「どうして言わなかったんだ!」
「ごめんなさい…」
顔を真っ赤にしたトニーは思わず怒鳴りつけたが、ベッドに横たわり青い顔をしているペッパーが涙声なのに気づくと、彼女の頭をそっと撫でた。
事の発端はこうだ。
知人から美味しいイチゴをもらったトニー。一人では食べきれないからと、秘書であるペッパーにも食べさせたのだが、しばらくしてペッパーは全身に湿疹が出 始め、程なくして呼吸困難に陥ってしまった。その場で倒れたペッパーにトニーは大慌てで救急車を呼んだ。幸いにも早期だったため大事には至らなかったのだ が、落ち着いペッパーから彼女は『イチゴアレルギー』だと聞かされ、今に至る訳だ。
一歩間違えれば彼女は死に至っていたかもしれないのだ。それなのに、何故イチゴを勧められた時に言わなかったのかと問うと、彼女は泣きながら答えた。
「だって社長が二人で食べようと勧めてくれたんですよ。あなたの嬉しそうな顔を見ると言えなくて…。それに、いつもはこんなに酷くないんです。痒くなる程度だから…」
出会って3ヶ月。まだ遠慮があるのだろうが、こういうことは言ってくれなければ困る。なぜなら君は私にとって特別な存在なのだから…。
頭を抱えていたトニーだが、まだぐすぐすと泣いているペッパーの頬を優しく撫でると、手を取り握りしめた。
「ペッパー、君は大切な人だ。…いや、その…大切な秘書だ。君を失いたくないんだ。だから遠慮なんてするな。それと、覚えておく。君にとってイチゴは特別 だ」
彼の言うとおりだ。遠慮などする必要はなかったのだ。もし命をおとしていたら、彼とこうやって話すことすら出来なくなっていたのだから…。トニーの言葉に小さく頷いたペッパーは、力強く温かい手を握り直したのだった。
拍手お礼再掲。The Pepperony 100 Challengeより