You’re The First, The Last, My Everything.~NY編⑦

二週間後、二人は香港に降り立っていた。

手術を明日に控え、一通りの検査を受けたトニーは、少々疲労感を覚えベッドに横になっていた。
「今日はここに泊まるわね?」
荷物を片付けながらそう告げたペッパーに、トニーはニヤリと笑った。
「泊まってもいいが、君のことを愛してやれないのが残念だ」
「!!!」
真っ赤な顔をしたペッパーが何か言いかけた時、病室のドアがノックされ、誰かが入って来た。
入口の方を見たトニーは、満面の笑みを浮かべ、ベッドから起き上がった。
「ローディ!どうしたんだ?」
そこにいたのは、アメリカにいるはずの親友。
「相棒が命をかける時に俺がいないとダメだろ?」
トニーの身体を抱きしめたローディは、思わず瞳を潤ませた。
「ありがとう、ローディ。心強いよ…」
自分よりも大きなローディの背中に腕を回したトニーの目も潤んでいた。

「また明日来る。トニー、頑張れよ」
ローディが立ち去り静かになった病室。外は暗くなり始め、シャワーを浴びたペッパーが戻ってくると、トニーはベッドの淵に座りじっと外を眺めていた。
「どうしたの?」
隣に座ったペッパーは、トニーの表情が硬く、強張っていることに気付いた。
「なぁ、ペッパー…その…」
不安げなトニーだが、その不安をペッパーに悟られないように…と、無理やり笑った。
「退院したら、どこか旅行に行こう。私が手術している間に、行きたい場所をリストアップしておけよ?」
わざと明るい声で言うトニーだが、膝の上で握りしめた拳は小さく震えている。
だが、ペッパーは見抜いていた。彼の心にある不安と恐怖を…。
トニーの腰に手を回したペッパーは、彼の肩に顔を埋めた。
「トニー、あなたなら大丈夫よ。私はずっとそばにいるから。だから安心して戻ってきて?二人で新しい人生を歩むんでしょ?」
言葉にこそ発しなかったトニーだが、何度も頷くと、ペッパーの身体を抱きしめベッドに横になった。
(必ず戻ってくる…だから待っていてくれ…)

手術後、エクストリミスの力もあり、順調に回復したトニーは、三週間後に退院した。
LAへ帰国する前日、白のスーツを来たトニーは夜景の見えるレストランでペッパーと食事をすると、バルコニーへ彼女を連れ出した。
目の前に広がるのは、100万ドルと言われる夜景。
歓声を上げるペッパーをしばらく見つめていたトニーだが、優しく甘い声で名前を囁くと、真剣なまなざしで彼女を見つめた。

新しく生まれ変わったら最初に行おうとトニーが決めていたこと、それは…。

ペッパーと向かい合ったトニーは、両手をそっと握ると、夜景の映る彼女の瞳をじっと見つめた。
「ペッパー、君に私の全てを捧げる…。君は私にとって最初で最後の最愛の女性だ。君は私の全てだ。君がいれば、私はどんなことでも乗り越えられるんだ…。 これからは君と私と二人で幸せになろう。だから、永遠にそばにいてくれ…」
ずっと待ちわびていた言葉だった。いや、愛し合っている時には何度も囁かれてはいたが、改めて言われると感慨深いものがあり、ペッパーは思わず目を潤ませ た。
「トニー…」
言葉を紡ごうとしたペッパーの唇に指を当てたトニーは、微かに口角を上げると、ポケットから細長い箱を取り出した。
蓋を開けると、そこには真っ赤なハートのネックレス。その周りには鋭い破片の物のようなものがたくさん飾られている。
「これって…」
一瞬それが何か理解できなかったペッパーは、トニーを見上げた。
「胸にあった破片だ。言っただろ?君には私の全てを捧げるって…。昔、君は私に贈り物をくれた。『トニー・スタークにもハートはある』と。そのお返しだ」

彼は自分の全てを私に捧げてくれようとしている。私と永遠に一緒にいたいと…。このネックレスは、世界に一つだけ…。どんな高価な宝石でも敵わない、私だけの物…。

ネックレスを手に取ったペッパーは、トニーに渡すと背を向け髪を持ち上げた。
「ねぇ、あなたの手で付けて?」
「あぁ、お安い御用だ」

白く美しい胸元に、トニーの心の証であるネックレスが刻まれた。
トニーと向かい合ったペッパーは、真剣な眼差しのトニーの頬にそっと手を当てると微笑み、額をくっ付けた。
「トニー、あなたは私の全て。私はあなた以外にはいらないわ…。あなたがいなければ、私は「完璧」になれないの。愛してるわ…永遠に…。」

お互いの唇が重なり合い、二人はこれからの未来を思い描きながらいつまでも抱き合っていた。

LA編・NY編と続けてきたIM3後のお話はこれで完結です。
ハーレーくんの納屋のシーンは、マリブ邸跡地でリアクター投げ捨てる前でしたね…と、書いた後に気付きました…(汗)

2 人がいいねと言っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。