「社長の秘書に指名された?!」
ペッパーがトニー・スタークの秘書に抜擢され1週間。
大学時代の友人とのランチタイム。サンタモニカにあるカフェで開かれた女子会は、お互いの近況を話すうちに、いつの間にかデザートまで進んでいた。
そして仕事の話になり、ペッパーがPAに抜擢されたことを言うと、友人は皆衝撃を受けた。
口をぽかんと開けたまま黙っている友人たちを見渡したペッパーはため息を付いた。
「そりゃ私も驚いたわ。でも、そんなに驚かなくても…」
皿に残っているケーキを突いたペッパーは口を尖らせた。
「だって、トニー・スタークの歴代秘書と言ったら、派手でモデル並みに美人ばかりよ?」
「ペッパーもスタイルいいけど…歴代秘書ってみんな巨乳って話でしょ?」
「で、トニー・スタークは歴代秘書と関係を持ってたっ話よね?ペッパーはまだなの?」
次々と出てくる言葉にペッパーはあんぐりとしている。
『トニーはみんなが想像しているよりもずっと紳士で素敵な男性よ』
そう言おうとした時だった。タイミングがいいのか悪いのか、かかってきた電話の相手はトニー・スターク。
「トニー、どうされたんですか?…え?今ですか?友達とランチ中です。…女子会だから女友達だけです。……場所?えっと、サンタモニカの…え?!社長もですか?…休日なのにお一人なんです?…って、私たちのお店向かいじゃないですか?…え?今からです?…私はもうデザートまで終わったから……分かりました。すぐ行きます」
電話を切ったペッパーは、友人たちに軽く頭を下げた。
「トニーが今からNYに買い物に行くんですって。だから…」
ペッパーが言い終わる前に、店の前に真っ白な高級スポーツカーが急停車した。
「トニーだわ」
鞄からポーチを取り出したペッパーはさっとメイクを直すと立ち上がった。
「ごめんなさい。私、帰るわね」
ペッパーはパタパタと店を出ていったのだが、数秒後外を見ると、助手席のドアを開けて待っているトニーの元へ嬉しそうに走っていくペッパーの姿が見えた。そしてペッパーを迎えるトニーも心底嬉しそうで…。
「社長と秘書というよりも、恋人って感じよね…」
「もしかして…もうそうなのかも?!」
キャー!と沸き起こった黄色い声に、店内にいた客が何事かと一斉に振り返った。