I love you 3000… Ⅱ ⑦

夕方になり気温も下がり過ごしやすくなってきた。

もうバレないだろうと2人はサングラスだけを掛けて歩いているのだが、周囲はとっくに気づいていた。
だが、アイアンマンが世界を救ってくれた。何ヶ月も入院するような大怪我負って…いや、噂によると死んでいてもおかしくなかったらしい…。アイアンマンは、命を懸けて地球を守ってくれた。だからアイアンマン…いや、トニー・スタークも家族との休暇が必要だろうと、誰も声をかけなかったのだ。

アトラクションに乗ったり、キャラクターと写真を撮ったり…。モーガンもだが、トニーも子供のようにはしゃいでいた。
楽しそうに笑うトニーとモーガンの写真をペッパーは何枚も撮った。

夜になり、予約していたパーク内のレストランで夕食を済ませた3人は、夜のショーを見ようと、これまた予約していた特等席に腰を下ろした。
打ち上がる花火にモーガンは大興奮。手を叩いて大喜びしていたモーガンだが、昼寝をしたと言え、こんなにも夜更かししたことはないのだから、トニーの腕の中でウトウトし始めた。

眠ってしまった娘をおんぶしたトニーは、ペッパーと手を繋ぐとホテルに向かって歩き出した。
「いいな、こういうの…」
歩きながらトニーがポツリと呟いた。ペッパーが夫の右の義手を握りしめると、彼は夜空を見上げた。
「初めてなんだ。こういう普通の生活って。君と結婚して、モーガンが生まれて…あの5年間は普通の生活ができた。だが、いつも怖かった。幸せがいつか終わるのではと怖かった。だが今は…」
深呼吸をしたトニーは、晴れ晴れとした顔をペッパーに向けた。
「今はそんなものは感じないんだ。怖くないんだ。楽しさと、嬉しさと…それしか感じない。夜もゆっくり眠れるし、毎日目覚めるのが楽しくて仕方ない。今日はモーガンと何をしようと考えたり、君と何回キスできるか考えたり…。くだらないことかもしれないが、そんなくだらないことでも、考えるのが楽しくて仕方ないんだ」
ペッパーの頬に流れ落ちた涙を唇で拭ったトニーは、繋いだ手にギュッと力を込めた。
「あの時死ぬ覚悟でサノスから石を奪い指を鳴らした。君たちを守れるなら、死んでもいいと思った。モーガンの未来を守れるなら、後悔なんてないと思ってた。だが、死ななくてよかった。本当によかった。生きていて…君たちのそばにいることができて、本当によかった。あの時死んでいたら、こうやってモーガンを遊びに連れて行くこともできなかった。家族で風呂に入ることもできなかった。やり残したことだらけで、後悔しか残らなかっただろうな…。生きていられるのは、君のおかげだ。ペッパー、支えてくれてありがとう。君がそばにいてくれたから、私は痛みに屈せず頑張れた。腕を失った時も、君がいてくれたから…モーガンがいてくれたから、前を向いて歩こうと思えた。だからな、ペッパー。これからは、しっかり妻孝行させてくれ」
立ち止まったトニーはペッパーを見つめた。
「うん……」
夫の頬を掴んだペッパーは、これからも彼を支えると誓うように、キスをした。

月明かりの下、2人はいつまでもキスをしていた。

⑧へ…

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