Once upon a time…②

どこをどう走ったのか分かりませんが、森の中はどんどん暗くなっていきます。このままではキリアンではなく狼に食べられそうだと、ヴァージニアは途方に暮れましたが、どこからともなく焦げ臭い匂いがしてきたため、そちらの方へ歩いてみることにしました。
数分歩くと、目の前が開け、小さな家が現れました。焦げ臭い匂いはその家から漂っているようです。と、家の中から悲鳴が上がりました。何事かと家の中に入ってみると、室内は黒煙で覆われています。煙の原因は、部屋の隅にある窯のようです。窯にかけられた鍋からは炎と煙が立ち上っており、そのそばでは女の人が喚いているではありませんか。このままでは火事になると思った姫は、そばにあった水を鍋の上にかけました。すると、たちまち火は消え、煙も薄らできました。この騒ぎの元凶である女性は、ふぅと額の汗を拭うと、ヴァージニアを振り返りました。
「助かったわ。で、あんた、誰?」
恩人に向かって『あんた誰?』はないだろうと思った姫ですが、自分も勝手に上がり込んだ口なので何も言えません。
「突然申し訳ございません。ヴァージニア・ポッツと申します。実は道に迷ってしまい困っていたところに、こちらの煙が見えて参りました」
上品にお辞儀をしたヴァージニアに、女性は一瞬目を丸くしましたが、跪くと恭しく頭を下げました。
「私はブラックウィドウ。でもお姫様には特別に本当の名前を教えてあげる。ナターシャ・ロマノフよ。それにしてもヴァージニア様、大きくなられましたわね」
姫の頭を優しく撫でたナターシャですが、どうして自分のことを知っているのかと驚いた姫は、口をパクパクさせました。

しばらくすると、キャプテン、ウィンターソルジャー、ファルコン、ホークアイ、ソー、ハルクと名乗る6人の男たちが戻って来ました。全員揃ったところで、キャプテンは演説を始めました。

自分たちは8年前までポッツ国の軍の先鋭部隊『アベンジャーズ』だったこと、ある日国王暗殺未遂事件の首謀者として捕まったウィンターソルジャーを幼馴染だったキャプテンが庇ったことから国を追い出されたこと、行く当てもなくこの森で陰ながら国を守っていることを話し終わったキャプテンは、ヴァージニアに事の経緯を尋ねました。そして話を聞き終わった彼らは、姫の境遇に涙し、好きなだけこの地にいるよう告げました。

③へ…

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