I will dream about you.…①

宇宙を漂流し始めて随分と経った。
5日前、ついに食料も水も尽きた。
空腹を通り越し、もう何も感じなくなった。
そして…あと数時間で酸素も尽きてしまう…。

地球にはまだ辿り着かない。
ペッパーのいる地球には…。

あの惨劇の中でも、ペッパーは必ず生きている。その確信だけは何故か持てた。
最期のメッセージも残した。
きっといつの日か、彼女に届くと信じて…。

次第に息苦しくなってきた。
少しでもその時を遅らせようと、この数日はなるべく動かないようにしていた。毎日窓から変わらぬ静寂を見つめていた。
宇宙は果てしない闇でしかなかった。
孤独だった。
希望の一欠片もない、孤独な世界だった。

宇宙の果てで思い出すのは、ペッパーのことばかりだった。
昔、とある人に言われた。『家族はいないのか』と。当時は家族なんていないと思っていた。だが、今は違う。家族はいる。たった一人の家族が…。もう少しで、本当の家族になるはずだった、ただ一人の女性が…。

「…ペッパー…」

毎晩、夢に出てくる君…。聡明で美しい、私の永遠の恋人。
最期の眠りにつく時も、いつものように、君の温もりに包まれて眠りたかった…。
だが、もう目覚めることのない永遠の眠りは、すぐそこまで迫っている。

と、静寂が訪れた。いや、何も聞こえなくなった。自分の鼓動以外は…。ドクンドクンと脈打つ音だけが、やけにはっきりと聞こえる。ゆっくりと手を伸ばし窓に触れたが、何も感じなかった。窓に映る自分の姿はぼやけており、よく見えない。

そうか…これが最期ってやつなのか…。

長かった旅が終わる…。
私は自由に生きた…。
至らなかったことも多々あるが、生きた痕跡は十分に残せただろう…。誰も覚えていなくても、彼女だけは覚えていてくれるはず…。
その彼女への言葉も遺した…。
もう思い残すことは……。

いや、一つだけある。
絶対に叶わない願いが一つだけ…。

それは…最期に……

君に……

「……ペッパー………」

会いた…かった……。

…………………

…………

……

「……い……おい!」

誰かが頬を叩いている…。
(…だれ……だ……)
必死に答えようとするが、身体が動かない。
と、身体中に新鮮な酸素が流れ込んできた。
喘ぐように吸い込むと、肺がズキズキと傷んだ。
ぼんやりとする頭では何も考えることができないが、薄らと目を開けると、人の気配がした。

どこの誰かは知らないが、助かったのか…。
それともこれは、夢の続きなのか…。

呼びかけに答えられるはずもなく、トニーは再び目を閉じた。

②へ…

Endgameの予告編から。トニーを救出するのは、キャプテン・マーベルかロケット&ペッパー説が有力ですが、この方もありかな?と思って書きました。

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