ペッパーが雑誌の表紙モデルになった。数多くの女性誌や経済誌の表紙を今まで飾ってきたではないかと思うかもしれないが、今回は何を思ったのか男性向け雑誌。しかもちょっとセクシーな雑誌ときたものだから、水着姿で撮影に挑んだらしい…。
「…とペッパーから聞いて、本屋へ行ってみた。だが、店頭には一冊もない。一軒だけじゃない。LA中の店にも、ネットにもないんだぞ?あまりに品薄で、オークションでは物凄い高騰したらしいが、それも目が飛び出る程の値段で落札されたらしい。で、お前なら1冊余分に持ってないかと思って…」
見れないとなると見たくなるのが人間の心理。どこで探しても現物はおろか画像すらもないのだから、彼女の恋人なら持っているだろうとローディーはトニーを訪ねて来たのだ。
いつもなら自慢げに何十冊も同じ雑誌を抱えてくるトニーなのに、今日の彼はやけに歯切れが悪い。
「あ…あぁ…」
とくぐもった声を出したトニーは
「悪いが私も持ってない」
と言い放つと、目の前のコーヒーを飲み乾した。
トニーの背後には、数日前にはなかった山積みになった段ボール。中身が気になるが、髑髏マークが描かれているところを見ると、何か危険な物に違いない。
「お前も持ってないのか。それなら仕方ないな」
諦めるかとため息を付いたローディーとは対照的に、トニーはやれやれと安堵のため息を付いた。