エストを抱きかかえたペッパーが玄関に向かうと、ドアの前に立っていたのは…クリスマスにはお馴染みのあの人物。
大きな白い袋を担ぎ真っ赤な衣服に白い髭のその人物と言えば…そう、サンタクロースだ。
初めて見るサンタクロースを、まるで不審者のようにじっと見つめていたエストだが、サンタは取って付けたような高笑いすると
「メリークリスマス!」
と大声で言いニヤリと笑った。
ポカンと口を開けてサンタを見たエストだが、その大きな目にはみるみるうちに涙が溜まり始め、やがて声を上げて泣き出した。
ペッパーにしがみついて泣くエストを見たサンタは、予想外の事態に大慌て。
サンタになった自分を見て大喜びする娘の図を思い浮かべていたサンタ…いや、トニーは、帽子と髭を取り、慌てて服を脱いだ。
「え、エスト!ほ、ほら!パパだ!泣くな!な?頼むから泣き止んでくれ!」
苦笑するペッパーの肩に顔を押し付けて泣いていたエストだったが、大好きな父親の声が聞こえてきたのだ。しゃくりあげながらも顔を上げると、目の前には先ほどまでいた知らないおじいさんの代わりに父親の姿。
途端に顔を輝かせたエストは、
「ぱぁぱ!」
と、満面の笑みを浮かべ父親に腕を伸ばした。
「ダメだったか…」
万全の準備を整えていたのに…と、ガックリと肩を落としたトニーに
「人見知りする方じゃないのにね」
とペッパーは必死で笑いをこらえている。
「仕方ないな。ほら、エスト。サンタクロースからのプレゼントを預かってきたぞ?」
不思議そうな顔をしているエストの涙を拭ったトニーは、その柔らかな頬にキスをした。