「そういえば、ペッパー・ポッツだったかしら?とうとうトニー・スタークが手を出したらしいわよ?」
ミーティングも終わり、自室へ引き上げようとしていたキリアンに、マヤ・ハンセンはニンマリと声を掛けた。『ペッパー・ポッツ』と聞いたキリアンは、一瞬肩を震わせたが、振り返った時にはいつものキリアンだった。
「そうか。あの女、上司とはデートしないと言っていたが…。どうせスタークが無理やり彼女を…」
言葉を切ったキリアンは、ゴクリと唾を飲み込んだが、マヤ・ハンセンは肩をすくめた。
「どうかしら?それが一夜限りのオンナではなさそうよ。何度も仲良くデートしてるみたいだし。そうそう、NYでは同棲してるみたいよ」
あのトニー・スタークがねぇ…と、手元にあったコーヒーを啜ったマヤは、残念そうにため息を付いた。
黙ったままのキリアンだが、その目には怒りが、そして背後にはどす黒いオーラが漂っており、この話題を出したのは失敗だったかしらとマヤは眉を曇らせた。
「キリアン?」
恐る恐る声を掛けると、キリアンはポンと手を叩き、取って付けたような笑みを浮かべた。
「素晴らしいシナリオを思い付いた。復讐と実益、両方が得られる素晴らしいプランだ」
ニンマリと笑ったキリアンは、マヤとそして隣で待機している部下のサヴィンを手招きすると何やら囁いた。
早速準備をすると飛び出して行ったサヴィンを見送ったキリアンは、窓の外に広がる海を眺めた。
(ペッパー、君は私のモノだ。待っていてくれ、もうすぐ私のモノになる…)
トニペパのことは聞き逃さないキリアン