I want to live a second life with you.⑥

その夜。風呂から上がり寝室へ向かったトニーは、部屋に沢山の自分の写真が飾られていることに気づいた。そしてクローゼットには、自分が愛用していたTシャツやパーカーが収められ、ベッドには自分が使っていた枕が置いてあることにも…。
「あなたの匂いは消えてしまったけど、あなたが恋しくなったら、抱きしめて寝ていたの」
ベッドに座り込んだペッパーは、軽く枕を叩き整えた。そして隣にトニーが潜り込んでくると、ぎゅっと抱きついた。
「昨日、あなたが生き返ったと言われて一晩考えたの。今の私は本当の私かって。あなたといた時の私が本当の私。ヴァージニア・スタークなの。でも、ポールといる時の私は、ペッパー・ポッツを演じているだけだった。幸せな自分を演じているだけだった。天国にいるあなたに、私は幸せだから安心してと、見せようとしているだけだった。つまりね、寂しさからポールに甘えていただけで、彼のこと、本当に愛していたのではないって気づいたの」
トニーは黙ってペッパーの髪を撫でた。
「だから彼からプロポーズされても、すぐに承諾できなかった。そばにいてくれるのは誰でもよかったの。あなたの代わりなんて、誰も出来ないのに。だって、あなたは私の全てだったから。あなたが死んで私の半分は死んでしまったのだから。それでも私は、ただ誰かの温もりが欲しかった。あなたの代わりの温もりなんてあるはずがないけど、誰かの温もりが欲しかった」
胸元に顔を押し付けたペッパーは、小さく震えていた。

思っていた以上にペッパーの心にぬぐいきれないほどの深い悲しみを残していたことに、トニーは後悔した。
あの時、死を覚悟して準備をしていれば、ペッパーやモーガンにもっと色々なことを遺して逝けたのではないかと。いや、絶対に死なないように対策を練れたのではないかと。
「ペッパー、本当にすまなかった」
再び頭を下げたトニーに、顔を上げたペッパーは首を振った。
「トニー、お願いだからもう二度と謝らないで。あなたは何も悪いことはしていないわ。あの時、世界を救うのはあなたしかできなかったわ。あなたは命をかけて、モーガンの未来を守ってくれたんだから…」
「ハニー、すまな……」
謝りかけたトニーの唇を、首を伸ばしたペッパーはキスで塞いだ。
「また謝ろうとしたでしょ?」
可愛らしく睨みつけたペッパーは、トニーの身体の上に座ると彼の頬を撫でた。
「あなたとまた触れ合えるなんて、本当に夢みたい。夢じゃないわよね?」
「ああ、夢ではない。自分でもまだ信じられないから、君が信じられないのは当たり前だな」
苦笑したトニーは、ペッパーの腰に手を添えると、Tシャツの下に手を滑らせた。
「ん……」
小さく吐息を吐いたペッパーはトニーの頬を包み込むとキスをした。舌を絡ませ貪るようなキスを続けながらも、トニーの手はペッパーの背中を撫で回している。
唇を離したペッパーは潤んだ瞳で夫を見つめた。
ポールとキスをしても、その先が欲しいとは一つも思わなかったのに、トニーにキスされるだけで、身体中が彼を求めて疼き始めた。
「トニー……」
妻のTシャツを脱がせたトニーは、自分も服を脱ぐと、ベッドに彼女を組み敷いた。そして首筋から胸元に唇を這わせると、赤い花を幾つも散らした。その間にも、トニーの指は全身を這い回り、その繊細な指使いに、ペッパーは甘い声を上げ始めた。
(あぁ…早くトニーが欲しい……)
トニーの腕をギュッと掴むと、彼も同じ思いだったのだろう。
「ペッパー、愛してる」
とびっきり甘い声で囁いたトニーは、ペッパーの中にゆっくりと入っていった。

5年ぶりのお互いの温もりに、2人はどうしようもない程感じていた。
泣きながらトニーの名を叫んだペッパーが、一段と甲高い声を上げると、トニーも妻の身体を抱きしめ中で果てた。
その瞬間、ペッパーは幸せすぎてどうしていいのか分からなくなった。涙が止まらなかった。もう二度愛し合うことなど出来ないと思っていたのに、奇跡が起こり、最愛の男性に抱きしめられているのだから…。

5年間の空白を埋めるように、その夜2人は何度も求めあった。

⑦へ…

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