トニペパデートの一コマ
「ねぇ、トニーは奇跡って信じる?」
マリブの海岸沿いのレストラン。真っ赤な夕日が沈もうとしているのを眺めながらの少し早めのディナーの最中、ペッパーが突然言い出した。
「奇跡か?私は信じてないぞ。全ては必然的に起こったことだからな。」
「じゃあ、このキレイな夕日を眺めているのも奇跡じゃないの?」
さぞかしロマンティックなセリフを期待していたのだろう。口をとがらせながらじっとこちらを見ている彼女にむかい、
「あいにく私はロマンティストじゃないんでね。そんなことは重々承知だろう」
とニヤニヤしながら言い放つ。
時々私たちはこうやって言葉のゲームをする。
どちらかが降参するまで続くゲーム。
負けた方が勝った方の言うことを聞くという、至って単純なゲームだ。
今日も私の勝ちだな。またお仕置きを…と考えていると…。
「じゃあ、私たちも”必然”だったの?私たち2人が出会ったのも奇跡じゃないの?」
今日の彼女はやけに食い下がると思ったら…なるほど、そうきたか。
私たちのことを持ちだすとは…うかつなことは言えないじゃないか…。
彼女を泣かす…いや、喜ばすセリフを考えていると
「あら?降参かしら?トニー・スターク?」
顔を上げるとニッコリと笑う彼女の顔があった。
「いや、ペッパー。私を誰だと思ってる?そもそも君を採用したのは私だぞ、ペッパー・ポッツくん。つまり、顔を合わせる前から、私は君を選んでたんだ。それに私たちの出会いを奇跡だと?奇跡なんてもんじゃない。運命と言って欲しいな。」
そうだろ?と言わんばかりに、そして彼女にしか見せていないとびっきりの笑顔を添えると決定打。
「う、運命…そうね、運命…。あなたが私を選んでくれたのよね…。ありがとう、トニー」
ペッパー・ポッツ陥落。今日も私の勝ちだ。
さて、今夜はどうやって頂こうかな…。