「……本当にここなのか?」
「えぇ……」
仕事で日本に行くことになった二人。せっかくなのであちこち回ろうと、ペッパーは下調べをするうちに、日本には面白いホテルがあるということを小耳に挟んだ。
そして、今二人の目の前には、ペッパーが雑誌で見たという面白いホテルがあるのだが…。
確かに外観はおとぎ話に出てくるお城のようだ。だが、明らかに怪しい。ホテルのある場所も怪しいのだが、それよりも二人は周りから浮いていた。要するに、超高級車で乗り付けた見るからに裕福そうな外国人のカップルはこの街では異色の存在だったのだ。
先ほどから出てくるのはカップルばかり。しかも中には訳ありっぽい二人もいる。
「…なぁ、ペッパー。ここは普通のホテルじゃないんじゃないか?」
トニーがこの地に降り立ってからずっと思っていた疑問を口にすると、ペッパーも同意見だったらしい。
「そうみたいね…。泊まるのやめる?」
だが、せっかくペッパーが調べたのだ。首を振ったトニーはペッパーの手を取ると
「まぁ、いい。せっかくだ。泊まってみるか」
と、中へ入って行った。
中に入るが誰もいない。よく見るとタッチパネルのようなものがあり、無人で部屋が選べるようだ。パネルには、宇宙や海、おとぎ話の部屋など様々な部屋があり、どうやら全室違うようだ。
「選べよ」
「どうしよう…って、トニー…ここしか空いてないみたい。人気なのね…」
ペッパーが指差した部屋は『監獄』。どう考えても可愛らしい部屋では無さそうだが、選択の余地がないのだから仕方ない。
「よし、決まりだ。早く部屋に行こう」
ペッパーの手を引っ張ったトニーは、エレベーターへと乗り込んだ。
「凄い部屋ね…」
薄暗い部屋は本物の監獄さながらで、ご丁寧に手錠や拘束具まで置いてある。
『愛するのに場所は関係ない』と常々言っているトニーですらも絶句している。何とも気まずい空気が漂う中、カバンから荷物を取り出したペッパーは
「さ、先にシャワー浴びるわね!」
と、真っ赤になりながら叫ぶと、バスルームへ向かった。
ペッパーがいなくなり手持無沙汰になったトニーは、大きなベッドにひっくり返った。目を閉じ伸びをしていたトニーだったが、ふと目を開けると目の前の光景にギョッとした。
天井には格子が張り巡らせてあるのだが、よく見ると一面鏡張りとなっている。つまりベッドの上で繰り広げられる痴態が丸見えというわけだ。
慌てて飛び起きたトニーだが、飛び上がった瞬間、ベッドサイドにあったスイッチに手が当たってしまった。すると、あろうことかベッドが回転し始めた。
「な、何なんだ?!」
止めようと必死なトニーは、手元のボタンを闇雲に押し始めた。すると目の前の壁が透け始め、シャワーを浴びるペッパーが映し出された。
「?!?!」
一人でシャワーを浴びるペッパーの姿…しかも真正面からなど普段は絶対に見られない。しばらく見入っていたトニーだったが、さすがに理性がもたないと、慌ててスイッチを操作し始めた。すると、回転していたベッドは止まり、ペッパーの姿も見えなくなった。
「うぅ…我慢できない…」
前屈みになったトニーは、部屋の隅に何かあることに気づいた。
「ん?」
恐る恐る近寄ってみると、そこには『監獄』の部屋にふさわしい代物がいくつも並べてあるではないか。
「これは使ってもいいということか?」
ニンマリと笑ったトニーが使えそうな物をベッドサイドに運んでいると、シャワーを浴びたペッパーがトニーに声を掛けた。
「トニー、どうぞ」
ペッパーの声に飛び上がったトニーは、バスルームへ向かうとものの数分で上がってきた。
幸いにも、ペッパーは部屋にある物には気付いていないようだ。
「トニー、ごめんなさい。思ってたのと違ってて…」
ベッドに座り込んだペッパーは、隣に腰を下ろしたトニーにしょんぼりと頭を下げた
「そんな顔するな。楽しめばいいじゃないか?」
笑みを浮かべたトニーは、ペッパーの頬にキスをすると、手に隠し持っていた手錠をペッパーの手首に嵌めた。
「え?な、何でこんな物が…」
真っ赤になり戸惑うペッパーに、トニーは澄まして言った。
「監獄なんだろ?」
「そ、そうだけど…」
確かに『監獄』の部屋だが、まさかこんな小道具まで用意されているとは思いもしない。ますます赤くなるペッパーを尻目に、トニーは拘束具を次々とペッパーに付けていった。
手首の手錠をベッドの柵に、足首の拘束具をベッドと足元のポールに繋ぐと、ペッパーはベッドの上で大の字になった。
「こんな趣味があったの?」
口を尖らせるペッパーに、トニーは鼻の頭を掻いた。
「そういう訳ではないが…。せっかくのチャンスだ。思う存分味合わさせてもらうよ」
そう言いながらもペッパーの身体を覆っていたタオルを取ったトニーだが、その下から下着すらつけていないペッパーの裸体が現れ目を見開いた。
「なんだ。君もこういうつもりだったんだろ?」
太腿の間に手を入れると、そこはすでにぐっしょりと濡れており、トニーはニヤリと笑った。
「準備万端だな?」
恥ずかしそうに視線を下げたペッパーだが、トニーの腰に巻いたタオルの下で、彼のモノが暴れているのに気づくと、笑みを浮かべた。
「…あなただって…」
顔を見合わせた二人は、クスっと笑いあった。
腰のタオルを取り、ペッパーの身体の上に跨ったトニーは、ほんのりと色づき始めた裸体に手を這わせた。
「君を愛することができるなら、場所なんて関係ない。明日は予約してる『オンセン』に行こうな?自然の中で抱く君は、さぞかし美しいことだろう…」
木々の中で喘ぎまくるペッパーの痴態を想像しながら胸にしゃぶりついたトニーは、鼻の下を伸ばした。
彼が何を想像しているのかくらいは検討がつく。
「もう!変なこと考えないの!」
身動きが取れないのだからどうすることも出来ないペッパーは、頬を膨らませたが、トニーに敏感な部分を舐められると、いつものように彼に身を委ねたのだった。
<<おまけ>>
翌日、一日数組しか泊まれない秘境と呼ばれる温泉地へやって来た二人だが…。
「おい!森の中にないじゃないか!!」
川沿いに建つ旅館を見たトニーは、青くなり叫んだ。
「森の中じゃないとダメなの?」
案内された部屋からは大きな川が見え、夜には川岸で上がる花火が見えると聞き、がっくりとしているトニーとは対照的にペッパーはニコニコしつつも、恋人の言動に首を傾げた。
そして、部屋には専用の露天風呂はないが宿自慢の露天風呂があると聞いたトニーは目を輝かせたが、温泉が混浴ではなく男女別と知ると、テーブルをひっくり返さん勢いで立ち上がった。
「一緒に入れないのか?!それじゃあ、意味がないだろ!」
しーんと静まり返る部屋。呆気に取られている女将にペッパーは頭を下げると、トニーを睨みつけた。
「トニーったら、何言ってるのよ!」
だが、ペッパーに睨まれたくらいでは怯まないのがトニー・スターク。
「一緒に入るからいいんだろ?広い温泉の中で君のことを思いっきり愛そうと思っていたんだ!君だっていつものバスタブより広い所で私のモ…!!!」
ゴン!!!
鈍い音がしたと同時に、トニー・スタークは床に転がっていた。
「すみません。彼、何言ってるんでしょうね」
真っ赤になりつつも愛想笑いを浮かべるペッパーの横で、股間を押さえたトニーは一人悶絶していた。
ラブホネタは、ウル侍でウルヴィーがめっちゃ戸惑ってたんで…。ちなみに、内部がどうなってるのかよく分からないんで、想像です(^◇^;)