれ、昨晩のことを思い出したペッパーは、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にするとシーツの中に潜ってしまった。
「どうしたんだ?」
シーツごとペッパーを抱き寄せたトニーは身体を押し付けた。
「せ、先輩?!あ、あ、あれが…」
尻の辺りに当たっている熱く硬い物が何か気づいたペッパーは、シーツから顔を出すと真っ赤な顔をして叫んだ。顔を覗かせたペッパーをそのままベッドに貼り付けると、トニーはニヤニヤと笑みを浮かべた。
「いわゆる朝勃ちだ。生理現象だから気にしないでくれ」
口をパクパクと開けているペッパーの首筋に何度かキスをすると、トニーはベッドから起き上がった。
「シャワー借りるぞ?それから、せっかくだから何処か行かないか?」

朝食を食べた後、着替えてくると家に戻ったトニーは、ド派手な高級車に乗って戻って来た。
「す、凄い車ね…。先輩の?」
乗ったことがない高級車にドキドキしながら乗り込んだペッパーだが、トニーはさみしそうに笑った。
「あぁ…。親父が使えって置いていったんだ…」
どうして彼がそんな顔をするのかその時は理解できなかったペッパーだが、トニーにディズ○ーランドに行こうと言われると、喜びのあまり、すっかり忘れてしまった。

一日中遊んだ二人は、トニーの家へ戻って来た。
あの日以来、足を運んだことのないトニーの家はLAの中でも一、二を争うほどの豪邸だった。だが、大きな家はしーんと静まり返っており、トニーが戻っても誰も出てくる気配がない。
「先輩のご両親は?」
トニーの後ろを付いて行きながら、ペッパーは辺りを伺うように尋ねた。リビングのドアを開けながら、トニーはペッパーの方へ顔を向けた。
「親父とお袋はNYだ。この家には俺一人。もう5年くらいこの状態だ。今、本社をLAに移している最中だけど、まだ基盤はNYだから…。二人ともたまに帰ってくるけど、クリスマスも俺が向こうに行ったから、こっちには2年くらい戻ってきてないんじゃないか?」
わずかに口の端を上げたトニーだったが、その瞳は悲しみとそして寂しさで溢れていた。
「だから自由にさせてもらってるんだけどな」
泣き出しそうな顔をしたペッパーに気付いたトニーは慌てて付け加えた。

リビングに入ると、部屋の中央には初老の男性が立っていた。誰もいないはずなのに、誰?!と目を白黒させるペッパーだが、背を向けているトニーは気づいていない。
「おかえりなさいませ、トニー様」
その男性の声に飛び上がったトニーの顔には、みるみるうちに笑顔が浮かんだ。
「ジャーヴィス!いつ戻ったんだ?」
駆け寄ってきたトニーに一礼したジャーヴィスと呼ばれた男性は温かな笑みを浮かべた。
「はい。先ほど戻って参りました。旦那様と奥様から坊っちゃまにと、預かって来た物がございます。明日にでもお部屋に運ばせて頂きます。…おや?そちらの 可愛らしい方は?」
ペッパーに気付いたジャーヴィスは、とニーとペッパーを交互に見つめた。
「彼女は俺の恋人だ。ペッパー、ジャーヴィスだ。スターク家の執事で、この家のこと一切を仕切ってくれている」
「は、初めまして。ヴァージニア・ポッツです。ジャーヴィスさん、ペッパーと呼んで下さい」
頭をぺこりと下げたペッパーは可愛らしく、孤独だった主人にもこのような女性が現れたのだと思うと、自然に浮かんだ涙をジャーヴィスは気づかれないようにそっと拭った。

その後、トニーの部屋の大きなベッドの上で、思う存分愛を囁きあった二人だが、ペッパーの両親が戻ってくるということもあり、夜明け前に彼女を送り届けたトニーが戻って来たのは、辺りが明るくなり始めた頃だった。
一眠りしようと、大あくびをしながら自室へ引き上げるトニーに、ジャーヴィスが声をかけた。
「トニー様、ペッパー様は可愛らしい方ですね。ですが…お気をつけ下さい。ペッパー様の首筋のかなり目立つ場所に、トニー様の印がたくさん刻まれていました」
「なっ!?」
ジャーヴィスの言葉に顔を真っ赤にしたトニーは、おそらく気が付いていないであろうペッパーに知らせようと、慌てて電話をかけ始めたのだった。

⑥014.エッチなカラダ

高校生パロ第二話。1月のお話。老執事ジャーヴィスは親代わり

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