Reasons to stay in this world.③

触れることができない以外は、以前のような日常が戻ってきた。
モーガンは眠る前にトニーに本を読んでもらうこともできたし、楽しい話をしてもらうことができた。何より、ペッパーとモーガンは、トニーがそばにいてくれることだけで満足だった。

クリスマスになった。
去年まではトニーが大きなツリーを買ってきて、家族で飾り付けをしていたが、今年はペッパーがトニーとツリーを買いに行き、モーガンと2人で飾り付けをした。そして3人は家族でクリスマスを祝った。2ヶ月前には、もう二度と祝うことができないと思っていたのに、これからも家族で祝えるのだ。はしゃぎすぎて眠ってしまったモーガンを、トニーもペッパーも愛おしそうに見つめた。

1年経ってもトニーの姿は消えることがなかった。テレビでは、トニーの追悼番組が延々と流されていた。
「不思議ね。あなたの追悼番組をあなたと一緒に見てるなんて…」
考え深げに呟いたペッパーに、トニーはフンっと鼻を鳴らした。
「死んでも私は人気者ってことだ」

トニーはモーガンの入学式にも参加した。学校の課題を手伝うこともできたし、サイエンスフェアでモーガンが優秀賞を取り表彰されるのも見ることができた。
そしてモーガンが学校に行くようになってから、トニーはペッパーに付いて会社へと向かった。家に一人でいても何もできず退屈だから…とペッパーには言ったのだが、妻と離れたくないというのが、実際のところ本音なのだが…。そのためトニーは生前よりも会社のことをより知ることができた。トニーの意思を継いで、スターク・インダストリーズは今なおヒーローたちの活動の『後始末』を請け負っていた。そしてペッパーは、学びたくても学べない子供達を支援するために、トニーの名を付けた基金を設立した。トニーも表立っては活動することはできないが、各部署を偵察しながら、特に開発についてペッパーにアドバイスをした。開発に関してはトニーの意見はいつだって的確なため、ペッパーは彼の意見を積極的に取り入れた。おかげでスターク・インダストリーズは、トニーの生前と同様…いや、それ以上に発展していった。

④へ…

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