192. Mini Golf

この日、トニー・スタークは、とあるミニゴルフ場にいた。取引先の接待ゴルフなのだが、例えミニゴルフと言っても、どうしてこの真夏の炎天下の中、ゴルフ場にいるのか分からない。
今日はパターが決まらないとか、暑すぎるからだと文句を言い続けるトニーだが、そもそも彼のゴルフの腕前はそれ程上手くはないのだ。とは言っても、世間一般的に見れば十分な腕前なのだが、如何せん、レースやスキーなどはプロ並みなのだから、それに比べれば…と言ったところだろうか。
今もラストショットをミスってしまい、トニーは小さく舌打ちした。滝のように流れ落ちる汗をタオルで拭ったトニーは木陰に避難すると、続けてボールをセットしたペッパーの一打を見守ることにした。
心地よい音と共にボールはカップイン。
「流石は社長!」
取引先の社長以下社員全員が、ゴマをするように拍手し始めた。
ニコッと営業スマイルを浮かべたペッパーは、ボールを拾うと木陰で気だるそうに水を飲んでいるトニーの元へ向かった。
「君は絶好調だな」
「あなたは絶不調ね」
飲んでいたミネラルウォーターのボトルを手渡すと、受け取ったペッパーは一口二口飲み干した。
「君はやけに涼し気な顔をしてるな」
「暑いと思うと余計に暑く感じるのよ」
トニーの額に流れる汗を拭ったペッパーは、不機嫌なトニーに戦々恐々としている周囲の雰囲気を払拭しようと、彼の耳元で囁いた。
「もうすぐ終わるわ。クラブハウスに戻ったら、シャワーを浴びなきゃ……ね?」
つまりそういうことよ…と言うように、トニーの耳たぶを甘噛みすると、目を輝かせたトニーは飛び上がった。
「よし!さっさと終わらせよう!」
そう叫んだトニーはペッパーの手を引っ張ると、炎天下のコースに飛び出した。

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