Another World of 2012:NY…⑨

病院へ向かった2人だが、トニーは大怪我を負っており、そのまま手術室へと運ばれた。
ペッパーも検査を受けたのだが、幸いなことに胎児は無事だった。
だが、エクストリミスの影響については全く分からない。
『怪物を産むことになる』
ペッパーは、キリアンの言葉が頭から離れなかった。怖くて仕方なかった。子供が…生まれてきた子供が、あの時見たキリアンたちのような姿なら、どうすればいいのだろうか…と。それならばいっそのこと…この子は生まれてこない方が幸せなのかもしれない…。そう考えたペッパーは、手術を終え目を覚ましたトニーに告げた。
「トニー……この子のことなんだけど……。あいつに言われた…。この子は…怪物になるって……。だから…私…」
泣き始めたペッパーの言いたいことをトニーは理解した。が、トニーは信じていた。自分たちの子供は、決して怪物なんかじゃないと…。
「君と私の子供だぞ?優しくて強くて可愛い子に決まってるじゃないか」
手を伸ばしたトニーは、ペッパーの手を握りしめた。
「ペッパー…心配するな。治療法は必ず見つける。君を治して…この子も治してみせる。だが、もし治らなくても……私たちの子供だぞ?だから大丈夫だ…」
ニッコリ笑ったトニーに、ペッパーは思った。
トニーはどうしてこんなに強く優しいのだろう……と。
「…うん…」
ようやく笑みが戻ったペッパーを、トニーはそっと抱き寄せた。

マリブの家は崩壊したため、NYに移り住んだ2人だが、タワーは危険かもしれないと、セントラルパーク近くに家を買った。
そしてトニーは、マヤが託してくれた資料を元に、エクストリミスを完成させた。
まずはペッパーに投与しようとしたが、エクストリミスの影響か、胎児の成長が普通よりも早いのだ。
「やっぱり影響があるのよね……」
普通の2倍のスピードで成長する我が子に、ペッパーは唇を尖らせた。
ペッパーはまだ3ヶ月なのに、お腹はせり出し、すでに胎動を感じるのだ。
「そんなに急いで大きくならなくていいんだぞ?」
トニーがお腹に向かって話しかけると、子供は元気よく母親のお腹を蹴った。
今、ペッパーからエクストリミスを除去すると、子供にどんな影響があるのか分からない。そう考えたトニーは、エクストリミスを自分に投与した。そして彼は長年の悪夢であったリアクターと破片を除去する手術を受けた。
エクストリミスのおかげで、トニーはすぐに回復した。そして悪夢から解放された彼は、ようやくゆっくりと眠れるようになった。
そのままエクストリミスを除去することもできたが、ペッパーはまだ感染しているため、トニーもそのままにしておくことにした。

5ヶ月目に入ったペッパーだが、お腹ははちきれそうになっている。
今にも産まれそうなペッパーだが、子供が生まれる前に…と、マンダリン事件で延期になっていた結婚式を2人は挙げることにした。
ハッピーとローディだけを呼んだ小さな式。
それでも2人は、本当に祝ってくれる親友に囲まれて幸せだった。

奇しくもトニーの誕生日の前日。
ペッパーは産気づいた。
ペッパーは不安でたまらなかった。
無事に産まれてきてくれるかもだが、我が子がどんな姿をしているのか、不安でたまらなかった。
そんなペッパーをトニーは分娩室で手を握りしめ、励まし続けた。

翌朝、つまりトニーの誕生日に生まれた娘は、至って健康だった。
父親によく似た娘は、元気よく産声を上げている。可愛らしい娘を抱き上げたトニーの目から涙が零れ落ちた。
「ペッパー…ありがとう…ありがとう……」
泣き続けるトニーと、そして天使のような娘に、ペッパーはようやく安心することができた。

家に帰ったトニーは、ペッパーの叔父に因んでモーガンと名付けた娘を徹底的に調べた。
身長も体重も申し分なく、5ヶ月しか母親の胎内にいなかったにも関わらず、彼女はちゃんと10ヶ月分育ってくれていた。が、娘の血液を調べると、やはりエクストリミスに感染しているではないか。しかも、自分とペッパーの血液と比べると、どこか違っていた。つまりモーガンの血液は、通常とは違い変異していたのだ。
トニーは迷った。
エクストリミスに感染したまま胎内で育った彼女からそれを取り除けば、どんな影響があるか分からないからだ。しかも、変異しているということは、娘はエクストリミスなしでは生きていけない状態なのかもしれない
そこでペッパーと相談した結果、時期が来るまで娘のエクストリミスは取り除かないことにした。そして自分たちもその時が来るまで、そのままにしておくことにした。

モーガンとはすくすくと育った。
胎内にいる時は成長も早かったが、産まれてからは普通のスピードで成長していった。
可愛らしい彼女に、トニーとペッパーだけではなく、ハッピーとローディもメロメロだった。

トニーもペッパーも人生で最高に幸せだった。

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