156.危険日(R-18)

トニーと喧嘩した。きっかけは些細でとてもつまらないこと。私が大事に残しておいたチョコレートを彼が黙って食べてしまったのだ。
彼は土下座して謝ってくれたけど、どうしても許せなかった私は家を飛び出した。
幸いと言うべきか、翌日からDCへ出張だったため、彼と顔を合わすことはなかった。
そして、何度もトニーから連絡が入ったけど、私は一切出なかった。

という訳で、トニーの家を飛び出して一週間。ようやくマリブへと帰って来た私だけど、帰る家は今やあの海沿いの家しかない。
さすがにいつまでも怒っているわけにもいかず…実際のところ、彼が恋しくてたまらなくなった私は、彼の大好きなチーズバーガーにドーナツを買い込んで家へと帰った。
だけど、トニーは家にいなかった。
「ジャーヴィス、トニーは?」
彼の姿を求めてあちこち探し回る私に、ジャーヴィスは申し訳なさそうに答えた。
『トニー様はいつものバーにいらっしゃいます。ペッパー様がお戻りになられたことをお伝えしました』
ジャーヴィスの声を聞きながらキッチンへと向かった私は、思わず絶句してしまった。シンクの中は汚れた皿でいっぱい、テーブルの上は食べかけのテイクアウトのトレーが並び…要するに、彼はこの一週間食べたら食べっぱなしだったのだ。
「私がいないとダメなんだから…」
ため息を付いた私だけど、こんな小さなことでも自分が必要とされていることを実感し、思わず笑みが零れた。

キッチンを片付け終わりリビングで一息ついていると、バタバタと走る音がし、トニーが姿を現した。
「ぺ、ぺ……ぺっふぁ…」
酔っぱらっているのか若干呂律が回っていない彼は、私の姿を見ると泣き出しそうな顔になり走り寄って来た。
ソファーにダイブした彼は、私に抱きつくと胸元に顔を押し付けた。
「あ、会いたかったよぉ…ハニー…。ごめん…。寂しくて…死んでしまうかと思った…」

…はっきり言ってお酒臭い。
でも、そんなことよりも愛しさの方が先だった。
彼の頭をぎゅっと抱きしめた私は、髪の毛を梳きながら頭にキスを何度もした。
「私も…。ごめんなさい、トニー」
愛情を伝えるかのように抱きしめる腕に自然と力が入ると同時に、彼は私のシャツを脱がすと体中にキスを始めた。待ちわびていたその心地よさにうっとりとし ていると、いつの間にか私は何も着ていない状態でソファーの上に押し倒されていた。そして彼も…。今にも私の中に入り込もうとしているそのままの彼を見 て、私は大慌て。
「ちょ、ちょっと待って!トニー!今日は…」

危険日なの…

その言葉を言う前に、半分目の座った彼は私の中に入り込んできた。
一週間ぶりの彼に、私の身体はいやおうがなしに反応し始めた。いつもよりも激しくそして乱暴な行為にすっかり夢中になった私は、彼の身体にしがみ付き、喜びの声を上げ続けた。
そして、ブルっと身体を震わせた彼は、私の中へたっぷりと吐き出した。

彼の規則正しい息遣いを耳元で感じながら、私はそっと呟いた。
「あのね…今日はね…危険日なの…。それに…出張だったから…薬を飲んでないの…」

彼は何も言わなかった。

もしかして…後悔してるの?

じわりと浮かんだ涙が頬を伝わり落ちるのを感じ、黙ったままの彼の身体を揺さぶった。
「ねぇ…何か言って…」
だけど聞こえてきたのは…。

「ぐぅぅ…」
トニーはイビキをかいて眠っていた。
「うそ…寝てるの?」
脇や背中をさすっても彼は熟睡している。抱きしめられたまま―しかも彼が上になっている体勢で身動きが取れない私は、どうすることもできない。
でも、こんな彼の姿は、私しか見れない。それは彼に愛されている特権。
「ぺっぱ…こどもは…5にん…」
耳元で囁かれる寝言はまるで子守唄。
「仕方ないわね…」
クスっと笑った私は、彼の背中に手を回し身体を思いっきり抱き寄せた。
お布団の代わりじゃないけど、彼の温もりはそれ以上に身体とそして心を温めてくれた。

ペッパーがいないと寂しくて死んでしまうウサちゃん社長

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