070.18歳未満お断り 

「パパとママ、エストがねんねしたらなにしてるの?」
小さな娘に尋ねられ、無邪気な顔をしてそんなことを聞かないでよ…と頭を抱えたペッパー。よくよく考えてみれば本当のことなど答えなくてもいいのだが、こういう嘘を付くのがどうも苦手なペッパーは、助けを求めるように隣に座るトニーをチラリと見た。そんなペッパーの反応を楽しむように、腕組みをしたトニーはニヤニヤと笑みを浮かべていたが、膝の上に乗せた娘の頭を優しく撫でた。
「エストが寝た後か?そうだな…ママが大好きなことをやってるんだ」
ご丁寧にウインクまでしてくるトニーだが、耳まで真っ赤にしたペッパーはソファーの上で飛び上がった。叫びそうになった口を押さえたペッパーはジロリと夫を睨みつけたが、トニーは知らぬ顔をしている。両親を交互に見つめていたエストだが、母親に聞いても無駄だと思ったのだろう、父親の方をくるりと向くと目を輝かせた。
「ママがすきなこと?エストもやりたい!」
抱きつき催促してくる娘だが、トニーはわざとらしく肩をすぼめた。
「ダメだ。18歳未満はお断りだ。それに、本当に大好きな人とやるもんだ。だから、エストが大きくなった時まで大事に取っておきなさい」
トニーにしては珍しく真面目な意見に、ペッパーは一瞬目を丸くしたが、口を尖らせた娘にキスをするとトニーの手をそっと握った。
「そうよ。ママはね、パパとだから楽しいの。ママはパパのことが世界で一番大好きだからよ。エストにもいつか現れるわ。パパみたいに素敵なたった一人の人が…」
小さな娘には難しかったのだろうか。腑に落ちない顔をしたエストだが、どうやら今の自分は小さすぎて参加できないということは理解したらしい。
「ふーん、わかった。でも、エストね、パパとママがだいすきよ。だから、エストがおおきくなったら、パパとママとみんなでしようね!」
と、何とも返答に困ることを言い放った。肯定も否定もできず引きつった笑いを浮かべたペッパーだったが…。
「…みんなではできない…。ママはパパだけのものだからな」
ムスっとしたトニーは口を尖らせると、プイっと横を向いたのだった。

子供の質問に本気な社長

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