I will dream about you.…②

夢心地に聞こえていた賑やかな音が、次第にはっきり聞こえてきた。
トニーがゆっくりと目を開けると、むさ苦しい男が目の前にいた。
「気がついたか?」
慌てて起き上がろうとしたが、力が入らない。
「まだ起きるな。相当弱ってる」
そう言いながら押し留めた男は、トニーの腕に付けた点滴に何かを入れた。
鼻のチューブから酸素を吸い込んだトニーは、キョロキョロと辺りを見渡した。
「あんたは俺の仲間の船で漂流していた。俺の知り合いと一緒に」
一緒に漂流していたのはただ一人…ネビュラだ。タイタンで生き残った唯一の仲間。半分機械の彼女は、自分よりも少しだけ長く生きるだろう…そう考えながら交わした最後の会話をトニーは思い出した。

「もし私が眠っていても、起こさないでくれ…」
そう告げると、共に過ごしたのは、ほんの僅かな時間だったにも関わらず、彼女は目を少しだけ潤ませた。
「あぁ…」
短く答えた彼女は、肩にそっと手を置いた。彼女の手は冷たかった。だが、降り注いだ彼女の涙は温かかった…。

(そうだ、彼女は無事なのだろうか…。)
彼女の消息を尋ねようとしたが、カラカラに乾いた口からは言葉がすんなりと出てこなかった。すると男はトニーの考えを読んだかのように、口を開いた。
「彼女は無事だ。だが…聞いたよ…。他の奴のこと…」
男はそれ以上、言葉を続けることができなかった。
あの時の光景を思い出したトニーは、胸が傷んだ。絶望が襲いかかってき、それから逃れるように目を閉じたトニーは、何も言うことができなかった。

「で、何処に向かえばいいんだ?」
咳払いをした男は、ギョロっとした目をトニーに向けた。何度も唾を飲み込んだトニーは、乾咳を数回すると、掠れた声を発した。
「地球…」
「地球というと、テラか?クイルの故郷の…」
クイルと言われ、トニーは一人の男を思い浮かべた。が、酷く頭痛がし始め、顔を顰めたトニーは小さく頷いた。
トニーが酷い顔色をしているのに気づいた男は立ち上がると、部屋の照明を落とした。
「名乗ってなかったな。クラグリンだ」
暗闇から聞こえる声。どこか感情を押し殺したような声に、まだ喋るのも億劫なトニーはやっとの思いで答えた。
「…トニー・スターク…」

③へ…

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