A boy who came from the future.⑤

ヒドラの残党がいるという情報だったが、薄暗い洞窟はものの見事に空っぽだった。
「何もないじゃないか」
トニーがF.R.I.D.A.Y.に確認させるも、何の反応もない。
「ガセネタだったな」
はぁと溜息を付いたクリントが、別の場所に向かったナターシャたちに連絡を取ろうとしたその時だった。
モーガンがクリントに向かってリパルサーを放った。倒れ込んだクリントに駆け寄ったトニーだが、モーガンはスタンモードで放ったらしく、クリントは身体が動かないと悪態を付いた。
「モーガン!」
彼の意図がさっぱり分からないトニーは、息子を叱りつけるように名前を呼んだ。が、マスクを上げたモーガンは、俯いたままポツリと呟いた。
「クリントおじさんは、殺さない。おじさんは、いつだって俺の味方だったから…」
「モーガン、何を言って…」
唇を震わせたトニーは息子を凝視した。顔を上げたモーガンは、怒りに満ちた瞳をスティーブに向けた。
「だが、あんたは許さない。あんたは俺と母さんから、父さんを奪った張本人なんだから!」
「どういうことだ…」
やっとの思いでそう呟いたトニーに、モーガンは目に涙を浮かべた。
「父さんは……俺が3歳の時に死んだ」
指折り数えていたトニーは、
「ということは、今から5年後に私は死ぬのか?!」
と、素っ頓狂な声を出すと飛び上がった。
「そうだよ、父さんは死ぬんだ。いや、殺されるんだよ!そいつに!そこにいるキャプテン・アメリカに!あんたの正義のせいで、父さんは命を奪われるんだ!」
何ということだろう。モーガンが何らかの理由で未来から来たことは分かっていたが、まさか復讐のために来ていたとは…。
モーガンはスティーブを殺すつもりだろう。父親を奪われた復讐を果たすために、自分の手を汚すつもりだ。
「モーガン、馬鹿なことは止めろ!」
トニーは叫んだ。自分のために息子の手を血で汚すことなどして欲しくなかったから。だが、怒りに支配されたモーガンは、スティーブだけを睨みつけ、トニーの言葉は聞こえていなかった。
「突然父さんを奪われた、俺と母さんの苦しみがあんたに分かるか?!父さんが死んだ時、俺は誓った。いつかあんたに復讐してやるって。だから必死に勉強して、タイムマシンを作った。この機会を俺は15年待ってたんだ!」
モーガンがスティーブに近づいた。
モーガンが腕を振ると、両腕が剣のように変形した。
「言っとくけど、あんたのビブラニウムの盾も貫けるからな!」
スティーブは動けなかった。もしここで自分が死ねば、5年後に起こるはずの悲劇は起こらないかもしれない。そうすればトニーは死なずに済むし、親子は引き離されずに済むだろう。
目の前にモーガンの剣が迫って来たが、スティーブは逃げることなく目を閉じた。

⑥へ…

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