A boy who came from the future.⑥

と、2人の間にトニーが飛び込んできた。
慌てて避けようとしたモーガンだが、非情にも両腕の剣は、トニーのアーマーを貫き、胸元を貫通した。
「父さ……ん?」
目を見開いたモーガンは今や顔面蒼白で、そんな息子を抱きしめたトニーは、血と共にくぐもった声を出した。
「どうして……」
両腕を引き抜こうにも、トニーが抱きしめているため身動きが取れない。心臓を貫いた剣先を伝わったトニーの血が、地面を真っ赤に染めていく。
最後の力を振り絞って、トニーはモーガンの耳元で囁いた。
「大事な…息子を…人殺しに…できない…だろ……」
ふっと笑ったトニーだが、身体から力が抜けた。
ドサッと音を立てて血の海に倒れこんだトニーの元に、スティーブとようやく動けるようになったクリントが駆け寄った。
「スターク!」
もはや虫の息のトニーは、焦点の合わない目で息子を見つめた。立ちすくんだままのモーガンにトニーは必死で手を伸ばしたが、大きく息を吐いたトニーの手が力なく地面に落ちた。
トニーの首元を触れたクリントが、無念そうに首を横に振った。

「どうして…どうしてだよ!父さん…」
ガタガタと震え始めたモーガンは、その場に膝をついた。

こんなはずではなかった。スティーブ・ロジャースに復讐を果たしたかったのに…あの日の出来事を回避するために、彼を消そうとしただけなのに、どうして実の父親を殺すことになってしまったのだろう…。一番守りたかったものを、どうして傷つけてしまったのだろう…。

「父さんを失いたくないから…守りたかったから来たのに…」
大粒の涙を流し始めたモーガンは、転がるようにトニーの元へ駆け寄った。
「父さん!死なないでよ!」
トニーにすがりついて泣き叫ぶモーガンだが、その身体が段々と透き通り始めた。
「何だよ、これ……」
何が起こっているのだろう。それが分からないため打つ手立てのないスティーブとクリントは、黙って見守るしかできなかった。
と、そこへ現れたのはドクター・ストレンジ。
「間に合わなかったか」
冷たくなったトニーの亡骸を見つめたストレンジは、小さく舌打ちした。
「お前がスタークの息子だな?」
モーガンは力なく頷いたが、ストレンジは溜息を付いた。
「お前が生まれるのは2年後だ。だが、スタークは今ここで命を落とした。そのため、お前が生まれる未来は消滅してしまった。つまり、お前という存在は消える」
モーガン・スタークの存在が消える…。そうなれば、未来の世界ではペッパーはひとりぼっちになってしまうではないか。
「ストレンジ、何とかならないのか?」
喚き始めたクリントを制したストレンジは、モーガンの隣に腰を下ろした。
「スタークの息子よ。いいのか?お前の生きている未来の世界では、お前を待っている人がいるだろ」
ストレンジの言葉に、モーガンは顔を上げた。
「母さん…」
自分が消えれば、母親はひとりぼっちになってしまう。父親に代わり守ると決めた大切な母親を、また傷つけ悲しませることになってしまう…。
その事実に気づいたモーガンは、頭を抱えると、声を上げて再び泣き始めた。
モーガンの背中に手を置いたストレンジは、優しく撫で始めた。
「お前の未来、見せてもらうぞ…」
ストレンジがそう囁くと、辺りはまばゆい光に包まれた。

⑦へ…

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