Kiss the Teacher~春編3

恋人になった二人だが、教師と生徒という関係上、誰にも知られないように、デートは週末トニーの家で過ごすことしかできなかった。

初めての週末。
トニーの家にやって来たペッパーは目を輝かせた。
「先生のお家、すごいですね!」
メゾネットタイプの部屋の二階は寝室となっており、一階の広いリビングの半分は、まるでどこかのラボのように様々な工具や機械が並んでいた。

「これって、先生が作ったの?」
大きなロボットのようなものに近づくペッパー。するとそれは長いアームを動かし、ペッパーの腕を触った。
「え⁈すごい!」
「ダミーって言うんだ。俺が高校生の時に作った助手だ。おい、ダミー、彼女はペッパーだ。俺の大事な人だから、仲良くしてくれよ」
トニーがペッパーの手を取りダミーに触らせると、ダミーは嬉しそうにアームを動かした。
「ふふ…かわいい。よろしくね、ダミー」

「先生?キッチン借りていい?」
カバンの中からピンク色の可愛らしいエプロンを取り出したペッパーは、器用に紐を結びながらトニーに笑いかけた。
「ああ。だが…何もないぞ?」
キッチンの入口の壁にもたれかかったトニーは、冷蔵庫を覗き込み絶句している彼女に苦笑した。
「ホント…。何もない…。いつも、何食べているの?」
「朝はパンとコーヒーだし…。夜は外で食べて…。家に帰っても酒を飲みながらツマミ程度だから…」
ボソボソと言うトニーの方に振り向いたペッパーは、腰に手を当てると、かわいらしく睨みつけた。
「ダメよ!そんなことしていたら、身体壊しちゃうわ!そうだわ!お休みの日は、私がご飯を作ってあげる!私ね、こう見えて料理が得意なの」
そう言うとペッパーは、買ってきた材料を片付け、手際良く料理を始めた。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、気がつけば空は夕日で真っ赤に染まり始めていた。
「送って行かなくて大丈夫か?」
心配そうに言うトニーに、ペッパーは笑った。
「まだ夕方よ。大丈夫。それに、誰かに見られたら、大変だもの…」
安心させるように言うペッパーだが、トニーはまだ心配そうな顔をしている。
「先生、大丈夫だから。今日はすごく楽しかったわ。先生…大好き…」
ギュッと抱きついてきたペッパーを腕の中に閉じ込めたトニーは、耳元で囁いた。
「俺も…。愛してるよ、ペッパー…」
トニーの甘い声に赤くなっているペッパーの唇を奪うと、トニーは彼女の頭をポンっと叩いた。
「また月曜日に。学校でな」
「えぇ、またね」

名残惜しそうに何度も振り返るペッパーを見送りながら、トニーの心は今までに経験したことがないほど、幸せな気持ちに満たされていた。

4へ…

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