クリスマス(2016年)②

「サンタさんだ!」
サンタ服に身を包んだトニーが登場すると、集まっていた子供たちから歓声があがった。
大きな袋を背負ったトニーは、手を振りながらステージに上がると、子供たちの歓声に答えるようにVサインをした。

ここはスターク・インダストリーズが支援している病院だ。クリスマス前にチャリティー活動の一貫として、毎年トニーとペッパーは小児病棟を訪問しているのだが、ここ数年アーマーに身を包みアイアンマンとして登場していたトニーが、今年はサンタクロースに扮して登場したのだ。沸き起こる歓声に上機嫌のトニーだったが、彼はようやく気づいた。一緒に登場するはずのペッパーの姿がないということに…。
子供たちにプレゼントを配りながらペッパーの姿を探してみたが、何分経っても彼女の姿は見当たらない。(もしかしたら、何かあったのかもしれない…)
プレゼントを配り終えたトニーは、ペッパーを呼んでみることにした。
「今日は、私の妻が来ているんだ。ミセス・クロースの登場だ!」
実際はまだ「妻」でも「ミセス」でもないのだが、そんなことは関係ない。トニーの声に子供たちは一斉に手を叩き「ミセス・クロース!」と声を上げた。
子供たちに言われれば登場せざるを得なかったのだろう。舞台の裾からペッパーが顔を覗かせた。が、何故か彼女は真っ赤な顔をしているではないか。さては「妻」と呼ばれ照れているのだなと勝手に解釈したトニーは、ニヤつく顔を無理矢理しまい込もうと咳払いをした。そしてペッパーに近づいていくと、手を引っ張りステージに彼女を上げさせた。
と、物凄い歓声が沸き起こった。子供たちの…ではなく、男性スタッフの歓声が…。
首を傾げたトニーはペッパーの全身を見渡すと顔色を変えた。
背の高いペッパーに、用意されていた衣装のスカートは短すぎたのだろうか。屈めば下着が見えそう…いや、もうすでに見えかけている超ミニスカなセクシーすぎるミセス・クロースの姿に、サンタクロースは真っ青になってしまった。

「…だから出たくなかったの…。こんなミニスカート…あなたが怒るでしょうから……」
消え入りそうな声で囁いたペッパーは真っ赤な顔をしてもじもじと足を動かしたが、その姿は下手をすれば妖艶で、男性スタッフ陣は一斉にカメラを構えたが、サンタクロースに物凄い目力で睨まれると、慌ててカメラをしまった。
ここからのサンタクロースの行動は早かった。先ほどプレゼントを入れていた袋の中にペッパーを押し込んだトニーは、袋ごとペッパーを担いだ。
「では!また来年!」
脱兎のごとく飛び出していったサンタクロース夫妻を、この後お礼の歌を披露する予定だった子供たちは、ポカンと見送るしかなかったとか…。

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