5.この勝利を君に捧ぐ!

「ペッパー、君にこのバラを捧げる。君は私の全てだ。君なしの人生なんて私には考えられない。だから私と結婚してくれ!」
跪いたアイアンマンは、目の前に立つキャプテン・アメリカをじっと見つめている。顔を真っ赤にしたキャプテンは
「よ、よ、よろしくってよ」
と、たどたどしく告げたが、それが気に入らなかったのだろう、マスクを上げたアイアンマンことトニー・スタークは、首をぶんぶんと横に振った。
「おい、じいさん。ペッパーはそんな口調ではない。もっと迫真の演技をしてくれ」
じいさんじゃ練習台にならないとブツブツ文句を言うトニーと、折角練習に付き合っているのにと頬を膨らませるスティーブ。クリントとナターシャは戦闘後で破壊された建物の修復をS.H.I.E.L.D.の職員に指示しながら遠巻きに見学していた。
「何してるんだ、スタークは」
首を傾げるクリントに、事情を知っているナターシャはニヤリと笑った。
「プロポーズの練習ですって。明日はペッパーの誕生日。だからプロポーズするんですって」
何もこんな所で練習しなくてもねと笑うナターシャだが、彼女は少々ペッパーが羨ましくて仕方なかった。
チラっと隣の恋人を伺ったが、彼はさほど興味がなかったらしい。つまらなそうに欠伸をすると、自分の武器の整備を始めた。
(で、あんたはスタークみたいなことはしてくれないって訳ね)
別に期待している訳ではない。でもいつか彼もしてくれるのかしら…と思いつつ自分の仕事に戻ろうとした時だった。
「…今日の勝利を君に捧げる」
心の声が聞こえたのだろうか、絶妙なタイミングで聞こえてきたセリフに、ナターシャは一瞬耳を疑った。
「は?」
目を丸くしてポカンと口を開けているナターシャは彼女らしからぬ振る舞いで、そんな彼女の頬に素早くキスをしたクリントは
「いいだろ。俺らしくて」
と言うと、ナターシャを出し抜いてやったぞと、勝ち誇ったようにニヤッと笑った。

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