26. Cold

ペッパーが風邪を引いた。体調管理には十分気を配っているペッパーなのに、今回の風邪はしぶといらしく、3日経っても良くならない。
「珍しいな、こんなに寝込むなんて」
ベッドサイドに腰を降ろしたトニーは彼女の汗ばんだ額を撫でた。
「ごめんなさい…」
弱々しい声で謝るペッパーにトニーは思わず顔を顰めた。
「なぜ謝るんだ?謝ることはない。疲れているんだ。ゆっくり休め」
トニーの言葉に頷いたペッパーは目を閉じた。

いつも自分が寝込んだ時、ペッパーは甲斐甲斐しく看病してくれる。それならば今度は自分が…と思ったトニーだが…。

「ペッパー、食べれそうか?」
トニーの声に目を開けたペッパーだが、薬が効いたのだろうか、先ほどよりも随分と楽になった気がした。
「えぇ」
起き上がったペッパーにトニーは持ってきたトレーを差し出した。飲み物のカップと共に載せられているのは、リンゴ…それも不揃いだがウサギらしき形をしているではないか。あれだけ何でも出来るのに、なぜか料理に関しては全くと言っていい程何もできない彼が自分を喜ばせようと一生懸命切ってくれたのだろう。 トニーの指に先程までなかったバンドエイドが数枚巻かれているのに気づいたペッパーはリンゴを一つフォークで突き刺すとトニーに向かって笑いかけた。
「リンゴのウサギね」
鼻の頭を擦ったトニーは、心なしか得意げに言った。
「あぁ、うさちゃんだ」
クスッと笑ったペッパーはリンゴを一口齧った。トニー特製のリンゴのウサギは、いつものリンゴよりも甘い気がした。

拍手お礼再掲。The Pepperony 100 Challengeより

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