「Pepperony 100」カテゴリーアーカイブ

35. Honor

大切な話があると呼び出されたローディは、急いでスターク邸へとやって来た。

「なぁ、相棒。頼みがあるんだ」
いつになく真剣な親友にローディは何を言われるのかと、身体をビクつかせた。
「な、何だ?」
大きな目をさらに見開いたトニーは、ぐいっとローディに近づくと声を潜めた。
「お前さえ良ければなんだが…」
ローディがゴクリと唾を飲み込んだのを確認したトニーは、ペッパーと目を合わせると彼女の大きくなったお腹に手を当てた。
「この子のゴッドファーザーになってくれないか?」
一瞬何を言われたのか理解できなかった。
つまり、ゴッドファーザーということは、トニーとペッパーの娘の代父となるということだ。そんな大役を二人は自分に任せようとしている…。
「……」
いつまで経っても黙ったままのローディにさすがのトニーも不安になってきた。
「ダメか?」
声色だけではなく、二人の不安げな視線に我に返ったローディは、慌てて頭を振った。
「だ、ダメなわけないじゃないか!お、俺でいいのか?」
上ずんだ声に親友が嫌がっているのではなく、むしろ驚いていると気付いたトニーはペッパーに向かって微笑むと親友の肩をぽんと叩いた。
「あぁ。お前がいいんだ。私の娘の代父だぞ?親友のお前にしか頼めないだろ?」
こんな名誉はない。今まで数多くの勲章を貰ってきたが、今日のこの名誉に勝るものはないだろう。
「任せてくれ!」
胸を張って答えるローディに、トニーもペッパーも嬉しそうに笑ったのだった。

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34. Death

ペッパーが死んだ。
私と小さな娘を残して…。

トニーはペッパーの眠る墓に来ていた。まだ目もよく見えないであろう娘は、トニーの腕の中でぐっすりと眠っている。ペッパーは命を懸けて娘を産んだ。そして、その顔を見ることもなく、そのまま永遠の眠りについた。
『トニー……愛してる…』
ペッパーの最期の言葉、それはトニーの胸の奥深くに刻み込まれた。その時のことを思い出したトニーの目から小さな涙が零れ落ちた。
たくさんの花が飾られた真新しい墓標に近づいたトニーは、まだ眠っている娘を抱き直した。
「ペッパー…。この子は…君にそっくりだ…。君が命懸けで産んでくれた私たちの大切な娘だ…。ヴァージニア・マリア・スタークだ。いい名前だろ?君の名前をもらった。この子の中に君は生きているんだから…」
頬を伝わる涙を拭ったトニーは、娘の小さな手を取ると墓標に触れた。
「ペッパー…。この子は…ジニーのことは、世界一大切に育てる。君がしてやれなかった分まで…。だから、待っててくれ。見守っていてくれ…。私が君のそばに行く日まで…」
墓標に刻まれた名前にキスをしたトニーは立ち上がると、ハッピーの待つ車へと向かった。

***

『ジニー、お前は本当にママにそっくりだな』
パパはいつもそう言うけど、私はママの記憶がない。ママは私を産んだ時に死んでしまったから。でも、パパやパパの友達のハッピーおじさんやローディおじさんたちは、私が小さい時からいつもママの話を聞かせてくれた。眠れない時にはジャーヴィスがママのビデオを見せてくれた。だから、ママに触れることはできないけど、私のそばにはママがいつもいてくれたし、私はママが大好きだった。
ママはいないけど、その分パパは私にありったけの愛をいつもくれた。
パパには感謝してる。仕事をしながら、そしてアイアンマンとして戦いながら、28年間、男手一つで私のことを育ててくれた。私がさみしくないように、ママがいなくても辛い思いをしないように…。パパは苦手だった掃除に洗濯、料理を一生懸命覚えたと、いろんな人が教えてくれた。それでも私が小さい時は大変だったらしく、パパは再婚するように何度も勧められた。でも、パパは頑なに断っていた。妻はママ…ペッパーだけだからと。
ママの記憶はないけれど、パパとママは私の理想。どんなに離れていても、何があっても愛し合うパパとママみたいな夫婦になろうと、私はうんと小さい時から決めていた。
そしてついに私も巡り合えた。パパみたいに素敵な人と…。

「パパ…今までありがとう…」
まだ式が始まる前なのに、涙が止まらない。泣いてばかりの私は、さっきからメイクを直されてばかりだ。
「おい、泣くな。美人が台無しだ」
鼻の頭をこすったパパは、私の頭を撫でると、優しい瞳をした。
「懐かしいな…」
そう、私のウェディングドレスはママが着ていたもの。どうしてもこのドレスを着たかったの。きっとママも何処かで見てくれてるわよね。
そう言うとパパは嬉しそうに頷いた。
「あぁ、ママも喜んでいるよ」

そして私は大切な人と夫婦になった。
でも、パパのことが心配で、マリブのパパの家に一緒に住もうと思っていたし、彼も賛成してくれていたからそうするつもりだったけど、パパは大笑いして言ったの。
「やっとお前が嫁に行ったんだぞ?これからはパパは好きなことをして暮らすんだ。だから一人で大丈夫だ」
そう言っていたパパだけど、私がお嫁に行ってから、パパは一気に老け込んでしまった。肩の荷が降りたからだとパパは言うけれど、ママに会いたいとパパはしきりに言うようになった。
せめて孫の顔を見てからにしてよと、からかうように言うと、パパはそれなら早くしてくれと笑った。

パパは私の結婚が決まると、CEOの座を私に譲り、自分は会長となった。まだ未熟な私を一人にしてはおけないからとパパは言っていたけど、心細かった私にとってはすごくありがたかった。パパと一緒に出勤して、困った時はパパがいると思えば、私はどんなことでも乗り越えられた。それでも月日が経つうちに、仕事にも慣れてきた私は、結婚後彼のサポートも受けながらだけど、パパから一人前になったと太鼓判を押される程に成長していた。それと同時に、パパは一線を退くかのように、あまり会社にも出てこなくなった。

結婚して1年経ったある日。それはもうすぐママの命日という日だった。
昨晩、パパから久しぶりに会社に行くと連絡を受けていた私は、たまには親子二人でランチでも食べに行こうとパパの到着を今か今かと待ちわびていた。でも、パパはお昼近くになっても姿を見せなかった。
今までこんなことはなかった。いささか不安になった私はパパの携帯に電話をかけたけど、何度鳴らしても繋がらない。
パパの秘書に尋ねると、今日は休むと連絡があったと言われ、私はマリブの家に向かった。
「パパ?」
でも、リビングにもラボにもパパの姿はなかった。
「ジャーヴィス、パパは?」
この家…ううん、パパの全てを司っているジャーヴィス。いつもはすぐさま返答があるのに、いつまで経ってもジャーヴィスの声は聞こえなかった。
ジャーヴィスだけではない、この家は時が止まったように静かだった。
嫌な予感がした。
「まさか…」
こういう時の勘って嫌なんだけどよく当たるのよね…。
私は車に飛び乗るとあの場所へと向かった。

ここ数日、息苦しくてたまらなかった。そして今朝、起き上がれない程の目眩と動悸、そして息切れに、トニーはとうとうその時が来たのだと悟った。
ふらつく身体を奮い起こし、最後の後始末をしたトニーは、這うようにしてペッパーの眠る場所へと向かった。
彼女が好きだったバラの花束を置くと、トニーは墓標を抱きかかえるように座り込んだ。
「ジニーは…大丈夫だ。あの子を守ってくれる男に託したから…。ペッパー……もういいだろ?…君の…そばにいたいんだ…。君に会いたい…。心配するな……全て…片付けてきた…。だから………」
大きく息を吐いたトニーが目を閉じると、懐かしい感触が頬を触れた。
そっと目を開くと、隣には会いたくてたまらなかったペッパーがいた。
「トニー……ご苦労様…」
離れ離れになった頃のように美しいペッパーは、にっこりと微笑むとトニーを抱きしめた。
あの頃と変わらず温かくそして優しい温もりにトニーは心がすっと晴れ渡った気がした。
それはこの28年間、心のどこかでずっと求めていたものだった。
「ペッパー……やっと…君と……会えた………」
にっこりと微笑んだトニーは、目を閉じた。

ママの眠るお墓に向かうと、そこにパパはいた。ママの墓標に寄りかかるように座り込んだパパは、目を閉じていた。
「パパ、やっぱりここだったのね。探したんだから」
昔からママのことが恋しくなったり、私と喧嘩すると、パパは一人でよくここへ来ていた。私が迎えに行くと『ママと二人で話をしていたんだ。邪魔するな』とわざとらしく頬を膨らませていたパパだけど、今日のパパは何も言わなかった。
明らかに様子がおかしい。そう思った私はパパのそばに座ると、背中に触れた。その瞬間、パパの身体がグラっと揺れ力なく私の方へ倒れてきた。
「パパ……?」

パパは眠るように息を引き取っていた。

ここへ来る途中、何となく予感はしていた。パパはママのそばで最期を迎えたかったんだって。パパの心にはずっとママが生き続けてたんだから…。

「パパ、ママと会えた?」
目から零れ落ちた大粒の涙が、パパの冷たくなった顔に降り注いだ。
その時、私には見えたの。パパとママが手を繋いで遠い空の向こうに歩いて行くのが…。

パパ、心配しないで。私は彼と一緒に頑張るから。ママが命がけでくれた命と、パパがママの分までたくさんくれた愛情と勇気が私にはあるんだから。だから、何も心配しなくていいからね。ママと二人っきりでゆっくりしてね…。

連絡を受けた彼や社員が駆けつけるまで、私はいつまでもパパを抱きしめていた…。

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33.Life

『おはようございます、トニー様…』
ジャーヴィスの声に目を開いたトニーは、隣にあるはずの温もりに手を伸ばした。
「ペッパー…」
目を閉じたまま隣で眠る女性を手繰り寄せたトニーだが、肌触りがいつもとは違うことに気付き目を開けた。

「お、おい!君は誰だ!!!」
隣に眠る女性はペッパーではなかった。見も知らぬ女性に驚いたトニーは、慌ててシーツを腰に巻き付けると、ベッドから飛び降りた。
「誰って…昨日は散々愛し合ったでしょ?」
トニーの叫び声に目を覚ました女性は、大欠伸をしながら起き上がると、トニーの唇にキスをした。一瞬何が起こったか理解出来なかったトニーだが、女性が自分の胸元に指を滑らせているのに気づくと真っ青になり、持っていたシーツを落としてしまった。

「わぁぁぁ!!!!」
家中に響き渡る悲鳴に、リビングにいたペッパーは飛び上がった。
「ぺ、ぺ、ペッパー!!!た、た、助けてくれ!!」
名前を叫びながら姿を現したのは、ボスであるトニー・スターク。
「おはようございます、社……。トニー!服を着て下さい!!」
素っ裸で飛び出して来たトニーに、顔を赤らめたペッパーは目を閉じ叫んだ。
「は、ハニー!何かがおかしいんだ!」
裸のまま喚くトニーに、ペッパーは近くにあったクッションを投げつけた。
「ハニーって…。社長、酔っているんですか?ふざけてないで早く支度をして下さい!飛行機が待っているんですよ!」
裸など見慣れているはずなのに、自分の方を見ようともしないペッパーに、トニーは何かがおかしいとようやく気付いた。
ペッパーがやけに若いのだ。いや、今でも十分若いのだが、目の前にいる彼女はまだ自分に『教育』されていない純粋さが残っているのだ。つまり自分がパーティー三昧な生活をしていた頃の『秘書』のペッパーだった。投げつけられたクッションで前を隠したトニーは、先ほどの彼女の言葉を繰り返した。
「支度をしろ?飛行機が待っている?」
確か今日は休日のはず。一日中ペッパーを可愛がろうと計画していたはずなのに…。
首を傾げているトニーに、ペッパーはため息をついた。
「アフガニスタンに視察に行かれるんですよ?大丈夫ですか?」
『アフガニスタン』と聞き、脳裏に蘇ったのはあの洞窟での日々。
慌てて身体を確認したが、左手にあるはずの誓いの指輪も、胸にある傷もないではないか。
「おい!今は何年だ!」
真っ青になったトニーは両手を振り上げ喚いたが、その拍子に隠していたクッションは落ちてしまった。真っ赤になり目を逸らしたペッパーから返ってきた答えにトニーは絶句した。というのも、告げられた日付はあの事件の起こる前だったのだから…。

行きたくないと喚くトニーを無理やり空港へ送り届けたペッパーだったが、その後も飛行機の中でトニーはローディ相手に何と帰ろうと奮闘し、その度にローディから連絡を受けたペッパーに仕事をしろと怒られたのだった。

そうは言っても、トニーも大人だ。あれだけ嫌がっていたのが嘘のようだが、現地に着いたトニーは黙々と仕事をこなしていった。だが、現地でのデモンストレーションを終え、車に乗り込もうとした時だった。あの時はローディが一緒に乗ろうと言ってくれたはずなのに、今回はさっさと別の車に乗り込もうとしていではないか。
「ろ、ろ、ローディ!!い、い、一緒に乗っていいか!!」
こういう時は一緒に乗りたがらないトニーがやけに慌てているのが気にはなったが、生憎別の車に乗る予定になっているのだ。
「すまんな、トニー。お前の車はあっちだ。後で会おう」
そう言うと、ローディの乗った車は走り去って行った。
後に残されたトニーは渋々指定された車に乗り込んだのだが、酒を勧められても兵士が一緒に写真を撮りたいと言っても、トニーは下を向いたまま喋ろうとしないではないか。微妙な空気が車内に漂う中、その時は来た。
爆発音、銃撃、そして兵士の叫び声…。耳を塞いでも聞こえてくる惨劇にトニーはギュッと目を閉じた。夢なら覚めてくれ…と。だが、いつまでたっても状況は変わらない。ここにいても危険だと判断したトニーは車から転がるように飛び出すと、闇雲に走った。とにかく安全な所へ避難しなければ…と。あの時は左の岩陰に向かってあんなのことになったのだから、今度は右側に…と走り出したトニーだが、足を撃たれた彼はその場に転倒した。
「くっ……」
袋脛を撃ち抜かれたせいで、立つことが出来ない。何とか近場の岩陰に身を潜めたトニーだったが…。

振り返るとミサイルが着弾していた。

あぁ…やはりこうなる運命なのか…。いや、これは避けられない運命なのだ…。なぜなら私は、アイアンマンだから…。

目を閉じたトニーは爆風に吹き飛ばされた……。

***
「…ニー……トニー…トニーったら!」
自分を呼ぶ声に目をゆっくりと開いたトニーは、一瞬自分がどこにいるのか理解できなかった。目をぱちくりしているトニーをペッパーは心配そうに見つめている。
「大丈夫?あなた、ベッドから落ちたの。悪い夢でも見てたのかしら。随分うなされていたから…」
そう言われたトニーは痛む頭を摩りながら起き上がったのだが、そこはアフガニスタンの荒野ではなくいつもの心地よい寝室だった。
「…夢だったか…」
ふうと息を吐いたトニーは額の汗を拭うと立ち上がった。
「そんなに酷い夢だったの?話してみる?」
あのクリスマスの事件の後、トニーは以前ほど悪夢に苛まされることはなくなっていた。だが時折こうやってうなされ目を覚ますことがあるので、少しでも彼の負担が軽減するようにとペッパーは話を聞くようにしていたのだ。
だが、今回はいつもと違うのだろうか。少し考えていたトニーだったが首を振った。
「いや、大丈夫だ。いつものような悪夢ではなかった。ただ、今こうして生きているのは理由があると前に言っただろ?あれは私の運命だったんだ。どう足掻いても必ずぶち当たる私の運命…。私がアイアンマンであるという運命なんだ…」
うなされていたのに清々しい表情をしているトニーは、笑みを浮かべるとペッパーを抱きしめた。
「それともう一つ。私の人生には君がそばにいることも運命なんだよ」
その途端、泣き出しそうな表情を一変し、笑顔になったペッパーは何度も頷くとトニーの胸元に顔を押し付けた。
心地よい鼓動を聞きながらペッパーも思った。
私が生きているのはあなたがいるからよ…と。

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32. Tease

「キスしよう」
そんなことを言われると思ってもいなかったペッパーは、目を丸くした。だが、上司であるトニー・スタークは唇を尖らせると、早くしろと指差している。
ペッパーが戸惑っているうちに、トニーの顔はどんどん近づいてくるではないか。
あと少し…。あと数センチで唇が重なり合う…。
鼻の頭が触れ合ったところで、ようやくペッパーは我に返った。
「し、社長!からかうのもいい加減にして下さい!」
トニーの胸元を軽く押したペッパーは、真っ赤になった顔を隠すように身体の向きを変えた。
「…からかったのではないんだが…」
思わぬ言葉が聞こえた気がし、ペッパーは顔を上げた。
だが、目の前にいるのはいつものトニー・スタークだった。
「何だ。おしかったな」
わざとらしく顔を顰めたトニーだったが、幸か不幸か、その耳が真っ赤になっていることにペッパーは気づいていなかったのだった。

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31. Joke

オンナはみんな同じだと思っていた。甘い言葉の一つでなびくし、つまらないジョークでも笑ってくれると思っていた。
だが、彼女は違った。彼女は今まで出会ったどのオンナとも違っていたのだ…。

「…で、その時ハッピーが転んだんだ!」
話のネタされるハッピーには申し訳ないが、とっておきの笑い話を聞かせ反応を見る。だが、彼女はニコリとも笑わなかった。
「話は以上ですか?」
「あ、あぁ…」
白けた視線を送ってきた彼女…つい先日秘書になったペッパー・ポッツは、デスクの上の書類を束ねた。
「では、仕事があるので失礼します、社長」
軽く頭を下げたペッパーは、ヒールの音を響かせながら部屋を出て行った。

(もう少し可愛らしいと思っていたんだが…)
椅子を回転させながら大あくびをしたトニーは、彼女と初めて出会った日のことを思い出していた。彼女を秘書に抜擢し迎えに行った時、彼女は真っ赤な顔をして恥ずかしがっていた。その後ランチを食べながらお互いのことを話したり、自宅へ招きラボを見せた時も彼女は感嘆していた。
だが、本来の生真面目さからか、彼女は非常に仕事熱心だった。秘書になって3日後には『冷静で手厳しいミス・ポッツ』として社内で有名になったのだから、トニーが思っている以上にそうなのだろう。文句の一つも言わず、トニーのスケジュールからプライベートの管理…時には女性の後始末までしてくれるのだから、秘書としてはとても優秀だ。それでも仕事が終わりトニーと二人きりになると、時折可愛らしい笑顔を見せてくれるのだが…。

『社長は何でもジョークで済ませるんですか?』
つい先日言われた言葉をトニーは不意に思いだした。
人生その場が楽しければいいと思っていたが…。どうやら彼女と出会い、自分の中で何かが少しずつ変わってきているようだ。それが何かは分からないが…。
「これからゆっくり探せばいいか」
人生まだまだこれからなのだ。答えはそのうち見つかるだろう。
大きく伸びをしたトニーは、今宵の相手を見つけようと、携帯を取り出し適当に番号を押した。

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