バレンタイン(2017年)

バレンタインのトニーからのプレゼントは、毎年決まっている。朝起きると、枕元にペッパーの好きなバラの花束に限定物のチョコレートが置いてある。そしてバスルームには洋服とジュエリーと靴が置かれており、それを身につけて2人はデートするのだ。そして有名レストランでディナーを食べた後、ホテルのスイートルームで一晩中愛を語り合うのだ。
一方のペッパーからのプレゼントも、もはや定番化としている。腕時計と下着、そしてお揃いのバンドTシャツなど、普段身に付けれる物。そして仕上げにセクシーな下着を身に付け、一晩中トニーの上で身をくねらせ踊る…。
恋人になって以来、すっかりおなじみの贈り物になっているが、毎年手の内が分かっていても贈られるとなると嬉しいものだが…。

今年は様子が違った。
14日の朝、目を覚ましたペッパーは枕元を確認した。ベッドサイドのテーブルの上に、真っ赤なバラの花束が置いてある。そしてその隣には…。
「あら?」
隣には何もなかった。いつもなら甘い香りを放つチョコレートがあるのに、今年は見当たらないのだ。どこかにあるのかとキョロキョロ探していると、隣で寝ていたトニーが目を覚ました。
「おはよ……ハニー…」
寝ぼけ眼でペッパーを抱きしめようとしたトニーだが、彼女が何か探していることに気づくと、ベットから飛び起きた。
「ペッパー!すまない!今年はチョコはないんだ!」
頭を下げ始めたトニーは、チョコがない経緯を説明し始めた。
何でも、某有名パティシエに特注していたのだが、昨晩彼から『インフルエンザになり、チョコが作れない』と連絡があったとか。
そういう事情なら仕方ない。いや、チョコがなくても、トニーがそばにいてくれるのだから、それが何よりのプレゼントだ。
「あなたがいてくれるから、いいのよ。ありがとう、トニー」
頬にキスをしたペッパーは、そのままトニーに抱きついた。
超巨大チョコを頼んでいたのに…と何やらブツブツ言っているトニーに、ペッパーは目を見開いた。
「超巨大?あのウサギみたいに?」
数年前の巨大なうさぎのぬいぐるみを思い出したペッパーは眉を吊り上げたが、トニーは真面目くさって頭を振った。
「いや、あのうさちゃんよりは控えめサイズだ」
控えめでないと困る。あの時も玄関から入らなくて、大騒動だったのだから…。肩を竦めたペッパーを抱きしめベットに押し倒したトニーは、ニヤニヤ笑みを浮かべると軽く口付けした。
「チョコがなくて口が寂しいだろ?これで勘弁してくれ」
そういうと、トニーはチョコより甘いキスを沢山してくれた。

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