I want to live a second life with you.④

翌朝。
モーガンはペッパーを連れてストレンジの家に向かった。
ドアをノックすると、ストレンジがすぐに出てきた。
「待ってたぞ」
ペッパーに向かった頷いたストレンジは、2人を中に通した。
「トニーは…」
「いるぞ」
再び頷いたストレンジは、走って奥の部屋に向かったモーガンを見つめた。
「パパ!」
部屋に飛び込んだモーガンの声に続いて、男性の声が聞こえた。
「モーガン、よく来たな」
確かにトニーの声だ。
ペッパーはガタガタ震え始めた。夢物語のような出来事が、今すぐそばで起こっているのだ。
足がすくんで動けない。
こんなことがあるのだろうか…。死者が生き返るということなんて…。
トニーに会いたいという思いと同時に、少なからず恐怖も感じたペッパーは、ゆっくりと部屋に近づいた。
「今日はね、ママも来てるの!」
モーガンの嬉しそうな声に続いて、ガタっと大きな音がした。と、部屋から男性が飛び出してきた。
それは確かにトニー・スタークだった。ペッパーの愛する、たった一人の男性だった。
トニーの方も、離れた所に立っているペッパーの姿に、立ちすくんでしまった。
会いたくてたまらなかったはずなのに、これは夢で触れれば消えてしまうのではと…もしかしたら拒絶されるのではと、トニーは恐ろしくてたまらなかった。だが、会いに来てくれたのだから、きっとペッパーは受け止めてくれると考えたトニーは、やっとの思いで最愛の女性の名を口にした。
「ペッパー……」
トニーだ。本当にトニーが生き返ったのだ。
涙が次々と零れ落ち、カバンを落としたペッパーはトニーに向かって手を伸ばした。トニーも一歩一歩近づいて来た。が、距離はもどかしいほど縮まらない。ペッパーの歩みは次第に早くなり、ついには駆け足になったペッパーは、トニーの腕の中に飛び込んだ。

トニーに抱きついたペッパーは、すぅと息を吸い込んだ。
トニーの匂いだ。腕の温もりも何もかも、5年前と同じトニーのものだ。忘れるはずがない。間違えるはずがない。なぜならトニーは自分の一部だったんだから…。

「ペッパー…」
トニーの声に顔を上げると、涙で潤んだ琥珀色の瞳に見つめられた。
生涯でたった一人の最愛の男性の頬を両手で包み込んだペッパーは、確かめるように何度も触れた。
「トニー……トニー………」
泣きながら名前を呼ぶペッパーに、トニーは何度も頷いた。
言葉はいらなかった。
自然と唇を重ねると、ペッパーの耳の奥でドクドクと鼓動が鳴り響いた。
ポールとのキスは何も感じなかった。だが、トニーとのキスは、唇の温もりも柔らかな感触も全てを感じることが出来た。心にポッカリと空いていた穴が塞がり、ペッパーはようやく自分があるべき場所に戻ってきた気がした。

暫くして落ち着きを取り戻したペッパーは、トニーを連れて家へと帰ろうとした。自分は『死んだ』人間なのだからと、トニーは躊躇したが、ペッパーもモーガンも、一時もトニーとの離れていたくなかったため、半ば強引にトニーを連れて家へと帰った。

⑤へ…

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