Another World of 2012:NY…⑧

遠くで呼ぶ声が聞こえる。
そっと目を開けたペッパーは、瓦礫の向こう側にトニーがいることに気がついた。
「ハニー」
見慣れないアーマーに身を包んだトニーはペッパーに向かって必死に手を伸ばした。もう少しで届く…そう思った矢先、キリアンが現れた。
トニーを殺そうと襲いかかったキリアンだが、機転を利かしたトニーは、キリアンの腕を切り落とした。が、燃え上がった彼の腕のせいで、ペッパーの捕まっていた機器が動き始めた。
どんどん遠ざかっていくペッパーだが、トニーが必死で追いかけてくるのが見えた。やがて機器が止まった。が、このままでは眼下で燃え盛る炎の中に落ちてしまう。追いついたトニーが必死に手を伸ばした。
「必ず捕まえる!」
そう叫んだトニーだが、あともう少し…というところで、ペッパーは彼の手を掴むことができなかった。
「ペッパー!!!」
トニーの声が遠ざかっていく。
炎に焼かれたペッパーは、地面に叩きつけられた。

が、ペッパーは起き上がった。焼き尽くされた身体は、みるみるうちに再生していくではないか。
「これが…エクストリミスの力なの…」
助かったのだ。今ばかりは感謝しかなかった。
と、声が聞こえた。トニーとそしてキリアンの声が…。
怪我をして動けないのか、座ったままのトニーにキリアンが襲いかかろうとしているではないか。
(トニーを守らなくては!)
ペッパーは必死だった。トニーを守るため必死だった。必死なあまり、どうやったのか覚えていないが、彼女はキリアンを倒した。

「ハニー…」
トニーの声に我に返ったペッパーは、
「トニー……赤ちゃんが…」
と、シクシク泣き始めた。ゆっくり立ち上がったトニーは、ペッパーの腕をさすった。
「ハニー…きっと大丈夫…。だが、まずは君が無事だったことを…感謝しよう…」
優しくペッパーを抱きしめたトニーは、何やらJ.A.R.V.I.S.に命じた。すると、上空を飛んでいた沢山のアイアンマンが、次々と爆発し始めたではないか。
アーマーはトニーの子供のような存在だったはず…。それなのにどうして…と、ペッパーがトニーを見つめると、彼は少しだけ寂しそうに笑った。
「クリスマスだし…。それに、君と子供と…新しい人生を始めたいんだ…」
そう言うと、トニーはペッパーをギュッと抱きしめた。
2人は抱き合ったまま、頭上に上がる花火をいつまでも見つめていた。

⑨へ…

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