I will dream about you.…④

NY郊外のアベンジャーズの基地。
ペッパーは祈るような気持ちで空を見上げていた。
トニーが行方不明になって数週間が過ぎた。
何の連絡もなく、誰もがトニー・スタークは死んだと口を揃えて言った。
だがペッパーは信じなかった。
『トニーが死んだら、私には分かる』
人前では頑なにそう言い続けていたが、本当は不安で押し潰されそうだった。
毎晩泣いて過ごした。トニーの枕を抱きしめていても、不安で眠ることが出来なかった。
毎日ラボに向かい、トニーからのメッセージが来ていないか確認した。

それが今朝、状況が変わった。
『ミス・ポッツ。ボスからのメッセージを受信しました』
F.R.I.D.A.Y.の言葉に、ペッパーは飛び上がった。何の音沙汰もなかったトニーから、メッセージが届いたというのだ。
トニーは生きている。それだけでも嬉しいのに、伝言が届いたというのだ。
「早く見せて!」
急かすように告げると、トニーのホログラムが現れた。が、それを見たペッパーは表情を変えた。痩せ細ったトニーは虚ろな目をしており、今にも息絶えてしまいそうに見えたから…。
『撮れてる?…やぁ、ポッツくん…』

ポッツくん

彼が敢えてそう呼ぶのは、何かを謝罪したい時…。何故か嫌な予感しかしないと、唇を震わせたペッパーだが、彼女の予感は的中してしまった。それはトニーの最期の言葉だったのだから…。メッセージを聞くにつれて、身体中が震え始めた。涙が止まらなかった。
『…いつも君だ…』
音声が切れた。と同時にホログラムのトニーも消えてしまった。

暫くして、ペッパーは絞り出すように声を出した。
「これ……いつのもの…」
『詳細な日付は分かりませんが、数日前に撮影されたものです。偶然にも受信したものですから、撮影された場所も特定できませんでした』

数日前…。
明日にでも酸素はなくなるとトニーは言っていた…。

つまり、トニーは…もう……。

足が震え、立っていられなくなったペッパーは、その場に座り込んだ。
「トニー…トニー……、嫌……嫌よ……!嫌!絶対に嘘よ!どうして!どうしてよ!トニー!!」
床に顔を伏せたペッパーは、声を上げて泣き始めた。
どうすることも出来ないF.R.I.D.A.Y.は、見守ることしかできなかった。
が、その時だった。
『ポッツ様。たった今、別のメッセージを傍受しました。再生します』
F.R.I.D.A.Y.のやや高揚した声にペッパーは顔を上げた。
『トニー・スタークという男を、送り届ける。座標は…』
「え……」
トニーを送り届けに来たという男。つまり死んだと思っていたトニーは、生きているということだろうか…。
誰かのタチの悪い冗談かと思ったが、男の告げた座標は、北部のアベンジャーズの基地を示しているではないか。
こうなったら、自分の目で確かめるしかないと、ペッパーは家を飛び出した。

という経緯でペッパーはこの場所にいるのだが、空を見上げて小一時間は経っているのに、何も現れる気配はない。やはり冗談だったのかと思いつつも、僅かな望みを捨てることの出来ないペッパーは、祈るような気持ちで空を見上げ続けた。
と、遥か上空で何かがキラッと光った。
段々と地上に近づいてくるそれは、見たことのない船だった。
つまり、先程のメッセージは本物だったのだ。
ということは、トニーは生きている…。

目を輝かせ見つめるペッパーの目の前に、船は大きな音を立てて降り立った。

⑤へ…

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