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Pepperony Week 2014 Day7:Family
「何度も話しをしたから知っていると思うが…」
そう前置きしたトニーはため息を付くと、目の前で神妙な顔をしているペッパーの手をそっと取った。
「お袋は私にありったけの愛情を注いでくれたが、親父の愛情を知らずに育った。最も今は親父の不器用な愛情が少しばかり理解できるようになったが…」
寂しそうに笑ったトニーは、泣き出しそうな顔をしているペッパーから目を逸らした。
「つまり、私は『家族』を知らない。温かい家庭を知らないんだ。それなのに、君と家族になろうとしている。家庭を築こうとしている…。だがな、ペッパー。家族を…家庭を知らない男にできると思うか?不安なんだ。いつの日か君を失望させることになるのではないかと…」
そう言うと黙り込んでしまったトニーだが、膝の上で握りしめた拳は小さく震えている。
結婚式二日前。ベッドに潜りこもうとしたペッパーを話があると引き止めたトニーは、胸の内を話し始めた。
彼の不安は分かる。家族の愛を知っている私でも、正直なところ不安だ。
今まで何年も共にいたのだから、今の生活が激変するわけではないのだが、それでも正式に『ポッツ』から『スターク』になろうとしている今、私の心の中も不安で一杯なのだ。
でも、私は知っている。彼は世界一素晴らしい男性だと。我儘で子供みたいなところもあるけれど、誰よりも真っ直ぐで正直で、優しさと愛情に溢れていることを…。だから大丈夫。これからの人生、彼と共に築いていけばいいんだから…。
腕を伸ばしたペッパーはトニーの身体を優しく包み込んだ。そして肩に顎をのせたペッパーは、彼の大きく広い背中に指を滑らせると柔らかな髪を撫でながら今心に浮かんでいることを伝えることにした。
「ねぇ、トニー、私たちは私たちの『家庭』を作りましょ?失敗してもいいの。それを一緒に乗り越えていくのが夫婦なんだから…」
その言葉にペッパーの胸に顔を押し付けたトニーは、浮かんだ涙を隠すように彼女をぐっと抱きしめたのだった。
Pepperony Week 2014 Day6:AU
部屋に差し込む太陽に顔を顰めたトニー・スタークは隣に手を伸ばした。だが、随分前に起きたのだろうか、シーツはすっかり冷えているではないか。目覚めのキスをもらおうと思っていたトニーは小さく舌打ちしたが、ベッド下に散らばっている下着を拾うとバスルームへ向かった。
「おはようございます、トニー様」
「やあ、おはよう。今日も綺麗だな」
シャワーを浴び身支度を整えたトニーは、すれ違う使用人たちにいつものように挨拶しながらダイニングへと向かった。
「あら、トニー。今日は日曜日なのに早いわね?」
先に起きていた母親のマリア・スタークはダイニングの椅子に座りコーヒーを飲んでいた。その隣の子供用の椅子に座っていたエドワード・ジェームズ・スタークは、父親の姿を見ると両腕を伸ばした。
「パパ!おはよ!」
「エディ、おはよう。今日は動物園に行くんだろ?」
息子を抱き上げたトニーが柔らかな頬にキスをすると、エドワードは擽ったそうに笑った。
「うん!おうまさんにのるのよ」
「そうか。それは楽しみだ」
父と息子の微笑ましい風景を見守っていたマリアだが、夫であるハワードが生きていたらさぞかしこの光景を喜んだだろうにと、こみ上げるものをそっと押さえた。
そんな母親に気付いたのか、労わるような視線で見つめたトニーは、息子を椅子に座らせると頭をくしゃっと撫でながら母親に尋ねた。
「お袋、ペッパーは?」
「キッチンにいるわよ。動物園に持っていくお弁当を作るんだって、ペッパーちゃん張り切ってたから」
キッチンでは妻であるヴァージニア・スタークことペッパーが忙しそうに動き回っていた。
「おはよう、ハニー…」
彼女がカウンターで作業をし始めた隙に歩み寄ったトニーは、背後からペッパーを抱きしめた。突然身動きが取れなくなったペッパーだが、いつものことなので驚く風でもなく、大きくなったお腹を包み込むように回された彼の手を握り返した。妻が抵抗しないことに気を良くしたトニーは、これ見よがしに彼女の首筋に赤い花を散らした。
「トニーったら…ダメよ。お母様がいらっしゃるわ…」
嫌々と首を振るペッパーだが、トニーはお構いなしだ。
「君が目覚めのキスをくれないからだ」
キスの合間に囁くと、ペッパーは頬を膨らませた。
「したわよ。でも、あなたはイビキをかいて寝てたから…」
要するに自分は眠り込んでいて気づかなかっただけらしいが、そんなことはトニーに通用するはずもない。
「目が覚めるような激しいのをしてくれないとダメだ」
何て都合のいい解釈なのかしら…と思ったペッパーだったが、それはいつものことだし、そんな所も好きなのだからどうしようもない。クスっと笑ったペッパーはくるりと振り返ると、トニーの頬を両手で包み込んだ。
「今からでもいい?目覚めのキス…」
早くしろとばかりに鼻を鳴らしたトニーをじっと見つめたペッパーは、ゆっくりと唇を合わせた。
初めは触れる程度のキスだったはずが、お互い温もりが恋しかったのだろう、次第に濃厚なものへとなっていき、お互いが舌を絡め合い始めた頃には、ペッパーはここがどこなのかも考えられなくなっていた。腰が震え出したペッパーの身体を支えたトニーが、どうやって頂こうかと考えた時だった。
「あー!パパとママ、チューしてる!」
子供の甲高い声に我に返った二人は、慌てて身体を離したが、キッチンの入り口で目を輝かしている息子と、ニヤニヤとしている母親に気づくと引きつった笑いを浮かべた。
何か言ってよと言うように真っ赤な顔をしたペッパーに小突かれたトニーが口を開きかけると、マリアは高笑いをした。
「いいのよ!朝から良いもの見せてもらったわ。もう、本当に仲良しね!この調子だと、その子が産まれてもすぐに赤ちゃんが出来そうね!あ、孫は大勢の方が楽しいもの。ペッパーちゃん、どんどん産んで頂戴ね!あと10人は頼むわよ!」
エドワードを抱き上げたマリアは、スキップしながらキッチンを出て行った。
母親の勢いに何も反論できなかったトニーだが…。
「…10人」
と呟くと、同じく口をポカンと開けているペッパーと顔を見合わせのだった。
Pepperony Week 2014 Day4:Date Night
父の日から数日経った平日の夜。
街角の小洒落たレストランに、スターク夫妻の姿があった。ドレスアップした二人だが、いつもと様子がどこか違う。よく見ると、必ず一緒にいる子供たちの姿が見当たらないではないか。
「二人きりって久しぶりじゃない?何だか懐かしいわね」
ふふっと嬉しそうに笑ったペッパーは、デザートのケーキを一口掬うと、そのままトニーの口元に運んだ。
「あの子たちがいないのは寂しいけど…」
トニーの口にケーキを放り込んだペッパーは、髭についている生クリームを指で拭い取った。
「そうだな。静かすぎて物足りない」
同感とばかりにトニーは頷いた。子供たちからの父の日のプレゼント、それが今回のペッパーとの夫婦水入らずのデートだったのだ。
『おるすばんしてるからだいじょうぶよ。ハッピーおじちゃんといいこにしてるから。だからパパとママはデートしてきてね!』と満面の笑みの娘と、姉に言いくるめられたのか少々不安げな息子をハッピーに託し、久しぶりに二人きりの夜を楽しんでいるのだった。
以前ならこの状況を喜んでいただろうが、今はどうも手放しには喜べない。いや、嬉しいのだが、やはり気になるのは子供たちの様子。
「本当ね。でも、今頃、ハッピーは大変よ。エストはともかく、エリは初めての留守番でしょ?二人ともいい子にしてればいいけど…」
小さな息子が泣いている姿を思い出したのか、ペッパーはチラリと手元の携帯電話を見た。だが『何かあればすぐに連絡します。だから電話は掛けてこないで下さい』とハッピーに言われたのだ。何も連絡がないということは、おそらく大好きなハッピーおじさんと大騒ぎをして遊んでいるのだろう。
ペッパーの手に触れたトニーは、両手で包み込むと笑みを浮かべた。
「ハニー、心配するな。ハッピーのことだ。うまく取り仕切っているさ。それにこれはあの子たちからのプレゼントなんだ。だから甘えさせてもらおう」
その言葉に頷いたペッパーは、トニーの手をそっと握り返した。
「そうね」
どちらともなく見合いクスクスと笑った二人だが、トニーがペッパーの手の甲にキスをしたのを機に席を立った。
ペッパーの予約した最上階のスイートルームへと向かうためエレベーターへ乗り込むや否や、トニーはペッパーを抱き寄せキスをし始めた。
「なぁ、ハニー。今日は邪魔も入らないし、思いっきり君のことを愛せる。久しぶりに朝まで…な?」
キスの合間に囁かれた言葉にクスッと笑ったペッパーは、
「あら?いつものことでしょ?」
と肩を窄めた。わざとらしく眉を潜めたペッパーに、トニーはふんっと鼻を鳴らした。
「いつもは手加減しているんだ。今日は手加減なしだ。覚悟しろよ、ポッツくん」
わざわざ『ポッツくん』と昔のように呼んだということは、あの頃のように・・ということだろう。
「受けて立つわ、ボス」
音をたてて唇を奪ったペッパーを抱きかかえたトニーは、エレベーターのドアが開くや否やキスをしながら部屋へと向かった…。
Pepperony Week 2014 Day3:Sexy
先に寝室へ行っておいて…と、最愛の女性に囁かれたトニーは、大きなベッドの上に寝そべった。
ディナーと共に出されたワインと、そしてキスと甘い抱擁のせいで、トニーはいろいろと限界だった。それなのに、その場でコトを始めようとしていたトニーに対してペッパーは、身体を押し付けながら耳朶を甘噛み。そして甘い吐息と共に『ベッドで待ってて?』と言い残し、どこかへ姿を消してしまったのだ。
「…早くしろ…」
頬を膨らませたトニーは枕に顔を埋めた。
こんなに待たされるなら、あの場でさっさと押し倒しておけばよかった…。
悶々とする気持ちを抑えるかのように、トニーが両手足をバタバタと動かしていると、何処からともなくやけにオリエンタルな香りが漂ってきた。
「何だ?」
いつもと違う雰囲気にトニーが顔を上げると、突然スピーカーからエキゾチックな音楽が鳴り出した。
訳が分からず戸惑うトニーだが、戸口に一人の女性が姿を現したのに気付くと声を掛けた。
「おい、ペッパー、どうし………」
ゆっくりと近づいたペッパーは、裸に薄い絹のような布を纏っただけという、いつも以上にセクシーな格好をしていた。そんなペッパーを見つめたトニーは口をポカンと開けたままだ。
「今日はね…いつもと違う感じでと思って…」
どうかしら?と聞こうと思ったペッパーだが、トニーの視線が全てを物語っていた。
彼のギラついた瞳を見つめたペッパーは、焦らすようにゆっくりとにじり寄っていったのだった。

