「Pepperony 100」カテゴリーアーカイブ

20. Skin

ペッパーの肌は滑らかで美しい。
透き通るように白く、甘く柔らかな感触は、経験豊富な私ですら味わったことがない…。
つまり、何が言いたいのかというと、今君たちが見ているのは、彼女のほんの一部だということだ。君たちが戦闘服と揶揄するあのスーツの下にはだな……

身を乗り出したトニーだが、突然肩を掴まれた彼は飛び上がると顔色を変えた。あのトニー・スタークを青ざめさせることができるのはただ一人。それは……。
「トニー?スーツの下には何があるの?」
満面の笑みのペッパー・ポッツ。その笑みは相変わらず艶やかで美しいが、彼女の目はちっとも笑っていない。
目を見開いたトニーは引きつった笑いを浮かべたが、ペッパーに睨まれると、先ほどまで演説していたインタビュアーに向かって頷いた。
【全て削除しろ。そして忘れろ。掲載しようなんて思うなよ。もし一言でも載せてみろ。…分かるな?】
無言の圧力を感じたインタビュアーは、何度も首を縦に振ると、記録を削除したのだった。

拍手お礼再掲。The Pepperony 100 Challengeより

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19. Soft

「柔らかくて気持ちいいな」
生まれたばかりの娘の頬をつつきながら、トニーは見たことがないような笑みを浮かべている。
大好きな父親につつかれ嬉しいのか、小さな娘は目を閉じると父親の指を掴んだ。
「ペッパー!笑ったぞ!」
「ホントだわ!」
新生児微笑なのは分かっている。だが、その天使のような笑みに胸の内が熱くなったトニーは、隣で微笑んでいるペッパーの肩を抱き寄せた。

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18. Smooth

「大丈夫だ、ペッパー。心配するな。全てスムーズに進んでいる」
そうは言ったものの、背後の様子が気になったトニーはチラリと振り返った。その拍子にガタっという大きな音と叫び声がし、トニーは慌てて通話口を塞いだ。
『…ニー?トニー!』
電話の向こうからペッパーの慌てた声が聞こえる。リビングを離れキッチンへと向かったトニーは、
「…いや、何でもない。さっきも言っただろ?心配するな。もう切るぞ?じゃあな。愛してるよ、ハニー」
と言うと、一方的に電話を切った。

リビングへ戻ったトニーは頭を抱えた。デリバリーしたピザやハンバーガーなどの食べ物、おもちゃや本や着替えた洋服などが散乱したリビングは大惨事。母親が不在なのをいいことに、部屋の中を駆け回っているのは、この惨劇の張本人である娘と息子だ。
「いい子にしておけと言われただろ?…ママに殺されるぞ…」
そう言ってみたものの、走り回っている二人に聞こえるはずはない。それについ先ほどまでは自分も二人とはしゃいでいたのだから、はっきり言ってどうすることもできない。
明日の朝にはペッパーが帰ってくる。その前に何とかしなければ…。腕まくりをしたトニーは、まずは元凶を何とかしようと、子供たちの首根っこを捕まえると、バスルームへと連れて行ったのだった。

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17. Rough

「もう少しちゃんとした格好の方がいいわよ。何が起こるか分からないんだから…」
外に出る時はお洒落に決めているのに、家でくつろいでいる時は、大抵Tシャツにスエットという、普段の彼とは正反対の格好をしているトニー。別にいいのだが、時折どうしてそうなったのかと目を疑うような組み合わせをするのだ。
今日着ているのも大学時代から愛用しているものらしい”MIT”のロゴの入った紫のTシャツにショッキングピンクのスエット。どうしてそんな色の組み合わせになるのか分からない。おそらくクローゼットに手を突っ込んで適当に着たのだろうが、色彩感覚を疑うような組み合わせ。
「いいだろ。誰も来やしない。これが楽なんだ」
別に気にする風でもなく、ソファーに横になったトニーはテレビを見始めた。
「お洒落でカッコいいトニー・スタークも、それじゃあ台無しよね…」
ため息を付いたペッパーだが、そんな気が抜けたようなトニー・スタークが見れるのも自分だけ。そう考えるとラフすぎるトニーも愛おしくなり、大あくびをしている彼の枕元に座ったペッパーは、膝の上に彼の頭を乗せると額にキスをおとした。

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16. Weak

キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャーの終盤ネタのためご注意を…。

 

 

 

 

 

マンダリン事件から10ヶ月。アベンジャーズの本拠地としてNYの自ビルを改装したトニーは、S.H.I.L.D.内部を揺るがしたあの事件発生時、NY にいた。
テレビでは仲間であり正義感の塊のような男を逃亡犯として報じており、傍らに寄り添うペッパーは彼を助けるよう涙を流し訴えていた。だが相手は S.H.I.L.D.なのだ。こちらから連絡を取れば、彼の居場所はすぐに突き止められてしまうだろう。何か目的があり逃げているに違いない。助けが必要なら、向こうから連絡が来るはずだ…。S.H.I.L.D.に事の発端を問いただしてもいいのだが、トニーは2年前のNYでの出来事以来、根本的には彼らのことを信用していなかった。NYで彼らは自分に死を命じた。それに1年前の事件の時は、自分どころかペッパーも苦しんでいるのに、何もしてくれなかったのだから…。
というわけで、テレビやネットから流れてくる情報を食い入るように見ていた二人だが、突然鳴り響いたけたたましいアラームに飛び上がった。
「どうした?!ジャーヴィス!」
『トニー様、S.H.I.E.L.D.の極秘データが流出しております』
ジャーヴィスの緊迫した声にタワーのセキュリティを緊急レベルに引き上げるように命じたトニーは、ペッパーに外に出ぬよう告げるとラボへと向かった。

ラボのモニターには大量の情報が溢れかえっていた。主にはS.H.I.E.L.D.内部の機密情報のようだが、自分の顔写真もあるところを見ると、アベンジャーズに関する物も含まれているようだ。だが、元々彼らが持っている自分の情報は掴んでいるトニーだったから、さほど心配することはないだろうと、他の情報を見始めた。
「ジャーヴィス、状況は?」
『トニー様に関する情報は、ほとんどありません。ただ…』
ジャービスが映し出した情報、それはS.H.I.E.L.D.創設者の一人である自分の父親の情報だった。
父親がS.H.I.E.L.D.の前身であるS.R.S.の一員であったこと、あのキャプテン・アメリカを生み出したスーパーソルジャー計画に関わっていたこと、そしてS.H.I.E.L.D.創設メンバーであることは知っている。だが、具体的に何をしていたのかはS.H.I.E.L.D.が隠していたし、トニー自身も知ろうと思わなかったため、調べたことはなかった。
「親父の情報か?今さら目新し…」
次々とジャーヴィスが映し出す情報を見ていたトニーだったが、とある情報に目が釘付けとなった。
それは、両親の事故に関する記事だった。20数年前の新聞記事。事故直後の車内でぐったりとしている父親の後頭部から肩にかけて、銃撃されたというマーキングがしてあるではないか。
20数年経ち明かされた両親の死の真相。
心の何処かでは感じていた。あの事故は単なる事故ではないかもしれない…と。だが両親の葬儀は国葬であったし、遺体と対面出来たのはほんの一瞬であり、詳しく調べることは出来なかった。それに検死官からも事故死だと報告を受けていたので、トニーはそうだと信じていたのだった。
「親父と…お袋は……殺されたのか?」
やっとのことで声を絞り出したトニーは、その場に座り込んだ。
『はい。ハワード様とマリア様の事故にはヒドラが関わっていたようです。ヒドラの一員であるDr.ゾラは将来ヒドラの危険分子となる人物を見分けるアルゴリズムを開発したようです。そしてヒドラはそれに従い大勢の人物を暗殺してきました。ハワード様もそのために殺されたようです。今の S.H.I.E.L.D.はヒドラに浸食されています。いえ、どうやらS.H.I.E.L.D.だけではないようですが…。それに、トニー様…リストの中にはトニー様のお名前も…』

両親はヒドラに殺された…。Dr.ゾラというやつが開発したシステムのせいで…。
今まで信じていたことは嘘だった…。両親の死の真相は隠蔽されていた…。
そして息子である自分も、ヒドラの『危険分子』にリストアップされている…。
ヒドラが自分の命を狙っている…。それもずっと昔から…。もしかすると…今まで闘ってきた敵は全てヒドラなのではないか…。いや、これからもヒドラは自分の命を狙い続けるだろう…。自分だけならいい。ペッパーも、そしていつの日か生まれてくるであろう子供も命を狙われ続けるのか?

突然、今までの出来事がフラッシュバックし、目の前には闘ってきた敵が現れた。敵は自分だけではなく、ペッパーにも銃口を向けた。
「じ、ジャーヴィス…ペ、ペッパーを…ペッパーを守るんだ…。は、早く…スーツを…よ、用意…」
パニックになったトニーの呼吸は乱れ始め、酸素を吸うことが出来なくなったトニーは床に倒れた。

『ペッパー様!トニー様が…』
ジャーヴィスの知らせにラボへ急いだペッパーは、床の上に倒れているトニーに気付くと顔色を変えた。
「トニー!」
床にうずくまったトニーは、息ができないのか胸元を押さえ苦しんでいる。
あの時と同じ…いや、それよりも酷いパニックに陥っているトニーを抱き起したペッパーは、まずは彼を安心させようと、背中をゆっくり撫で始めた。
「トニー、大丈夫よ。私はここにいるわ。ゆっくり息を吸って…」
ペッパーの腕を痛いほど掴んだトニーはゆっくりと顔を上げた。その表情は恐怖と怒りそして悲しみに満ち溢れており、堪らなくなったペッパーは彼の頭をぎゅっと抱きしめた。
そのままペッパーの胸元に顔を埋めていたトニーだったが、しばらくすると少し落ち着いたようだ。何度か深呼吸したトニーは、ペッパーから渡された水を飲むとそばのソファーに座り直した。隣に座ったペッパーを抱き寄せたトニーは、まだ小さく震えている手をギュッと握りしめると、ポツリと呟いた。
「…殺されたんだ…」
「殺された…?」
何度か深呼吸したトニーは話が見えず困惑するペッパーを見つめた。
「ペッパー……。親父とお袋は…事故じゃなかった…。殺されたんだ…」
トニーの両親は交通事故で亡くなったのは、公然の事実。それが『殺された』とはどういうことなのだろうか…。
「え…どういうこと…」
目を見開いたペッパーの声も震えている。彼女から視線を逸らしたトニーは、俯いたまま声を絞り出した。
「ヒドラに殺された。事故に見せかけて…。S.H.I.E.L.D.は知っていたはずだ…。それなのに何も言わなかった…。ペッパー…私が今まで信じていたことは嘘だったんだ…。全て嘘だったんだ!…もう誰も信じられない…」
目をギュッと閉じたトニー。まるで零れ落ちそうな涙を堪えるかのように…。
ペッパーは、何と言えばいいのか分からなかった。
20数年間信じていたことが嘘偽りだったのだ。当時を知らない自分でさえもショックを受けたのだ。当事者である彼はもっとショックを受けているはずだ。父親が作り、そして自分も少なからずその組織に身を投じているのに、最も重要なことを隠されていたのだから…。
トニーを見つめていたペッパーだったが、彼の頭を優しく抱え込んだ。
「トニー。私だけは信じて…。私のあなたへの愛は…。それだけは真実だから…」
ゆっくりと頭を撫でると、ペッパーの背中へ腕を回したトニーは何度も頷いた…。

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