I love you three thousand…①

「ゆっくり眠って…」

伝えたいことは山ほどある。
君たちを遺していかなければならないのだから、せめて愛してると一言だけ最期に伝えたかった。
リアクターの上に置かれた彼女の手や、頬にそっと触れた柔らかな温もりも感じることができない…もう二度とこの手で君たちを抱きしめることができない世界に行かねばならない。そんな細やかなことですら、叶うことのない夢となってしまう…。

こうするしかなかった。今の生活を…ペッパーを守り、そしてモーガンの未来を守るためには…。妻と子供のためなら何だってしてみせる。例え自分の命と引き換えにしようとも…。

5年前、石と引き換えに助けられた命だったが、結局この時のためだったのだから…。ストレンジの言ったたった一つの方法…それは自分が命を捨て守り抜くことだったのだから…。

5年間、普通の生活をすることができた。家族を持つこともできた。たった5年だったが、幸せ以外、何もなかった…。

だが、後悔はないなんて言えない。言えるはずはない。モーガンに伝えたかった。最期に伝えたかった。幼い娘はきっと父親の死をはっきりと理解できないだろうから…。パパはずっとそばにいると…直接伝えたかった…。もっと生きていたかった。娘の成長を見守り、そしてペッパーと愛し合いたかった…。

もしもの時のために、遺言は遺したが、やはり最期に娘に会いたかった。

だが、きっと大丈夫…。
ペッパーとモーガンには…ローディやハッピーが付いている。
だから、守ってくれる人はいる。自分がいなくなっても大丈夫なはず…。

ペッパーの声が聞こえなくなった。

何も感じることができなくなった。

何も見えなくなった…。

ずっと戦い続けた。
戦う度に、ずっと悪夢に悩まされてきた。
だから、ペッパーの言う通り、これでゆっくり休むことができるのかもしれない…。

『2週間ほど泣いたら、後ろめたさ全開で生きてくれ』
5年前にはそう言い遺した。そう思っていたから…。

だが、実際は…。
家族と離れて…休めるはずなんてない…。
休めなくてもいい…。
家族がそばにいてくれるなら…。

ペッパー……モーガン………

3000回…愛してる…………

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