CWのネタバレ含みます!
CWの劇中でトニーとペッパーは”taking a break”、つまり「距離を置いている」という衝撃な展開なのです。が、どうやらRDJとGPが追加撮影をしたらしいですし、きっと長年築き上げて来た2人の関係をぶち壊すほどマーベルも非道ではないだろうと思うので、何か事情があって偽装しているのだと…。ちなみに4/17の時点ではポストクレジットシーンが1つしかないそうですが、公開時には3つに増えるらしいので、期待…。
***
153. Goodbye
「ペッパー…別れよう…」
急に何を言い出すのかと思いきや、別れ話が始まったのだから、ペッパーはベッドの上で飛び上がった。
「ど、どうして…」
身体を震わせたペッパーの目には大粒の涙が浮かび始めた。
そういえば、この数日、トニーの様子はおかしかった。どこか思いつめたようであったし、切なくつらそうでもあったのだ。
明日のMITでの講演にも共に出席する予定だった。お互い傍で寄り添っているのが当たり前になっていたのに…。
しばらく黙ったままのトニーだったが、顔を上げた彼の目にも薄らと涙が浮かんでいた
「ペッパー…君のことは愛してる…。世界で一番愛している…。だからこそ…君のことは守りたい…。だが…いつも君のことを傷つけてしまう…。それに、何かが起こる気がする。何か悪いことが…。だからだ。君は今、大事な時期だから…」
そういうと、トニーはペッパーのお腹に手を当てた。
新しい命が宿ったと分かったのは、つい1週間前。まだ誰にも打ち上げていない2人だけの秘密。そして2人が何よりも守りたい大切な宝物…。
「…ほとぼりが冷めるまで、安全な所にいろってことよね…」
「あぁ…。だから距離を置いていることにする。そうしないと、君は狙われるかもしれないから…」
辛そうに顔を顰めたトニーは、唇を噛みしめた。
トニーの苦渋の決断をペッパーは受け入れるしかなかった。それもすべて2人の宝物を守るため…。
お腹に置かれたトニーの手に触れたペッパーは、零れ落ちる涙もそのままに、トニーの頬に触れた。
「分かったわ…。あなたの決断ですもの…。この子を守るためだったら…」
それでも傍にいたかった。きっと彼はこの先にあるものに一人きりで立ち向かっていくのだから…。
「でも…必ず迎えに来て…。お願い…。あなたのこと…愛してるから…。この子と2人で待ってるから…」
頬を伝わるトニーの涙を拭い取ったペッパーは、彼の唇を奪った。
「もちろんだ。必ず迎えに行く。だから待っていてくれ…」
キスの合間にそう告げたトニーは、ペッパーの身体を力いっぱい抱きしめた。
数週間後…。
トニーは郊外に向かって車を走らせていた。
ラジオからは先日までの出来事に加え、急に姿を消したペッパー・ポッツとトニー・スタークの破局の話題でもちきりだ。ラジオを消したトニーは、口元に僅かに笑みが浮かべると、スピードを上げた。
やがて車は大きな農場へ到着した。
車を降りたトニーは足早に邸宅へと向かおうとしたが、ふと目の端に何かを捉え立ち止まった。
サングラスをポケットに突っ込んだトニーは、庭に向かって歩き始めた。
彼女は庭でうさぎに餌をやっていた。
降り注ぐ温かな太陽の光の下でうさぎを抱き上げた彼女は、幸せそうに微笑んでいた。
数週間ぶりに見るその笑顔に、胸にぽっかりと空いた虚無感はみるみる内に埋まっていった。
ゆっくりと歩を進めるが、彼女は全く気付いていない。うさぎに小さな嫉妬心を抱いたトニーは、わざと歩を緩めると大きな声でその名を呼んだ。
「ペッパー!!」
うさぎを抱いたままペッパーが振り返った。目の前にトニーがいることが信じられないのか、呆然としているペッパーの腕からうさぎがぴょんと飛び降りた。
「迎えに来た。私は約束を守る男だから」
照れくささもありわざとそんなことを言ってみたが、もう我慢できなかった。一刻も早く彼女を抱きしめたい…。小走りでペッパーに近づくと、立ち上がった彼女も同じ気持ちだったらしく、トニーの腕の中に飛び込んだ。
ペッパーを抱きしめたままその場で1回転したトニーは、泣きじゃくる彼女の身体をぎゅっと抱きしめた。
「トニー…会いたかった…」
涙が止まらなかった。離れていたこの数週間、いつ会えるか分からない不安で押しつぶされそうだった。
だが、彼に抱きしめられた瞬間、その不安は吹き飛んでしまった。やっと心の底から安心することが出来た…。
そしてもう一つ。彼がかけがえのない存在であると再認識できた…。
「ペッパー…」
掠れた声に顔を上げたペッパーに、トニーの唇が触れた。甘く深い口づけはずっと待ち望んでいたもので、トニーの首元に腕を回したペッパーは彼の後ろ毛にそっと触れた。
「愛してる…。もう…二度と離さない…」
唇を離し耳元で囁いたトニーは、小さく頷いたペッパーを抱き上げると、家の中へと入って行った。