「俺はあなたの息子。モーガン・スターク。18歳」
突然目の前に現れた少年に開口一番そう告げられ、流石のトニーも目をぱちくりさせたままだ。口をポカンと開けたまま、トニーはモーガンと名乗った少年を見つめた。
猫っ毛の赤毛の髪のモーガンは、琥珀色の大きな瞳をしており、顔立ちは若い頃の自分にそっくりなのだから、彼が自分と血を分けた息子であることは間違いないだろう。
彼が生まれたであろう20年ほど前は、確かに遊んでいた時代だが、相手は一夜限りの女性ばかりなのだ。肝心のお相手は誰なのだろうかと、うんうんと頭を捻るも、思い浮かぶはずはない。頭を悩ませるトニーに、モーガンはトニーによく似た悪戯めいた瞳を輝かせた。
「俺、20年後の世界からやって来たんだ」
「は?」
こいつは一体何言っているんだと、訝しげにモーガンを見つめたトニーだが、彼はニコニコと笑うばかりだ。
「だから、20年後。俺さ、父さんに似て天才なんだ。で、タイムマシンを発明したんだよ。折角タイムマシンが完成したんだ。若い頃の父さんと母さんに会いたくて…」
結婚したい相手は今は1人しかいないが、念の為聞いた方がいいかもしれないと、トニーはゴクリと唾を飲み込んだ。
「母さんというと…」
恐る恐る聞いてみたのに、モーガンはさも当然のように答えた。
「ペッパーだよ」
ペッパーが結婚相手であり、そして息子の母親であると知り安心したトニーは、自分の息子であればタイムマシンでも何でも作ることは可能だろうと納得した。が、問題はペッパーがすんなり信じてくれるかということ。
(どうにかなるか)
そう考えたトニーは、モーガンを連れて家へ帰ることにした。
案の定、ペッパーは目を丸くすると固まってしまった。
「君のその反応はよく分かる。さすがの私も最初は信じられなかった」
うんうんと頷いたトニーだが、相変わらず固まったままのペッパーは、余計に混乱したのか、目を白黒させ始めた。
若かりし頃の母親が困惑しているのに気づいたモーガンは、生真面目な母親には証拠提示した方が良さそうだと、ゴソゴソと鞄を漁り始めた。
「これが証拠」
モーガンが差し出したのは、1枚の写真だった。
トニーとペッパー、そして生まれてまもないモーガンの写った写真。そして写真に書かれた日付は、確かに今から2年後の日付だ。
「本当に、本当に…あなた…私とトニーの息子なのね…」
写真をまじまじと見つめたペッパーは、トニーをちらりと見ると、顔を真っ赤に染めた。トニーにはプロポーズはされたが、子供のことはまだ話し合ったことはないのに、突然息子が現れたのだ。それも20年後の世界から。つまり彼はこの20年間のことを全て知っているのだ。
「20年後の世界のこと、話そうか?」
考えを読んだような息子の言葉に顔を見合わせたトニーとペッパーだが、首を振った。
「いや、未来のことは知りたくない」
未来のことを知ってしまうことで、この先の未来が変わってしまう…つまり、モーガンが生まれる未来がなくなるかもしれない…。そう考えたのはトニーもペッパーも同じだった。
「ふーん。でも、そうだよね。これから先、何が起こるのか知っちゃうと、楽しくないもんね」
ニコニコと笑みを浮かべているモーガンだが、彼が来たのには理由があるはず。そしてそれはおそらく、良い事ではないだろう…。
(嫌な予感がする…)
某映画の台詞ではないが、何かが起こる気がする。やれやれと肩を竦めたトニーは、同じく何か感づいたような表情を浮かべているペッパーに目配らせすると、モーガンをゲストルームへと連れて行った。
→②へ…
私が見たトニペパな夢を元にしているので、どの作品の合間…という設定は一切ありません^^;