「F.R.I.D.A.Y.、今年のペッパーへのプレゼントは何がいいだろうか?」
もうすぐクリスマスだというのに、トニーにしては珍しく、何も用意していなかった。
というのも、今年は色々ありすぎた。一度に色々なことが押し寄せてきて、しばらく何もする気が起こらなかった程だ。それ幸いにと、ペッパーと農場でのんびりするつもりだったが、『世界有数の超巨大企業を動かしているポッツ社長』はあまりに忙しすぎた。結局ものの数日で農場を後にすることになり、2人はNYへと戻ってきた。
が、多忙なポッツ社長は出張で不在なことが多く、二人はこの数か月、数えるほどしか共に眠っていなかった。毎日電話で話はしているが、実際に顔を合わせ話をすることはまれなため、彼女が今何を求め欲しているのか、トニーは正直なところ分からなくなっていたのだ。
ということで、有能な電脳執事に尋ねたのだが…。
『ポッツ様のことはボスが一番ご存じだと思います』
と返答されてしまった。分からないから聞いているのだが…と口を尖らせたトニーだが、そうかと言ってペッパーに直接聞く訳にはいかない。
頭を悩ます主人にF.R.I.D.A.Y.は提案した。
『ポッツ様は多忙ですから、ボスと2人きりで過ごすことが一番ではないでしょうか?』
「そうだよな!」
こんな単純なことが思いつかないなんて…と一瞬思ったトニーだが、そうと決まれば早速行動開始だ。
携帯を取り出したトニーは、ペッパーの秘書に電話をかけ始めた。
「スタークだ。至急確認して欲しいことがある。ペッパ…いや、ポッツ君のスケジュールだ。25日は何も入っていないと思うが、前日の24日はどうだ?…何?!D.C.でパーティーだと?! その予定はキャンセルしろ!24日だけではない!23日もだ!いいな!23日から26日までは、ぜーーったいに何も予定を入れるな!これは会長である私の命令だ!分かったな!」
と、捲し立てたトニーは相手の返事を待つことなく電話を切った。
「F.R.I.D.A.Y.!」
突然話を振られ、成り行きを黙って聞いていたF.R.I.D.A.Y.は人間ならば『ひぃ!』と叫んでいただろうが、そこは有能な電脳執事。
『23日から26日の間は、どなたの電話もお繋ぎしませんので、ご安心下さい』
と澄まして答え、トニーは「さすが私の作ったA.I.だ」と満足げに頷いた。
トニーの根回しの甲斐もあり、クリスマス前後の4日間を2人は誰にも邪魔されることなく過ごすことができたのだが、終いには足腰が立たなくなり、結局年末まで2人きりで過ごす羽目になったとか…。