展示会も無事終了し、最終日の夜は盛大なパーティーが開催されていた。世界各地から集まった科学者は然ることながら、LA中の著名人が招待されたパーティーは大盛り上がりで、ホストであるトニーは大勢の人々と祝杯を上げ続け、夜も更けた頃にはすっかり出来上がっていた。
二次会と称した会は、同年代の顔見知りばかりになっており、話題はいつしかこの場にいないペッパーの話になっていた。
「奥さん、年上だもんな。束縛されてるって聞いたぜ」
「お前は名前だけの社長で、本当は奥さんが実権握ってるんだろ?」
『妻がしっかりしている反面、お前はダメな男だ』と言われているような気がし、珍しくトニーは何も言い返せなかった。
黙って聞いているトニーのペースはどんどん上がっていき、訳が分からなくなる程飲んだ彼にこれ幸いにと数名の女性が擦り寄ってきた。最初は控えめに腕を絡ませていた女性たちだが、トニーが特に抵抗しないのをいいことに、段々と大胆になってきた。手を取り胸を触らせる者もいれば、トニーの膝の上に座りキスをする者もいた。
ズボンの上から股間部分を触れられる頃には、トニーは身体の奥底から湧き上がる物に耐えきらなくなっていた。だが『お前は妻帯者だぞ?』と頭のどこかで理性に訴えかけられ、このままではマズイと感じた彼は、断りを入れるとトイレへ向かった。
「何やってるんだ、俺は…」
洗面所で顔を洗ったが、酔いは覚める気配すらない。そればかりか、先程のキスの余韻が残っており、下半身の疼きは止まらない。とそこへ、ドアが開き誰かが入ってきた。見ると、先程キスをしてきた自分よりも若い美女がドアを閉め妖艶に微笑んでいるではないか。
「トニー、ここにいたのね?」
ドレスの裾をまくり上げた美女は、ゆっくりと近づいてくると、トニーに抱きつき唇を奪った。舌を積極的に絡ませてくる美女に、トニーは無意識のうちに彼女の尻を掴んだ。
「ねぇ…いいことしない?」
銀色の糸を引きながら唇を離すと、美女は耳元で囁いた。
何ヶ月も発散していない欲は、酔った勢いも合わせて暴発寸前だった。もう我慢が出来なかった。
『いい機会だ。このままヤッてしまえ』
もう1人の自分の囁きにトニーは抗えなかった。
美女を洗面所にうつ伏せにさせると、トニーは彼女のドレスを託し上げた。下着をずらし、暴れる自身で一気に貫くと、美女は歓喜の声を上げた。久しく味わっていなかった快感にトニーは我を忘れて溺れていった…。
翌朝、トニーは見知らぬ部屋で目を覚ました。酷い二日酔いで頭は割れるように痛い。隣に人の気配がし、ふと横を見ると、見知らぬ美女が脚を絡ませ眠っているではないか。
徐々に昨晩の記憶が蘇り、トニーは顔色を変えたが、トイレでの行為と、そしてこの部屋での複数回に及ぶ行為を思いだすと、下半身が再び熱を持ち始め、もそもそと身体を動かした。と、トニーが動いたことで美女が目を覚ました。
トニーの股間が硬くなり始めたのに気付いた美人は、彼の上に跨ると指を這わせた。
「昨日のアレ…忘れられないの…」
家に帰っても欲は発散できない。ならばこの場で果てるまでだ…。
そんな考えが頭を過ぎったトニーは美女を引き寄せると中に入り込んだ。
「結婚しろって迫らないから安心して。でも、良ければ時々相手してくれる?」
身支度を整えた美女は、真っ赤なルージュを引くとまだベッドに寝転んでいるトニーの頬にキスをした。
「もう夕方だから今日は帰るわね。また連絡して」
マヤと名乗った美女は、携帯の番号と甘いキスを残すとホテルの部屋を出て行った。
夜になり帰宅したトニーを、ペッパーは笑顔で迎えてくれた。
「また飲みすぎたんでしょ?」
程々にしてねとクスクス笑ったペッパーは、父親に向かい腕を伸ばす娘を手渡した。アナを受け取ったトニーだが、罪悪感からペッパーの目を見れなかった。
「あぁ…ごめん…」
相変わらずニコニコしているペッパーは、トニーのカバンを持つと寝室へ向かった。
「いいのよ。だってお付き合いも大事だし、それにあなたもたまには羽を伸ばしてきていいのよ」
何も知らないペッパーの笑顔にトニーは胸の奥がチクリと傷んだ。
「ごめん、ペッパー…」
何度も謝罪の言葉を口にする父親を、アナスタシアは不思議そうな顔をして見つめた。
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