Until now I have been looking for you.⑧

それから毎日昼休みは、体育倉庫で秘密の逢瀬が続いた。ただ抱き合い、キスをするだけのことが多かったが、時間に余裕がある時は愛し合うこともあった。
トニーには狙いがあったのだが、ペッパーは全く気づいていなかった。

が、トニーの作戦が功を奏してか、午後のペッパー・ポッツは美しすぎると男子生徒の間で、次第に話題になっていった。

「今日もポッツさん、いいよなー」
デレデレと鼻の下を伸ばしながらペッパーを見つめる生徒たち。そんな周囲の様子に、トニーは一人優越感に浸っていた。

その日も抱き合いキスをしていた2人だが、キスに酔ったペッパーは誘うように真っ赤に熟れた唇を舐めた。普段の彼女からは想像できない妖艶な姿に、トニーは思わず眉をひそめた。
「なぁ、俺以外の男に、そんな顔は見せるなよ」
トニーを可愛らしく睨みつけたペッパーは、頬を膨らませた。
「見せないわよ。これはあなただけが見ていい私」
「言うようになったよな、ペッパーも」
苦笑したトニーだが、ペッパーの姿に欲情したのは彼も同じだった。トニーの硬くなった下半身に気づいたペッパーはポッと頬を染めた。
このまま愛し合いたいところだが、昼休みはもう終わりそうだ。が、ペッパーは兎も角、トニーはこのまま教室に向かう訳にはいかないだろう。
「何とかするから、君は先に出ろ。授業に遅刻するぞ?」
トニーに言われ一度立ち上がったペッパーだが、再び腰を下ろした。
「おい、ペッパー。俺はいいけど、君は…」
遅刻常習犯の自分とは違い、ペッパーは真面目で優等生。しかも次の授業の担当教師は学園一厳しいことで有名で、遅刻厳禁なのだ。だからこそ、ペッパーにはこんなことで汚点をつけて欲しくなかった。
戸惑うトニーを軽く睨みつけたペッパーは、トニーの足元に跪いた。
「私にも責任取らせて」
そう言いながら、ペッパーはトニーのズボンを下着ごと有無を言わせず下げた。
飛び出してきたトニーを見つめたペッパーは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
(た、確か、こうやって……)
実はペッパーは、いつかは自分からトニーを愛してあげたいと思っていたが、どうやればいいのか誰かに聞くことも出来ず、勇気を振り絞ってインターネットで検索し、勉強していたのだ。今こそ、そのリサーチの成果を発揮する時だと意気込んだペッパーは、トニーを愛おしそうに撫でた。と、トニーがビクッと震えた。そこで舌を這わせながら両手で包み込んでみた。そして大きく口を開け、パクっと咥えてみた。
ぶじゅぶじゅと音を立てながら吸い付くと、口の中のトニーが大きさを増した。
「ぺ、ペッパー……お、おれ……」
あぁ…と呻き声を上げたトニーが、ビクッと震えた。するとペッパーの口の中を熱いものが満たした。それをゴクゴクと飲み干したペッパーだが、お腹の奥底が疼き我慢できなくなってきた。
(トニーが…欲しい…)
トニーは目を閉じシーツの上にひっくり返っている。
スカートと下着を脱いだペッパーは、熱に浮かされたようにトニーを握りしめると、彼の上に跨った。
「おい、ペッパー!」
ギョッとしたトニーはペッパーから離れようとしたが、ペッパーはそのままストンとトニーの上に腰を落とした。
「あ…熱っ……い…」
そのままのトニーが最奥まで入り込んできた。いつもよりも大きく硬いトニーに、ペッパーは自ら腰を動かし始めた。ギュウギュウと締め付けられたトニーも、我を忘れてペッパーを愛し始めた。
人形のようにガクガクと揺さぶられたペッパーは、声を抑えることも忘れているようで、倉庫内に彼女の声が響き渡った。と、ギュッとトニーを締め付けたペッパーが背中を反らせた。急いで抜け出したトニーだが、白い華がパッとペッパーの尻に飛び散った。

倒れこんできたペッパーを抱きしめたトニーは、息を整えると腕時計を見た。
昼休みは終わり、午後の授業は始まっている。が、今から急げば、10分程度の遅刻で済むだろう。それに彼女は『ペッパー・ポッツ』なのだから、気分が悪かったとか言い訳をすれば、遅刻もお咎めなしで済むはずだ。
「ほら、ペッパー。早く支度して…」
抱きついたまま離れようとしないペッパーを促したトニーだが、あろうことか彼女は首を振ると、トニーにキスをし始めた。
思いもよらぬ展開にトニーが目を白黒させていると、ペッパーは悪戯めいた笑みを浮かべた。
「今日はこのままサボろうかしら…」
ペッパーの言葉にトニーはその場で飛び上がった。
「ぺ、ペッパー?!で、でも!遅刻したら怒られるんだぞ?!俺は平気だけど、呼び出しくらって、レポートも山程書かされて…」
真っ青な顔をして叫ぶトニーに、ペッパーは笑い声を上げた。
「トニー、私だって、たまには羽目を外してみたいわ。ううん、ホントはね、一度やってみたかったの。それに、あなたと一緒に怒られるなら、平気よ」
絵に描いたような真面目な性格だと思っていたペッパーからの言葉に、ポカンと口を開けていたトニーだが、次第に可笑しさがこみ上げてき、2人は腹を抱えて笑い続けた。

が、いつまでもここにいる訳にはいかないと、こっそりと抜け出した2人は、トニーの家へと向かった。

翌日。
あの真面目なペッパー・ポッツが、授業をサボったという話題でもちきりだった。ちなみにトニーもサボっていたのだが、彼の場合は常習犯なので、誰も話題にもしていなかった。

「今日は一段と美しいよなぁ、ポッツさん」
「しかも、何か嬉しそうだし」
「それにしても、どうしてサボったんだろうなぁ。あの真面目なポッツさんが」
「でも、あのポッツさんがサボるのは余程の理由があったんだろうって、お咎めなしらしいぞ」
「さすがだなぁ」

少し離れた所をいつものように颯爽と歩いているペッパーを見つめながら、トニーは周囲の声に耳を傾けていた。

と、その時だった。
ペッパーの元に1人の男子生徒が駆け寄った。
「ポッツさん!」
足を止めたペッパーの目の前に直立不動で立ったその生徒は、ペッパーに向かって頭を下げた。
何が始まるのかと、皆が視線を送る中…。
「ポッツさん、付き合って下さい!」
男子生徒の大声に、辺りはしーんと静まり返った。
「え…」
30秒ほど経って、ようやく自分が告白されたことに気づいたペッパーは、ポッと顔を赤らめた。が、すぐにトニーの顔を思い浮かべたペッパーは、一体どうやって断ればいいのかと狼狽し始めた。
「実はずっと好きでした。よければ…」
(ど、どうしよう…。トニーとのことは言えないし……。でも、ちゃんとお断りしなきゃ…)
目をそっと閉じたペッパーが、何とか理由をつけて断ろうと、意を決した時だった。
「ペッパー」
地獄の底から聞こえてきたような声に目をそっと開けると、隣にトニーがいた。告白した男子生徒を鬼の形相で睨みつけたトニーのただならぬ様子に、犬猿の仲を演じることをすっかり忘れたペッパーは、2人きりのように彼の名前を呼んでしまった。
「トニー?」
と、トニーがペッパーの腰を引き寄せた。
えっ?と思った時には、唇が重なっており、息をつかせぬようなキスに力が抜けたペッパーはトニーにもたれかかった。

トニー・スタークがペッパー・ポッツにキスをした!

辺り一面に歓声と響めき、そして泣き叫ぶ声が響き渡った。
犬猿の仲だと思っていた2人が、実は恋人だったのだ。ペッパー・ポッツが変わったのは、トニー・スタークのためだったのだ。
超真面目なペッパー・ポッツが、まさかあのトニー・スタークと付き合っているなんて…。
皆が一斉に写真を撮ったり、携帯を突き回しているのを確認したトニーは、唇を離すと、辺り一面を見渡した。
「ペッパーは俺のオンナだ。いいか、誰も手を出すなよ」
そう大声で言うと、トニーはペッパーの手を繋ぎ、その場から逃げ出した。

人の気配のない校舎の陰にやってくると、真っ赤な顔をしたペッパーはベシベシとトニーを叩いた。
「と、トニーったら!バレちゃったじゃないの!」
恥ずかしそうにキャーキャー言っているペッパーに、トニーは目をくるりと回した。
「いいだろ。それにあれだけ俺のものだってアピールしたら、誰も何も言ってこないさ」
ふんっと鼻を鳴らしたトニーは、大きく伸びをした。そして
「これでペッパーは俺の彼女だって、大声で言えるぞ!」
と、バンザイをしたトニーは嬉しそうに手を叩いた。
「トニーったら…」
確かにペッパーもスッキリした。これでトニーとの関係を隠す必要がなくなったのだから…。
クスクス笑い始めたペッパーはトニーの腕に抱きつくと、上目遣いで彼を見上げた。
「じゃあ、もう、犬猿の仲ごっこは終わりでいい?」
「そうだな」
微笑みあった2人は、キスをしながら教室へ戻っていった。

⑨へ…

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