A boy who came from the future.④

昨晩、今日は話を聞こうと決意したトニーだったが、朝からスティーブに呼び出されてしまった。
トニーが集合場所に到着すると、スティーブ・ロジャースとクリント・バートンが待ち構えていた。
「他は?」
さては他は遅刻かと、クインジェットに乗り込みながらトニーが尋ねると、スティーブは声を潜めた。
「それが、急に情報がもう1件入った。ノーマークの場所だ。だが、確かな情報らしい。残りはそっちに向かわせた」
と、背後に誰か降り立つ音がした。
さては敵の襲撃だと、3人一斉に武器を構えると、そこにいたのはアイアンマン。いや、アイアンマンなのだが、見たことがないアーマーを着た誰かだった。
「誰だ!」
武器を向け威嚇すると、そのアイアンマンは慌ててマスクを取った。
「父さん!俺だよ!」
現れたのは、何とモーガンだった。
「モーガン?!どうして…」
何故息子がこの場にいるのか、いや何故アーマーを着ているのか理解できず、トニーは目を白黒させた。
「俺、2代目なんだよ。父さんの跡を継いで、アイアンマンをやってるんだ」
慌ててそう告げたモーガンだが、スティーブとクリントは全く状況が分からないのだから、トニー以上に混乱していた。
「おい、スターク。いつの間に息子ができたんだ?」
ようやくボソッと呟いたクリントと、口をぽかんと開けたままのスティーブを見たモーガンは、彼らが更に混乱しそうなことを言い始めた。
「スティーブおじさんも、クリントおじさんも、若い!」
クリントは兎も角、スティーブは今でもじいさんだがな…と思いつつも、モーガンの隣に歩み寄ったトニーは、彼の背中をポンっと叩いた。
「こいつはモーガン。20年後の世界からやって来た、私の息子だ」
「20年後?!」
目玉が飛び出そうなくらい驚いている2人に、当然の反応だろうなとトニーは肩を竦めた。
「信じられないかもしれないが、本当だ」
呆然と佇んでいたスティーブとクリントだが、20年後のトニー・スタークなら、タイムマシンでも何でも開発しそうだから、息子が来てもおかしくないかもしれないと考え、何とか気持ちを落ち付けようとした。
何度も深呼吸している2人から、視線を父親に移したモーガンは、鼻の頭を擦った。
「父さん、俺も手伝うよ」
が、いくら2代目として戦っていると言われても、この目で実力を見た訳ではないし、何よりモーガンを危険な目に合わせたくないトニーは首を縦に振らなかった。
「ダメだ。子供は帰れ」
父親に反対され頬を膨らませたモーガンだが、思わぬ味方が彼にはいた。
「いいじゃないか、スターク。味方は1人でも多い方がいいだろ」
スティーブの言葉にクリントもうんうんと頷いており、キャプテン・アメリカとホークアイというヒーローを味方につけたモーガンは、誇らしげにトニーを見つめた。たとえ反対してもモーガンは付いてくるだろうし、それならばそばで見ていた方が安心だと考え直したトニーは、こういうところは母親であるペッパーにそっくりだなと、溜息を付いた。

***
スティーブとクリントの乗り込んだクインジェットの後ろを、トニーはモーガンと追いかけた。
「F.R.I.D.A.Y.、モーガンのHUBとリンクしろ」
『了解しました、ボス』
5秒もしないうちに、モーガンの顔がトニーのHUBの片隅に浮かんだ。
「モーガン。絶対にそばから離れるな」
「分かってるよ。でも、俺も強いんだ。だから…」
「お前はサポート役に徹しろ。分かったな」
「はいはい」
嬉しそうに答えるモーガンに、トニーはふと思った。20年後の自分も、こうやって息子と共に飛び、そして戦っているのだろうか…と。そんなことを考えていると、モーガンが抱きつきそうな勢いでそばに寄って来た。
「父さん。俺、めちゃくちゃ嬉しいよ。だって、父さんとこうやって一緒に飛ぶのが夢だったんだ」
(夢だっただと?)
つまり、未来の自分はもうアイアンマンとして活動していないということなのだろうか…。黙ってしまったトニーに、モーガンは慌てて言葉を続けた。
「あ、一緒に飛んだことはあるよ。でも、戦いの場所に一緒に行ったことはないって意味。父さん、危ないからって、俺を連れて行ってくれないから」
「そりゃそうだろ。息子を危険な目に合わせたくないのは、どんな親でも同じだ。本当は今もお前を家に帰したいくらいだ」
当然のことを言ったつもりなのに、モーガンは目を潤ませ黙ったままだ。
未来の自分は息子とこういう肝心な話もしない、そんな父親なのだろうか…。自分もハワードから父親らしい言葉がけをしてもらった記憶はないが、自分も息子に同じことをしているのだろうか…。ふとそんなことが頭をよぎったトニーだが、気づけば目的地に到着しており、ジェットはとっくに着陸していたため、急いで地面へと降り立った。

⑤へ…

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