「大丈夫?」
左手が痛むのか、トニーは手首をさすってばかりいる。
「あぁ…」
と返答したトニーだが、ペッパーの泣き出しそうな表情に気付くと肩を竦めた。
「実は、まだ痛む。だが、随分と良くなってきた。だから大丈夫だ」
大丈夫だと言っているが、彼の左手はまだ震えていた。
あの時、左手だけではなく、心身共に傷ついた彼は、あまり調子が良さそうには見えない。
トニーの震える手を握りしめたペッパーの目から、小さな涙が零れ落ちた。
「ハニー…」
困ったように首を傾げたトニーは、ペッパーの背中をそっと抱き寄せた。
「どうして…どうしてあなたはいつも…傷つかなきゃいけないの…」
トニーの胸に顔を押し付けたペッパーは、嗚咽を漏らし始めたが、やがて声を上げて泣き始めた。そんな恋人の背中をトニーは黙って撫で続けた。