Another World of 2012:NY…24

5ヶ月後。
庭にトニーの好きなひまわりが咲き誇る頃、ペッパーは男の子を出産した。
2人は親友たちの名前を貰い、息子をハロルド・ジェームス・スタークと名付けた。
ハロルド…2人は息子をハリーと呼んでいたが、彼はトニーそっくりの顔立ちで、ペッパーと同じ赤毛を持った、とても可愛らしい男の子だった。
トニーもペッパーもだが、一番喜んだのは3歳になったモーガンだった。モーガンはとにかくハリーの世話を焼きたがった。
最低でも半年間は家で仕事をすることにしたペッパーの手伝いをしたがった。ミルクをあげるのも、オムツを替えるのも…とにかく弟の世話をするのがモーガンは大好きだった。

そして最近では大学生になったピーターも頻繁に顔を覗かせるようになった。ピーターはモーガンの良い遊び相手になってくれた。そしてトニーも、ピーターの大学での研究話を聞くのが楽しみになっていた。
ピーターはスパイダーマンのスペックについてもトニーに相談した。そのため、トニーも彼のスーツを改良するのが、楽しくて仕方なかった。

***
秋になり、辺りの木々が色づき始めた頃。
バルコニーのリクライニングチェアで、ペッパーは半分眠っている息子を抱きしめていた。その側では、モーガンを膝の上に乗せ、トニーが本を読み聞かせていた。
そこには幸せな家族以外の何もなかった。

が、その平穏な光景が遂に打ち破られてしまった。

突然、上空を切り裂くような音がした。そして辺りが暗闇に襲われた。
モーガンを抱きしめたトニーは、ペッパーとハロルドを守るように立ち上がった。
「早く家の中に入れ!」
そう告げたトニーは3人を家の中に押し込んだ。そして自分はラボに向かうと、しまっていたリアクターを胸に付けた。

トニーが外に出ると見たことのない女が庭に立っていた。
「ここは私有地だ。勝手に入ってくるな」
女はどこからどう見ても地球外のものだった。女は名乗ることすらせずに、トニーに向かって凍りつくような笑みを浮かべた。
「トニー・スターク。サノスを殺した男よ。お前の大切なものを譲り受けに来た」
女の視線にトニーは背筋を震わせた。
この女は、目的のためには手段を選ばないと感じたトニーは、リアクターに触れた。トニーの身体はアーマに包まれた。
「狙いはお前ではない。お前の子供たちだ。娘のパワーと、息子のパワー。2つ合わされば宇宙を支配できる」
モーガンの能力は知っている。だがハロルドは生まれたばかりでまだその能力すらも見せていないのだ。
いずれにせよ、子供たちを手放す気などさらさらない。
あらゆる武器を女に向けたトニーは、女を威嚇した。
「悪いが断る。帰れ」
と、女が笑った。するとトニーの身体が浮き上がった。見えない鎖に縛られたように、トニーは身動きが取れなくなった。もがくトニーに、女は手を捻るように動かした。するとアーマーが砕け散った。生身になったトニーは、エクストリミスの力を解放しようとした。が、見えない鎖はトニーの首を締め付けた。
「ぐっ……」
首を締め付けられたトニーは息を詰まらせた。再び女が手を動かした。するとリアクターが砕け散った。
「見逃してやっただろ?数年でも幸せな家族ごっこができただろ?諦めろ。お前は所詮、幸せになれないんだ!」
唸り声を上げるトニーだが、その目は怒り狂っていた。そこで女は今度はトニーの両腕を引きちぎった。
トニーが悲鳴を上げた。
女が手を振ると、トニーは地面に叩きつけられた。
血がドクドクと両腕の付け根から流れ落ち、トニーは頭がクラクラしてきた。が、ここで負ければ子供たちは奪われてしまうと、トニーは奮起した。
瞳を燃え上がらせたトニーは腕を元に戻すと、女に飛びかかった。
が、やはり近づくことができない。逆に羽交い締めにされ、何度も地面に叩きつけられた。
女がトニーの身体を再び持ち上げた。そして手を動かした。意識朦朧としているトニーだが、身体を跳ね上がらせると、叫び声を上げた。女は笑いながら、見えない手でトニーの心臓を鷲掴みにしていた。
「鉄の男も、これがなければ生きてはいけないだろ?子供たちを渡せ。さもなくば、このままお前の心臓を引きちぎるぞ?」

心臓が喧しい程音を立て始めた。
息ができなくなってきた。
トニーの口からは血が流れ落ち始めた。
それでもトニーは必死に抵抗し続けた。
女はぐっと力を込めた。
トニーは大量に血を吐き出した。
虚ろな目をしたトニーに、女は最後のトドメを刺そうとした…。

「スタークさん!!」
女が何かに蹴られたように吹っ飛んだ。
トニーは地面に落ちる寸前、誰かに抱きかかえられた。スパイダーマンだった。
「スタークさん!しっかりして!」
血塗れのトニーの頬をピーターが軽く叩くと、トニーは咳き込みながら目を開いた。
「ピーター……」
何度か瞬きしたトニーは、周りに数人いることに気づいた。ウォーマシンがいた。ストレンジも、そしてアントマンも…。
「奥さんと子供たちは、ワスプが守っているから安心しろ」
アントマンが胸を叩いたが、トニーは息をするので精一杯だった。

女は味方を呼んだようで、ローディたちは多数を相手にしていた。

ふらつくトニーをピーターは物陰に座らせた。
「ここにいて下さい。僕たちであいつらを倒しますから」
そう言うと、ピーターは飛び出して行った。

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