「戦場のバカップルお題」カテゴリーアーカイブ

5.この勝利を君に捧ぐ!

「ペッパー、君にこのバラを捧げる。君は私の全てだ。君なしの人生なんて私には考えられない。だから私と結婚してくれ!」
跪いたアイアンマンは、目の前に立つキャプテン・アメリカをじっと見つめている。顔を真っ赤にしたキャプテンは
「よ、よ、よろしくってよ」
と、たどたどしく告げたが、それが気に入らなかったのだろう、マスクを上げたアイアンマンことトニー・スタークは、首をぶんぶんと横に振った。
「おい、じいさん。ペッパーはそんな口調ではない。もっと迫真の演技をしてくれ」
じいさんじゃ練習台にならないとブツブツ文句を言うトニーと、折角練習に付き合っているのにと頬を膨らませるスティーブ。クリントとナターシャは戦闘後で破壊された建物の修復をS.H.I.E.L.D.の職員に指示しながら遠巻きに見学していた。
「何してるんだ、スタークは」
首を傾げるクリントに、事情を知っているナターシャはニヤリと笑った。
「プロポーズの練習ですって。明日はペッパーの誕生日。だからプロポーズするんですって」
何もこんな所で練習しなくてもねと笑うナターシャだが、彼女は少々ペッパーが羨ましくて仕方なかった。
チラっと隣の恋人を伺ったが、彼はさほど興味がなかったらしい。つまらなそうに欠伸をすると、自分の武器の整備を始めた。
(で、あんたはスタークみたいなことはしてくれないって訳ね)
別に期待している訳ではない。でもいつか彼もしてくれるのかしら…と思いつつ自分の仕事に戻ろうとした時だった。
「…今日の勝利を君に捧げる」
心の声が聞こえたのだろうか、絶妙なタイミングで聞こえてきたセリフに、ナターシャは一瞬耳を疑った。
「は?」
目を丸くしてポカンと口を開けているナターシャは彼女らしからぬ振る舞いで、そんな彼女の頬に素早くキスをしたクリントは
「いいだろ。俺らしくて」
と言うと、ナターシャを出し抜いてやったぞと、勝ち誇ったようにニヤッと笑った。

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4.かすり傷でも大問題

「ナット!怪我してるじゃないか!」
額にできた傷に目を見開いたクリントは、洗面所に向かうと救急箱片手に慌てて戻って来た。
ちなみにこの傷は、戦闘中にできたものではなく、部屋の片づけをしていた際に、頭上から落ちてきた本のせい。
「嫁入り前の大事な体に…」
ブツブツと言いながら消毒液を取り出すクリントにナターシャは口を尖らせた。
「…あんたが貰ってくれるんじゃないの?」
ピタリと動きを止めたクリントは耳まで真っ赤にすると、
「…当たり前だ」
とボソッと呟いた。

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3.その強さに惚れ直す

「ほら、これ。やるよ」
ぶっきらぼうに差し出された箱は長細く、ご丁寧にリボンまでしてある。
「何?」
今日は何かの記念日だったかしら? と思いながら箱を開けたナターシャは息を飲んだ。
箱の中にはネックレス。よく見ると、矢形のチャームが付いているではないか。
「これ…どういう意味?『いつも一緒だ!』とか、決まりきった文句は言わないでよ?」
図星だった。だが、それを顔に出すほどクリントも馬鹿ではなかった。
「…さぁな?」
言葉を濁したクリントだが、耳まで真っ赤になった彼の思惑は見え見えな訳で…。
クスッと笑ったナターシャ恥ずかしそうにそっぽを向いているクリントに抱き付くと、音を立てて唇を奪った。

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2.戦場だろうが愛を語る

「…で、何が望み?まさか…キスしろとか言わないわよね?」
敵の頭めがけて矢を放ったクリントは、ナターシャに視線を送った。
「そのまさかだ。これが永遠の別れになったらどうする?お前と最後のキスをしないまま、俺はあの世に旅立つんだぞ?お前にとって俺は大切な存在じゃ?ないのか?」
ふんっと鼻を鳴らしたクリントにナターシャはくるりと目を回した。
「ホントあんたってオーバーよね…。私が敵を引きつけてる間に、そこの階段を下りて物陰に隠れるだけでしょ?」
大げさにため息を付いたナターシャだが、結局は彼女も彼のキスが恋しくなっていたので、反論しようとしているクリントの唇を奪うと、敵に向かって銃を構えた。

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1.君が居れば百人力

「何であいつがいないんだ」
目の前の敵は倒しても一向に数が減らない。いや、減らないばかりか、逆に増えている気がする。
数本の矢をまとめて射った俺は、背中に手を回すと小さく舌打ちした。
「おい、最後の1本じゃないか」
1本の矢で100体の敵を倒せというのだろうか…。
俺もここらで年貢の納め時か?
そんな考えが過り、軽く頭を振った時だった。
「手こずってるの?」
背後から聞こえてきたのは待ちわびたあいつの声。
途端に勝利の女神が俺に向かって微笑んだ。
「お前に見せ場を持たせてやろうと残してたんだ」
軽口を叩いてみたが、肩を竦めたあいつは、俺の背後に陣取った。
「6:4でどう?あんたが6で私が4」
「いいのか?俺が9でお前が1でもいいぞ?」
矢は1本しか残ってない。だからハッタリに決まってる。あいつの前ではカッコいい俺でいたいから。だけど居心地が悪くて俺は思わず鼻の頭を掻いた。
「何言ってるの?最後の1本なんでしょ?」
と言いながらあいつが差し出したのは、予備の矢筒。
つまり俺の窮地をあいつはお見通しって訳さ。
そうさ、あいつがいれば百人力。
だから俺にはお前が必要なんだ…。
(サンキュー)
声に出さずに口を動かすと、
「お礼は後でタップリもらうから」
と、あいつはニッコリと微笑んだ。

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