Pepperony Week 2014 Day6:AU

部屋に差し込む太陽に顔を顰めたトニー・スタークは隣に手を伸ばした。だが、随分前に起きたのだろうか、シーツはすっかり冷えているではないか。目覚めのキスをもらおうと思っていたトニーは小さく舌打ちしたが、ベッド下に散らばっている下着を拾うとバスルームへ向かった。

「おはようございます、トニー様」
「やあ、おはよう。今日も綺麗だな」
シャワーを浴び身支度を整えたトニーは、すれ違う使用人たちにいつものように挨拶しながらダイニングへと向かった。
「あら、トニー。今日は日曜日なのに早いわね?」
先に起きていた母親のマリア・スタークはダイニングの椅子に座りコーヒーを飲んでいた。その隣の子供用の椅子に座っていたエドワード・ジェームズ・スタークは、父親の姿を見ると両腕を伸ばした。
「パパ!おはよ!」
「エディ、おはよう。今日は動物園に行くんだろ?」
息子を抱き上げたトニーが柔らかな頬にキスをすると、エドワードは擽ったそうに笑った。
「うん!おうまさんにのるのよ」
「そうか。それは楽しみだ」
父と息子の微笑ましい風景を見守っていたマリアだが、夫であるハワードが生きていたらさぞかしこの光景を喜んだだろうにと、こみ上げるものをそっと押さえた。
そんな母親に気付いたのか、労わるような視線で見つめたトニーは、息子を椅子に座らせると頭をくしゃっと撫でながら母親に尋ねた。
「お袋、ペッパーは?」
「キッチンにいるわよ。動物園に持っていくお弁当を作るんだって、ペッパーちゃん張り切ってたから」

キッチンでは妻であるヴァージニア・スタークことペッパーが忙しそうに動き回っていた。
「おはよう、ハニー…」
彼女がカウンターで作業をし始めた隙に歩み寄ったトニーは、背後からペッパーを抱きしめた。突然身動きが取れなくなったペッパーだが、いつものことなので驚く風でもなく、大きくなったお腹を包み込むように回された彼の手を握り返した。妻が抵抗しないことに気を良くしたトニーは、これ見よがしに彼女の首筋に赤い花を散らした。
「トニーったら…ダメよ。お母様がいらっしゃるわ…」
嫌々と首を振るペッパーだが、トニーはお構いなしだ。
「君が目覚めのキスをくれないからだ」
キスの合間に囁くと、ペッパーは頬を膨らませた。
「したわよ。でも、あなたはイビキをかいて寝てたから…」
要するに自分は眠り込んでいて気づかなかっただけらしいが、そんなことはトニーに通用するはずもない。
「目が覚めるような激しいのをしてくれないとダメだ」
何て都合のいい解釈なのかしら…と思ったペッパーだったが、それはいつものことだし、そんな所も好きなのだからどうしようもない。クスっと笑ったペッパーはくるりと振り返ると、トニーの頬を両手で包み込んだ。
「今からでもいい?目覚めのキス…」
早くしろとばかりに鼻を鳴らしたトニーをじっと見つめたペッパーは、ゆっくりと唇を合わせた。
初めは触れる程度のキスだったはずが、お互い温もりが恋しかったのだろう、次第に濃厚なものへとなっていき、お互いが舌を絡め合い始めた頃には、ペッパーはここがどこなのかも考えられなくなっていた。腰が震え出したペッパーの身体を支えたトニーが、どうやって頂こうかと考えた時だった。

「あー!パパとママ、チューしてる!」
子供の甲高い声に我に返った二人は、慌てて身体を離したが、キッチンの入り口で目を輝かしている息子と、ニヤニヤとしている母親に気づくと引きつった笑いを浮かべた。
何か言ってよと言うように真っ赤な顔をしたペッパーに小突かれたトニーが口を開きかけると、マリアは高笑いをした。
「いいのよ!朝から良いもの見せてもらったわ。もう、本当に仲良しね!この調子だと、その子が産まれてもすぐに赤ちゃんが出来そうね!あ、孫は大勢の方が楽しいもの。ペッパーちゃん、どんどん産んで頂戴ね!あと10人は頼むわよ!」
エドワードを抱き上げたマリアは、スキップしながらキッチンを出て行った。
母親の勢いに何も反論できなかったトニーだが…。
「…10人」
と呟くと、同じく口をポカンと開けているペッパーと顔を見合わせのだった。

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