幼い頃、クリスマスが好きだった。いつも仏頂面の父親も、クリスマスだけは優しかったから。だが、その優しさも次第に感じられなくなり、いつしかクリスマスは寂しさを紛らわすためどんちゃん騒ぎをする日となった。
そして、あの年以降。クリスマスがますます嫌いになった。というのも、あの日の出来事を否応がなしでも思い出してしまうから…。
それでも彼女と出会い、そして恋人になり、クリスマスは再び楽しい一時になっていた。
が、それも1年前までの話。
両親の死の真相を知った今年ばかりは、さすがに祝う気にならなかった。
それでも例年通り、リビングには大きなツリーが鎮座し、暖炉には2足の靴下が掛かっていた。もっとも、数ヶ月前まで、1足しか飾れないと思っていたのだから、無事に仲良く2足掛かっているのは、奇跡と言ってもいいかもしれない。
『今年は静かに2人でお祝いしましょ?』
私の心を汲んで、そう提案してくれた恋人は、今は腕の中で寝息を立てている。
プレゼントは何が欲しいか聞かれたが、今年は何もいらなかった。君をこの腕の中に取り戻せたこと、それが何よりのプレゼントなんだから…。
「メリークリスマス、ペッパー…」
額にキスをし囁くと、ペッパーは小さく笑みを浮かべた。