「I love you three thousand…」カテゴリーアーカイブ

I love you 3000… Ⅱ 13

4月になり、今日は4ヶ月検診の日だ。
そろそろ性別が分かるかもしれないと、トニーも共に向かったのだが、エコーで映った我が子は、男の子だった。

息子の姿を見たトニーがポロっと涙を流した。もちろん、モーガンの時も嬉しかった。だが、2人目が息子だと分かった瞬間、トニーはハワードのことを…1970年にタイムスリップして交わした父親との会話を思い出し、余計に感慨深いものがあったのだ。

***

数週間後、モーガンは5歳になった。週末には彼女のプリスクールの友達を呼んで、郊外でガーデンパーティを開くことになっているが、当日の今日は家族だけで祝うことにした。
アイアンマンの特注ケーキを食べ終わると、モーガンはハッピーとローディからの誕生日プレゼントを開け始めた。
トニーがペッパーに目配らせした。いよいよサプライズの瞬間がやってきたのだ。
「これはパパとママからのプレゼントよ」
綺麗にラッピングされた箱を受け取ったモーガンは、両親からのプレゼントを目を輝かせて開けた。箱の中には週末のパーティで着るドレスと靴とアクセサリーが入っていた。
「パパ!ママ!ありがと!」
可愛らしいドレスにモーガンは大喜びだが、彼女はもう一枚Tシャツがあることに気づいた。手に取り広げたモーガンは、目を見開いた。Tシャツには、先日自分が描いた両親と自分の似顔絵がプリントされていた。そして自分の似顔絵の下には、父親と母親の字で『世界一のお姉ちゃんへ』と書かれているではないか。

目をパチクリさせたモーガンは、声を震わせた。
「おねえちゃん?」
Tシャツを掴んだまま両親を見つめると、トニーが何やらペッパーのお腹の上に置いた。
それはアイアンマンの人形だった。そしてトニーがその人形を動かしながら、ボタンを押すと、人形が喋った。
『早く会いたいよ!お姉ちゃん!』
モーガンはようやく理解した。自分がお姉さんになるということを…。
「ママ…パパ……あたし………」
モーガンの目に涙が浮かんだ。
「ママのお腹に誰がいると思う?」
「弟がいるのよ」
両親の嬉しそうな声に、モーガンは大粒の涙を零した。そして声を上げて泣き出した彼女は両親の元へ走り寄った。
「モーガン?」
泣き続ける娘をトニーは抱きしめた。するとモーガンはしゃくり上げながら顔を上げた。
「あ、あたし……おねえちゃんになるの?あかちゃんが、おうちにくるの?」
モーガンは嬉しくて泣いていたのだ。ペッパーは娘の手を取ると、お腹に触れさせた。
「そうよ、ここにね、モーガンの弟がいるの」
モーガンはポロポロ涙を零しながら、母親のお腹を撫でた。そして涙を脱ぐったモーガンは、両親に向かって笑った。
「パパ、ママ…あたしのおねがい、かなえてくれて、ありがとう…」

14

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I love you 3000… Ⅱ 12

翌朝。
トニーの腕の中で目を覚ましたペッパーだが、彼はまだ眠っていた。
ペッパーはトニーを見つめた。
トニーは幸せそうに笑みを浮かべて眠っていた。悪夢に怯えていた頃の彼は、いつも眉間に皺を寄せ、苦しそうに眠っていた。が、あの戦いの後、彼は悪夢を見ることなく、ぐっすりと眠ることができるようになった。
(本当に…本当によかった…)
トニーが苦しみもなく幸せに暮らしてくれること…それこそがペッパーの一番の幸せだった。
トニーの胸元に顔を擦りよせ、素肌にキスをしていると、トニーが大欠伸をしながら目を覚ました。
ペッパーの髪を右手で梳いたトニーは、一房掴むとキスをした。
「おはよう、ハニー」
「おはよ…ダーリン…」
まだ微睡んでいるトニーに首を伸ばしキスをしたペッパーは、再び彼に寄り添った。妻を抱きしめ直したトニーだが、彼女の体温が普段よりも少し高いことに気づいた。
「熱でもあるのか?いつもより熱いぞ?」
「そう?」
風邪でも引いたのかと思ったが、自分では特に何も感じないのだ。だが、身体を冷やしては大変だと、起き上がったペッパーはバスルームへと向かった。

シャワーを浴び、メイクをしていたペッパーだが、急に吐き気を催した。
5年前…モーガンを妊娠した時と同じだと気づいたペッパーは目を輝かせた。
まだはっきりした訳ではない。違っていてトニーを期待させてはいけないと考えたペッパーは、まずは病院へ行くことにした。

帰宅すると、モーガンが家から飛び出してきた。娘を軽々と抱き上げたトニーは、顔中にキスをした。
「寂しかったか?」
「うん…。でもね、ハッピーおじちゃんとね、いっぱいあそんだからね、たのしかったよ!」
モーガンは、ハッピーとの楽しいひと時を機関銃のように父親に話し始めた。

娘はトニーに任せて病院へ行って来ようと考えたペッパーは、着替えるとトニーに告げた。
「トニー、買い物に行ってくるわ」
「一緒に行くぞ?」
が、ペッパーはトニーを驚かせたかったので、笑顔で首を振った。
「すぐに戻ってくるから、モーガンと留守番してて」

病院へ向かったペッパーは、予想通り朗報を聞くことができた。
「スタークさん、おめでとうございます」
エコーで小さな我が子を見せてもらったペッパーの目から涙が零れ落ちた。
自分もだが、トニーとそしてモーガンの願いがようやく叶った瞬間だった。

エコー写真を貰ったペッパーは、飛び跳ねるように家へと戻った。そしてモーガンが昼寝をしている間に、ペッパーは夫へ報告することにした。

そこで彼の好物のドーナツを作った。コーヒーを入れ、アイアンマンのフィギュアにエコー写真を持たせると『大好きなパパへ!』と付箋に書いて貼り付けた。それらをトレーに載せたペッパーは、モーガンから作るよう頼まれていたアベンジャーズのLEGOを組み立てている夫の元へ向かった。
「トニー、ドーナツ食べる?」
「あぁ」
トニーの前にペッパーはトレーを置いた。彼は一体どういう反応をするかしら…と、ドキドキしながら…。
アイアンマンと写真に気づいたトニーは、目を丸くした。そして写真を大切そうに手に取った彼はじっと見つめていたが、暫くして彼の目からポロっと涙が零れ落ちた。
「ハニー…」
涙で濡れた瞳でトニーはペッパーを見つめた。
「5週目ですって」
夫の濡れた頬を拭ったペッパーは微笑んだ。
トニーは再び写真を見た。そこに映るまだ小さな胎児をなぞったトニーは、黙ってペッパーを抱きしめた。
トニーは泣いていた。身体を震わせ泣いていた。
「ペッパー……生きていてよかった…」
何度もトニーはそう言い続けた。そして夫に抱きついたペッパーも、嬉し涙を流し続けた。

娘にもすぐに報告しようと思った2人だが、もうすぐモーガンの誕生日。その時には胎児の性別も分かっているだろうから、とっておきの誕生日プレゼントにしようということになった。

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I love you 3000… Ⅱ 11

年が明け、NYには雪がちらつき始めた。
あれから半年経ったが、朗報はなかなか訪れない。

モーガンはプリスクールに通い始めた。
最初は行きなくないと愚図ったモーガンだが、すぐに沢山の友達が出来た彼女は、毎日楽しそうに通うようになった。そしてトニーも、モーガンを送り届けた後は、時折会社に向かい開発チームに顔を出すようになった。そして娘を迎えに行くと、そこから2人は父と娘の時間を楽しんだ。

2月になった。ハッピーに留守番を頼んだ2人は、久しぶりに夫婦だけのデートを楽しんでいた。
夜景の一望できるレストランでディナーを食べた後、5つ星ホテルのスイートルームで一晩過ごすことになっているのだが、ホテルに着いた2人を、どこで情報を掴んだのか、パパラッチが待ち構えていた。
パパラッチが最後にトニーの姿を捉えたのは1年以上前。彼にとっての最後の戦い以前も、トニーは殆ど姿を現していなかったので、久しぶりのトニー・スタークの姿に、パパラッチは一斉にカメラを向けた。フラッシュのせいで辺りは昼間のような明るさになり、トニーは小さく舌打ちすると顔を顰めた。ペッパーは夫の右側に身体を寄せた。というのも、いらぬ詮索はされたくなかったから…。義手を隠すようにギュッとトニーに抱きつくと、彼も妻の意図を察したのか、見せつけるようにキスをすると、ホテルの中に急いだ。

「全く…。折角のデートなのに…」
エレベーターの中でぶつぶつ言い始めた夫に、ペッパーは肩を竦めた。
「仕方ないわ。あなたはトニー・スタークなんですもの。しかも、あの後ですもの。だから皆、あなたの姿を捉えようと必死なのよ」
妻の言葉に目をくるりと回したトニーだが、今宵の2人きりの夜に集中しようと、彼女の腰を引き寄せた。

部屋からはNYの摩天楼が一望でき、窓際に向かったペッパーの胸に懐かしさがこみ上げてきた。今の家も高層ビルの最上階のため、夜景は見える。だが、ここはそれよりも高層なため、スターク・タワーから見えた夜景と同じだったのだ。
暫く眺めていると、トニーが隣に立った。ジャケットを脱ぎネクタイを緩めたトニーは、それを近くのソファに放り投げると、ズボンのポケットから小さな箱を取り出し、ペッパーに渡した。
「ハニー…」
トニーの声に箱を開けると、中には指輪が入っていた。指輪の内側には文字が刻まれていた。

“I love you 3000…” と…。

娘がトニーに伝えた言葉。それは娘だけではなく、家族全員にとっての大切な言葉になっていた。

唇を震わせたペッパーの指に指輪をはめたトニーは、妻を抱き寄せると甘い声で囁いた。
「愛してる…。ペッパー、世界一…いや、宇宙一愛してる…」
トニーの身体に腕を回したペッパーも、彼の胸元に顔を押し付けると囁いた。
「私も…愛してるわ…」

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I love you 3000…Ⅱ ⑩

寝室に向かったペッパーだが、トニーはいなかった。そこで以前とは比べものにならないくらい狭いが充実した彼のラボに向かうと、トニーは義手を整備中だった。
「やあ、ミセス・スターク。ミス・スタークは眠ったか?」
「えぇ」
トニーにキスをしたペッパーは、隣の椅子に腰掛けると、先程の娘のお願いを夫に伝えることにした。
「モーガンにおねだりされたわ」
「何を?おもちゃか?」
「いいえ、赤ちゃんが欲しいんですって」
目をパチクリさせたトニーは、義手を装着した。
「弟か妹が欲しいってことか?」
「そうみたい」

トニーはうーんと唸った。
自分はもう53だ。ペッパーも40を超えている。自分はまだしも、実際に妊娠して子供を産むのはペッパーだ。子供がもう1人欲しいとずっと思ってた。だが、あんな世の中だったし、もし自分に何かあれば…と考えると、そしてペッパーの身体の負担になるのなら…と、言い出せなかった。
「ペッパー、君はどう思ってるんだ?」
自分の思いを告げたトニーは、妻に尋ねた。
「私は…」
トニーに問われ、ペッパーは考えた。
2人目はずっと欲しかった。なかなか出来なかったのも事実だが、トニーの言う通り、あの暗闇の世界で、踏ん切りがつかなかった。
だが、世界は元通りに…いや、今までよりも素敵な世界になった。だからもしこのタイミングで妊娠したら、きっと自分たちは今まで以上に幸せになっても良いこと…。

そう考えたペッパーは、甘えるようにトニーに抱きついた。
「2人目…頑張ってみない?」
「いいのか?」
照れ臭そうに笑ったトニーの頬にペッパーはキスをした。
「えぇ。だって男の子が欲しいでしょ?」
トニーは息子を欲しがっていた。勿論娘も欲しがっていたのだが、モーガンを妊娠した時、どちらが欲しいと聞いたところ、『どっちでもいいさ。元気に産まれてきてくれるなら。だが、息子だったら、一緒にキャッチボールをしたい。親父と出来なかったことをやってみたい』と語ったことがあったのだ。
「実は…そうなんだ」
神妙な顔をして頷いたトニーは、ペッパーの頬を撫でると唇を奪った。
トニーのキスは、ペッパーの身も心もドロドロに溶かしてしまう。トニーの首元に腕を回したペッパーは、身体を擦り寄せた。
「ねぇ…ここでしない?」
キスの合間に囁くと、トニーは眉を吊り上げた。
「ここでか?」
ラボを見渡したペッパーは、悪戯めいた笑みを浮かべた。
「だって…懐かしくない?」
恋人時代にはよくラボで愛を交わしていたことを思い出したトニーは、妻を抱き上げるとソファーに移動した。
「いいさ。君がボスだ。だから私は従うまでだ」

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I love you 3000…Ⅱ ⑨

こうして一家はNYに戻ってきた。

静かな暮らしを5年もしていたので、最初は騒々しく感じた街中も、慣れ親しんだNYということもあり、すぐに馴染むことができた。

今までとガラッと変化した環境に、モーガンは戸惑った。外に出れば鳥の声が聞こえ、花も咲き誇り、思いっきり遊べる広い庭もあったのに、今の家の周りは見渡す限りのビルばかりで、聞こえるのは車の音と人の話し声だけなのだから…。そのため、モーガンは家に帰りたいと泣いた。が、次第に街中にも楽しいことが沢山あると気づいた彼女は、毎日新しい発見をするのが楽しくなった。

勿論週末には家族で湖畔の家に戻った。週末でなくても、数日休みが取れそうな時は、必ず戻った。

2つの家を行き来しながら、モーガンは少しずつ成長していった。

***

ペッパーが仕事に行っている間、トニーはモーガンがこの街に早く慣れるようにと、あちこち連れて歩いた。
今日は2人でチーズバーガーを食べにやって来たのだが、ハンバーガーに黙々と食いついていると、先程からチラチラと様子を伺っていた少年が、意を決したように近づいてきた。
「あの…」
トニーに声を掛けた少年は、大きく深呼吸をすると、勇気を振り絞ってトニーに頼んだ。
「写真、撮ってもらっていいですか?」
娘とのプライベートの時間だが、相手が小さな男の子だったので、トニーはニッコリ笑った。
「いいぞ」
知らない子供と写真を撮る父親をモーガンは不思議そうに見つめた。

その後アイスクリームを食べに行っても、トニーは大勢の子供達とその親に囲まれていた。

モーガンにはどうしてなのか分からなかった。どうして知らない人たちが父親と写真を撮ったり握手したりしたがるのか、よく分からなかった。
直接父親に聞けばいいのだろうが、聞いていいのかも分からない。そこでモーガンは、毎日の母親との2人きりの時間…つまりは寝る前に本を読んでもらったり今日1日の話を母と娘だけでする時間に、聞いてみることにした。

「ねぇ、ママ。どうしてみんな、パパとおしゃしんとりたいの?」
目をパチクリさせている娘に、ペッパーは微笑んだ。
「それはね、パパがヒーローだからよ」
「でも、パパはあたしのパパよ」
僅かに眉間に皺を寄せたモーガン。それは自分だけの父親を取られた気がしたからだろうか…。可愛らしい娘の反応に、ペッパーは彼女の栗毛色の髪を撫でた。
「そうね。トニ・スタークは、モーガンのパパで、ママの大事な旦那様よ。でも、パパにはもう一つの顔があるわ」
「アイアンマン?」
「そう。アイアンマンはね、皆のヒーローなの。皆の憧れなの。アイアンマンはね、今まで何度も世界を救ってきたわ。困ってる人を大勢助けてきたの」
「しってるよ。パパとママがおはなししてくれたし、えほんでよんだもん」
神妙な顔をして頷いたモーガンは、アイアンマンはヒーローであることは理解しているが、アイアンマンになっていない父親に人々がサインや写真を求めることが、どうもイマイチ理解できていないようだ。
「アイアンマンは、この間も、宇宙を救ったばかり。だけどパパは大怪我をしたの、モーガンも知ってるでしょ?パパはね、命を懸けて世界を救ったの。だけど、パパじゃないと、あの時悪い奴を倒すことはできなかった。パパ以外に、倒すことはできなかったの。パパが…アイアンマンがいなかったら、ママとあなたもこうやっておしゃべりできてないわ。みんなね、パパに感謝してるの。世界を助けてくれてありがとうって。でもね、モーガン。アイアンマンだけがヒーローじゃないのよ。パパも…トニー・スタークもヒーローなの」
モーガンは目を丸くした。アイアンマンに変身している父親だけが、ヒーローだと思っていたから…。
「パパが?」
父親譲りの大きな目を丸くする娘に、ペッパーは頷いた。
「そうよ。パパはね、アイアンマンに変身していなくても、大勢の人を助けてきたの。パパに元気をもらった人は大勢いるの。パパが作った物で元気になった人もね。パパはね、大勢の困っている人を助けてきたの。だからパパも…トニー・スタークも、皆にとってのヒーローなのよ」
モーガンは、ようやく合点が行ったようで、納得したように頷いた。
「だからパパとおしゃしんとりたいんだ」
「そうよ」
何度も頷いている娘だが、眠たくなってきたのか、その瞳は微睡み始めた。
「パパ、かっこいいね」
「そうよ、カッコいいでしょ?ママの自慢の旦那様よ」
クスクス笑ったペッパーは、モーガンの頬にキスをした。くすぐったそうに笑ったモーガンは、母親の手を握った。
「パパがあたしのパパでよかった。だってね、パパね、あたしのことだいすきだし、ママのこともだいすきだし、いっぱいあそんでくれるし、ほんもよんでくれるし、すべりだいもつくってくれたし…。あとね…あとね…パパのおてて、アイアンマンだからかっこいいし…」

トニーが右腕を切断した時、モーガンは落ち込んでいるトニーに笑顔で告げたらしい。『パパ、あたしがたすけてあげるからね。だから、だいじょうぶよ…』と…。右腕がなくなっていることに気づいているのに、モーガンは何も聞かず、父親をそう励ました。
トニーが義手になってから、モーガンは必ずトニーの右手を繋ぐようになった。まるで自分が父親の右手の代わりをするというように…。

(この子はいつの間に、こんなに優しく思いやりのある子に成長したのかしら…)

ペッパーは嬉しかった。モーガンが自然と人を思いやる心を育んでくれたことが…。

「明日、パパにそう言ってあげて。パパ、泣いて喜ぶから」
「うん」
元気よく返事をしたモーガンだが、何か思い出したのか、上目遣いで母親を見つめた。
「ねぇ、ママ…おねがいしてもいい?」
半分眠りかけているのに、今日のモーガンはお喋りが止まらない。
「どうしたの?」
いい加減母と娘の時間をお開きにした方がいいかしら…と思ったペッパーだが、いつになく真剣な娘の眼差しに、もう少し付き合うことにした。
「あのね、あたしね、あかちゃんがほしいの…。きょうね、パパとおでかけしたときにね、かわいいあかちゃんがいたの。だからね、おうちにね、あかちゃんがいたらいいなって。パパ、なんでもつくれるから、あかちゃんもつくれる?」
(つまり…それって……)
思わずトニーとの行為を思い出したペッパーは、頬を赤く染めたが、幼い娘に馬鹿正直に伝える必要はないとすぐに思い直した。
「パパと相談してみるわね」
そう告げると、
「うん」
と返事をしたモーガンは、小さな欠伸をした。
娘に布団を掛け直したペッパーは、彼女の額にキスをした。
「おやすみ、モーガン…愛してるわ…」
「おやすみなさい、ママ……あいしてる…」

⑩へ…

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